なぜに嫌う 小橋 昭彦 2004年2月19日 お兄ちゃんを待つ間、2歳の次男は、昨日の雨で湿った幼稚園の砂山を滑り降りている。ズボンのお尻は泥んこ。まいったなあ、車に座るのになあ、手で払いつつ、一方で子どもが服を汚すというあたりまえのことを嫌うなんて変だぞと自分に […]
数量化 小橋 昭彦 2004年2月12日 消失点に向かって収束する直線を何本か想定し、それに添って描いた線に、垂線や水平線を付け足して、箱の絵を描く。透視図法といわれるこの方法を知ったのは中学生になったときだった。あの日の驚きを、今も覚えている。箱のどの側面を […]
食卓の科学 小橋 昭彦 2004年2月5日 お箸の方程式なるものがある。英国の物理学者が、お箸を使う難しさを数式化したものだ。ざっと説明すれば、中華料理を食べる回数に料理の形やすべりやすさや重さを掛けて平方根をとった上でお箸の長さや持ち方といった固有の変数を掛け […]
方眼紙の上で 小橋 昭彦 2004年1月29日 養蚕を営む隣家は、今も桑畑に囲まれた古民家の風情を残す。夏になると小屋からかしゃかしゃと葉をはむ音が漏れ、やがて幼虫たちは天井から吊るされた格子状の箱のそこかしこで繭を作る。日にかざせば、透き通った繭の中に身体を丸める […]
原始の悪夢 小橋 昭彦 2004年1月22日 金縛りにあった経験のある人はどのくらいいるだろう。おそろしい夢を見、身体を動かそうとしても動かせない。もっとも動かせたら身体は過剰に反応して周囲に迷惑をかけることだろう。心理学者ジュヴェは、夢を見ることが多いレム睡眠時 […]
数瞬の救命 小橋 昭彦 2004年1月15日 その物理学論文を読みながら思い出していたのは、ポーの「メールストロムの渦」だった。大渦に巻き込まれた男が、奇跡の生還を果たす。ただ小説の場合と違って、ブラックホールに落ち込むという、論文に描かれた状況はより厳しい。多少 […]
ナノの世界 小橋 昭彦 2004年1月8日 このところ注目されているナノテクノロジー。ナノというのは大きさの単位で、10億分の1を指す。地球の直径を1メートルとすれば、1ナノメートルは1円玉程度の直径ということになるし、逆にぼくの身長を1ナノメートルとすれば、本 […]
コツと分節 小橋 昭彦 2004年1月1日 コップにミルクを注ぐと「ばんばーい」なんて言いながら乾杯をしたがる。1歳と半年あまりの手つきはなんだか危いのに、小さな手の中のミルクは、こぼれそうでこぼれない。親がサポートしようとしたときに限って、こぼしてしまうものだ […]
退いて進む 小橋 昭彦 2003年12月29日 年が明けるとまたひとつ年をとる。身体は正直で、このところ尿酸値が気になっている。プリン体の最終代謝物が尿酸として血中に放出されるもので、値が高いと通風になる可能性が高い。そもそもの原因は、ヒトではUOX遺伝子が退化して […]
小脳力 小橋 昭彦 2003年12月25日 大脳について学んだ記憶はあるのだけれど、小脳については薄れている。そのサイズゆえ学ぶ気持ちが軽くなったかもしれない。運動をつかさどる脳というのが一般的な認識。最新の研究は、それに疑問符を提示する。 まずは名前からうける […]
ビッグフット 小橋 昭彦 2003年12月22日 ビッグフット、イエティ、雪男。彼らが大型類人猿ギガントピテクスの子孫だとして実在を信じる人もいる。ギガントピテクスはゴリラより2倍から3倍大きな類人猿で、約30万年前まで中国などに生息しいた。仮に生存しているならビッグ […]
見つめる 小橋 昭彦 2003年12月18日 もうすぐ3ヶ月になる三男にミルクをやる。視線がしっかりしてきて、飲みながらじっとこちらを見上げている。なんて澄んだまなざしだろう。きみの凝視に値するだけの父親だろうかと弱くなる心を励まし、そうだよお父さんだよ、お父さん […]