まちがい 小橋 昭彦 2001年6月27日 人は、完璧じゃない。失敗は成功のもと、間違いをおそれずのぞめばいい。ただ、同じ間違いを繰り返さないこと。新人時代にそんなことを教わった人も多いことだろう。とはいえ、なぜか間違いには驚くほどのバリエーションがあって、前と […]
人と人のあいだ 小橋 昭彦 2001年6月26日 乗りこんだ駅では満席だったのに、一駅ひとえきと人が降りていき、終点につくころ車両に残っていたのは、ぼくを含め二人だけだった。いまひとりの女性とは隣の席。移動しそびれてそのままになってしまっている。今さら席を移るのも嫌味 […]
うわさ 小橋 昭彦 2001年6月25日 1973年の12月8日。卒業を間近に控えた女子高生3人が自分たちの就職先についておしゃべりをしていた。そのうちひとりの就職先を、別のひとりが「信用金庫なんてあぶないよ」とからかう。朝の通学途中の、たあいもないおしゃべり […]
鏡のなぞ 小橋 昭彦 2001年6月22日 鏡は人を惑わせる。左右は逆になるのに上下が逆にならないのはなぜという疑問は古来から多くの人を悩ました。プラトンも悩んだしカントも考察している。 言葉のあいまいさと認識の問題が重なって、なんだかややこしい。少なくとも、鏡 […]
ミノムシ 小橋 昭彦 2001年6月21日 庭を歩いていると、梅の古木になにやらぶら下がっている。ミノムシなのだった。中に卵があるのか、あるいは主のいなくなった抜け殻か。風に揺れている。 細かく切った色紙で実験された方もいらっしゃるだろう、ミノムシは糸を出して葉 […]
あわ 小橋 昭彦 2001年6月20日 ビールがおいしい季節。白い泡が浮かんだ生ビールを傾ける至福のひととき。考えてみれば、ビールに限らず、ぼくらの日常で泡に出会わないことはまずない。パン、清涼飲料、石鹸から発泡スチロールまで。 物理学者のドナルド・グレイザ […]
飛蝗 小橋 昭彦 2001年6月19日 空が黒くなるほどの大群をなして移動し、通過する土地の青い草を食べ尽くす。飛蝗(ひこう)と呼ばれるバッタの群れ。ワタリバッタあるいはトビバッタなどとも呼ばれる。 道端で見かける緑色をしたトノサマバッタなどと比べて、飛蝗の […]
汗 小橋 昭彦 2001年6月18日 いやあ、暑い。汗も流れる。うっとうしいけれど、体温調節のためとあればしかたない。ただ、湿気が高いと汗はなかなか蒸発してくれない。流れ落ちる汗は、じつは体温調節にはそれほど役立たず、無効発汗なんて呼ばれたりもしている。汗 […]
二枚貝のかんぬき 小橋 昭彦 2001年6月12日 今日のビールのあては何にしようか。そろそろ旬が終わろうとしているあさりを酒蒸しにして別れを告げるか。鉄板の上で次々に口を開いていくあさりたち。食べてくれと言っているような。 もちろん、そんなはずはないのであって、あれは […]
侵入生物 小橋 昭彦 2001年6月11日 田植のあいま、あぜ道を歩きつつ子どもとタンポポを摘む。花の後ろの外総ほう片と呼ばれる緑の部分が花に添って立っている。日本在来種らしい。 タンポポには在来種のほか、明治以降に入ってきたセイヨウタンポポなどの外来種がある。 […]
野鳥のいのち 小橋 昭彦 2001年6月6日 庭先に立っていると、すうっと地面をかすめるようにツバメが飛んでいく。明日は雨かな、なんていいながら、その行く先を見る。軒下に並んだ巣、そのうちのひとつ。見上げると、巣の中から小さな声がちちちと呼びかけている。ヒナが孵っ […]
おじさん、おばさん 小橋 昭彦 2001年6月5日 何年か前、子どもたちと遊んでいて「おじさん」と呼ばれ、それからすぐ「あれ、おにいさんかな」と訂正されたことがある。30歳になったころ。確かに、ぼく自身が10代だったころの30歳の印象って「中年」だったな、なんて思い返す […]