数を数える 小橋 昭彦 2002年11月7日 法事に来てもらった和尚さんから、数珠は計算機だと聞く。珠は煩悩の数である108つ。念仏を唱えるとき、ひとつづつ繰りながら唱える。ひとまわりすれば、二連になったもうひとつの輪の珠をひとつ繰る。こうして1万回唱えるときも、 […]
オッカムのかみそり 小橋 昭彦 2002年11月4日 文章は、手を入れれば1割か2割は短くなる。ほとんどの接続詞は削除可能だし、同じことを繰り返していたり不要な説明だったりする箇所も必ずある。オッカムがざりっざりっと削ってくれるわけだ。 オッカムというのは14世紀のスコラ […]
バベル後の世界で 小橋 昭彦 2002年10月31日 カーネギーメロン大学のホルト助教授によると、世界中の言語を集計すると、少なくとも558の子音と260の母音、51の二重母音があるのだという。半年を過ぎた頃の乳児は、これらすべての音素を区別できる。その後、第一言語にあわ […]
癒しの由来 小橋 昭彦 2002年10月28日 龍安寺の石庭が人の心をひきつける秘密は「木」にあるという研究発表を、興味深く読む。石庭を見るとき、人は脳裏に石の間を縫うようにして伸びる木の枝を思い描いているのだという。左右対称に伸びた枝は、もっともよい鑑賞位置とされ […]
脳で操る 小橋 昭彦 2002年10月24日 手術をして後、しばらく身体を動かせない状態にあった父を見ながら、念動力を使えたらと考えたものだった。念動力、あるいはサイコキネシス。今はあまり使われない言葉だろうか、子どもの頃は超能力ブームもあって、ずいぶんあこがれた […]
せわしない擬態語 小橋 昭彦 2002年10月21日 幼児がいると擬音語や擬態語をよく使う。おしゃぶりのことを「ちゅぱちゅぱ」、ミルクを吐くことを「げぶ」。いつしか4歳の長男まで「おかーさん、しょーちゃんげぶしたぁ」なんて口にしている。 あれはいつのことだったろう、その長 […]
太る人、太らない人 小橋 昭彦 2002年10月17日 幼い頃、ロシアのおばちゃんというと太っていてペチカの前で毛糸を編んでいるイメージを持っていた。日本人でそこまで太っている人は少なく、なぜあれほど太れるんだろうと友だちと話したこともあった。 肥満度を表すBMIという値が […]
戦争の広告 小橋 昭彦 2002年10月14日 またきな臭くなってきたと思いつつ、こんなときはいっそう注意深くニュースを読む。報道はPRが上手な側の視点になることが多い。米国国務省は昨年のテロ後、広告界の実力派を迎え入れている。PRの重要性を知っていればこそ。 目に […]
チェレンコフ光 小橋 昭彦 2002年10月10日 新作が発表されると必ず手にする作家のひとりが、池澤夏樹氏。芥川賞を受賞した『スティル・ライフ』を読んだのが社会人になって1年目のこと。テーブルに置かれた水が入ったグラスを前に、チェレンコフ光を見ていると語るエピソードの […]
オーラルヒストリー 小橋 昭彦 2002年10月7日 アポロ計画について書くにあたり、宇宙飛行士ジーン・サーナンの回想録に目を通した。この書籍はどう成立したかと想像し、オーラル・ヒストリーに思いをめぐらす。政策研究大学院大学の御厨(みくりや)貴教授は、オーラルヒストリーを […]
育児語 小橋 昭彦 2002年10月3日 次男が生まれ、4歳になったばかりの長男が顔を覗き込んで「おしめですかあ」と尋ねたり、それなりにお兄ちゃんぶっている。ふだんから高い子どもの声が、いっそう高くなるのがおかしい。母親の真似をしているのか、自然と口にするもの […]
宇宙での暮らし 小橋 昭彦 2002年9月30日 宇宙飛行士への質問としてよくあるもののひとつは「トイレはどうするんですか」だという。サック状のものを局部にあて、出たものは宇宙空間に排出する。尿がきらきらと宇宙船の周りを漂うのはなにより美しいそうだ。アポロ宇宙船の記録 […]