36歳のランドセル 小橋 昭彦 2001年5月15日 帰省したついでに、押入れの整理をした。小学生時代の通知表に出会う。成績はともかく、人の話は聞くものの、低学年のころは発表のとき顔も上げられない内向的な性格だったらしい。その性格は基本的にはいまも変わっていないし、三歳の […]
イネとウシ 小橋 昭彦 2001年5月14日 連休は実家に帰って田植を手伝う。といっても田植機を運転するのが主な役割。適度な深さに、そしてまっすぐ植えることに気づかう。ゆがむと収量や秋の刈り入れの苦労につながるから。たった今の自分の行為が、数ヵ月後の命運を直接的に […]
事件な年ごろ 小橋 昭彦 2001年5月10日 少年事件を分析するため、警察庁少年課がまとめた資料がある。95年から99年までに逮捕、書類送検された容疑者6499人の年齢を分析したもの。もっとも多かったのは49歳で、185人を占めた。それに続くのが47歳、そして48 […]
美しいひと 小橋 昭彦 2001年5月7日 進化論を提唱したチャールズ・ダーウィンは、鼻のおかげでガラパゴス諸島にいけなかったかもしれないという。ビーグル号の船長が顔の特徴で性格がわかるという説の信奉者で、ダーウィンのような鼻を持つ人間は航海に耐えられないと考え […]
今日また、ひとつ。 小橋 昭彦 2001年4月27日 誕生日を迎えた息子に、「きょうから3歳だね、おめでとう」と声をかける。息子もまねして「おめでとぉ」「おめでとう」「おめでとう」。家族で声を合わせている。とはいえ法律上は、彼は誕生日の前日をもってすでに3歳になっているの […]
花見 小橋 昭彦 2001年4月26日 すこし遅れて出かけた三井寺の桜は、前夜の激しい風雨で、桜吹雪を見せることもなく、はや散り敷いているのだった。地面に白く積もる花に、雪みたい、と3歳の息子が小さな声をあげる。 境内にはすっかり人気も無い。つい昨日までここ […]
九十九の島 小橋 昭彦 2001年4月25日 つづら折を九十九折と書くように、九十九は多いという意味によく使われる。もっとも千葉県の九十九里浜は約60キロと確かに長いものの、36町ではなく6町を1里とする古くからの測り方によれば、1里を654メートルとして確かに九 […]
過ぎ去った日のこと 小橋 昭彦 2001年4月24日 過ぎ去った日は二度と手には入らない。だから人は想像したり検証したりしてその日のことを思い巡らす。 イエス・キリストの顔を「科学的」に再現したのはマンチェスター大学のリチャード・ニーブ氏。エルサレムで発掘された1世紀のユ […]
明日に架ける橋 小橋 昭彦 2001年4月23日 サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」をよく聴いていた時期があった。小さな、だけど本人にとっては大きな悩みを抱いていた中学生時代。当時、ぼくはどこに向けて橋をかけたかったのだろう。そして今、ぼくは向こう岸にたどり […]
屋根裏の博物館 小橋 昭彦 2001年4月20日 民具。ぼくたちが生活の必要から製作したり使用したりしている品々のことをいう。衣食住に使うものから仕事に使うもの、儀礼に関するものなど、その幅は広い。 身近なものだけに見過ごされがちだけれど、時代を経るとその身近なものが […]
正常化の偏見 小橋 昭彦 2001年4月19日 いま、地震がおこったと想像してみてほしい。3秒後、なにが起こるだろうか。何か落ちてくるとか、倒れるとか。では10秒後はどうだろう。30秒後は、1分後は、30分後は。 こうして、災害後のシミュレーションを、時間を追ってし […]
ニセモノって 小橋 昭彦 2001年4月18日 税関で差し止められる偽ブランド商品は毎年100万点前後。よこしまな商人はあとをたたない。そんなこともあって、「偽」にはよいイメージが無い。 仏教に偽経、というジャンルが知られている。中国へ仏教が伝来してさほどない時期に […]