古着 小橋 昭彦 2003年12月15日 子どもが生まれる前は、和服をよく着たものだった。方形の布からできているから、たたんで箱に入れてしまうことができる。洋服は身体に合わせて作られているから、ハンガーにかけることになる。この平面と立体の違いが、古着としての一 […]
共食い 小橋 昭彦 2003年12月11日 あれは何の映画だったろう。ディナーテーブルの中央に猿が出され、脳をスプーンですくって食べる。そんなシーンがあったのだが。カニならともかくと思ったのは、共食い的な行為を嫌ったからだろう。もっともかにみそは肝臓だと後になっ […]
自由度 小橋 昭彦 2003年12月8日 運動器。骨や間接、筋肉や神経といった身体を動かす組織、器官のこと。WHOが協力して世界各国で研究を進める、運動器の10年という取り組みが行われている。腰痛やスポーツ障害、骨粗しょう症など、運動器に関わる障害は多い。これ […]
墓地 小橋 昭彦 2003年12月4日 地元の集落を紹介する『中山の歩き方』という小冊子を作るため、地域内をぶらぶら歩いた。山すそや池の裏手に各家のお墓が残っている。昔は共同墓地だけではなかったんだ。 東京の青山霊園のようないわゆる共同墓地は、パリやロンドン […]
箱 小橋 昭彦 2003年12月1日 ピュリツァー賞作家チャールズ・シミックの新刊『コーネルの箱』が出ると知って、思いは子ども時代の七つ道具箱にかえる。ジョゼフ・コーネル、アメリカの芸術家。箱の中にコルクや古写真や月面図などをつめて作品を作った。彼の作品に […]
渦 小橋 昭彦 2003年11月27日 旗はなぜはためくのだろう。風が乱れているせいではない。そよ風を考えるなら、それは規則正しい「層流」であり「乱流」ではない。それでも、旗は流れに沿ってまっすぐにならない。次元を落として、石鹸の層の流れの中に一次元の紐をは […]
落書 小橋 昭彦 2003年11月24日 らくしょ、と読む。詩歌の形で時事や人物を諷した落首(らくしゅ)に由来している。門や塀に貼ったり道に落として世間の注目を狙う。平安時代には落とし文(おとしぶみ)が貴族の間で行われたが、これは恋する相手への言葉、典雅な印象 […]
左と右と 小橋 昭彦 2003年11月20日 5歳になった長男が、ときどき「右ってどっちやったっけ」と確かめる。「お箸を持つ方」と古典的な答えをしつつ、左利きを考慮していないと自らを責める。辞書にはどうあるのかと広辞苑をあたってみて、「北を向いたとき、東にあたる方 […]
かたち 小橋 昭彦 2003年11月17日 ぼーる。ちょちょ。くんま。次男が、絵本を指差しながら片言をしゃべる年齢になった。わからないものが出てくると、「こーは」と尋ねる、「ぶどう」と答えると、力強く「ぶど”」と言ってけらけら笑う、描かれた形と言葉 […]
北京の蝶 小橋 昭彦 2003年11月13日 コンピュータの高速化が寄与する分野のひとつにシミュレーションの精度向上がある。たとえば地球大気の様子をシミュレートするためには、地上を網目状に区切って、それぞれの箇所の値の変動を予測する。このとき、網目が小さいほど精度 […]
折り紙と数学 小橋 昭彦 2003年11月10日 折り紙をしよう。まずは一回目の折り方。再現性がない適当な折り方を禁じれば、残るは二通りしかない。対向する角を合わせて三角形に折るか、向かい合う辺を重ねて長方形に折るかだ。しかし、いったん長方形を折って開けば、中央に一本 […]
不気味の谷 小橋 昭彦 2003年11月5日 ロボット工学界で「不気味の谷」として知られる説がある。人型ロボットの進化をグラフに描く。横軸には外見がどのくらい似ているか、縦軸には親しみを感じる度合いをとる。はじめ右上がり描かれるグラフだが、ある一点で急落する。そこ […]