小橋 昭彦 2001年4月23日

 サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」をよく聴いていた時期があった。小さな、だけど本人にとっては大きな悩みを抱いていた中学生時代。当時、ぼくはどこに向けて橋をかけたかったのだろう。そして今、ぼくは向こう岸にたどり着いているのだろうか。
 橋は、人間にとって有史以前からのつきあいだ。倒木を利用していたのが桁橋になり、木のつるを利用していたのがつり橋になり。自然発生的な橋が起源となって人工の橋が生まれたものと想像されている。
 古代メソポタミアには石のアーチ橋があったとされるし、古代中国にはつり橋があったと伝わっている。橋の歴史がひとつの頂点に達したのは、おそらくはローマ帝国時代。石造アーチの水道橋の美しさ、頑強さ。そういえばローマ教皇は正式名でPontifex maximusというけれど、Pontifexとは橋をかける人の意。古代ローマにおいて、いかに橋が重要な位置を占めていたかがしのばれる。
 桁橋やつり橋だけではなく、浮橋やアーチ橋など、橋にはさまざまな構造があり、それぞれが美しい。本州と四国をつなぐ連絡橋は、斜張橋、つり橋、アーチ橋、桁橋、トラス橋など場所に応じて各種のタイプが見られることでも有名だ。
 この場所から、流れの向こうのあの場所へ。生きている中で、人はいつも、小さな橋をかけつづけているのではあるのだろう。

1 thought on “明日に架ける橋

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