手術をして後、しばらく身体を動かせない状態にあった父を見ながら、念動力を使えたらと考えたものだった。念動力、あるいはサイコキネシス。今はあまり使われない言葉だろうか、子どもの頃は超能力ブームもあって、ずいぶんあこがれたものだが。
それはともあれ、念動力。念じただけで物が動かせる力である。SFの世界の話かと思っていたら、科学の進歩は、それに近いことなら実現できるところまで来ているのだった。たとえば、アリゾナ州立大のアンドリュー・シュワルツ教授の研究。サルの脳に電極をつけ、信号を取り出してコンピュータ処理する。サルは、腕を固定されていても、コンピュータ画面上の立体画像の中にあるカーソルを移動することができた。たとえば、デューク大のミゲル・ニコラウス教授の研究。サルが物を食べようと腕を動かすときの脳内信号を、1千キロ離れた場所まで送って、ロボットアームを動かした。送信にはインターネットを利用しているから、途中を無線化すれば、まさに念動力でロボットを動かしている感じ。米国の研究者ばかりではない。広島大学の辻敏夫教授も、脳からの信号を読み取って動く義手の開発を行っている。
少し話はそれるけど、そろばん熟練者の暗算に同様のはたらきがみられる。そろばん熟練者は暗算のとき頭の中のそろばんをはじくといわれる。暗算時の脳内のはたらきを比較すると、通常の人の場合は言語処理に関わる部分がよく動く一方で、そろばん熟練者は視覚運動をつかさどる脳がはたらく。まさに、バーチャルなそろばんが脳の中に構成されているということだろう。
こうした脳内の動きを取り出せれば、念じただけでそろばんを動かすこともできるに違いない。ハンディキャップを補うツールとして期待できるし、ネットで伝えれば、世界中に自分の身体を延長することもできる。痛覚も持てれば、地球の気持ちを味わえるかもしれないが。
「Andrew B. Schwartz」教授の論文「Direct Cortical Control of 3D Neuroprosthetic Devices」、「Miguel A. L. Nicolelis」教授の研究「Development of Biomimetic Robots and Sensors Using Hybrid Brain-MachineTechnology」、そして「辻敏夫」教授の研究については「ロボット間の理想的コミュニケーションとは?」をどうぞ。
そういえばこんなものもありましたね。
ご無沙汰してます。10月14日、転勤で京都より東
京へ帰って来ました。通勤徒歩5分の世界から、1時間
30分のハードなラッシュに、少々うんざりの毎日で
す。通勤も瞬間移動で目的地に移動出来ればと、コメ
ントを読みながら思ってしまうのは 余りの環境の変
化でしょうか?近い内こちらでの楽しいコメントを送
れるようにしたいですね!
「IBVA」という脳波を測定するソフト(MAC版)に連携して使うソフトを、数年前マックエキスポで買いました。
いくつかのゲームなどが遊べるようになっていて、例えば画面内のボールだかを「動け」と念じると、数回に一回くらいは動かせるようになりましたが、どの程度、精密な仕組みであったものだか(笑)。
少なくとも“脳波”は科学的に実証されているもので、意志などに応じてその発生部位や波形などが異なるとすれば、これを応用できないハズはないと、浅学ながらずっと思っています。
ただし、なんといってもコントロールが難しいですよね。