誕生日を迎えた息子に、「きょうから3歳だね、おめでとう」と声をかける。息子もまねして「おめでとぉ」「おめでとう」「おめでとう」。家族で声を合わせている。とはいえ法律上は、彼は誕生日の前日をもってすでに3歳になっているのだった。
年齢の数え方は、昭和25(1950)年に施行された「年齢のとなえ方に関する法律」で、明治35(1902)年の「年齢計算に関する法律」の規定に従うとされている。そこで「年齢計算ニ関スル法律」を参照すれば、年齢は出生の日を起算日とし、民法第百四十三条を準用して計算せよと。
民法百四十三条ニ項。「起算日ニ応当スル日ノ前日ヲ以テ満了ス」つまり、年齢なら翌年の誕生日の前日で満了し、ひとつ加算されることになる。応当する日が無いときはその月の末日ともある。うるう年の2月29日生まれでも、毎年年齢が加算されるわけだ。
昭和25年の「年齢のとなえ方に関する法律」の主旨は、数え年じゃなく満年齢で表しましょうね、だったのだけれど、日数の数え方に、0からではなく1からはじめる数えの方法を残してしまった。西暦2000年は21世紀か、なんて論争がまだ記憶に新しいけれど、こんなところにも「数え」と「満」の矛盾がある。
そんなわけで、今年の小学校新入生のうちもっとも誕生日が早いのは、4月1日で満6歳になった、4月2日が誕生日の子どもたち。
実感としてわかりにくいかもしれない。たとえばこう考えてみる。誕生日は子どもにとって、ひとつ年をとった新しい一年の始まりだ。ということは、誕生日の直前に、子どもはひとつ年を加算し、新しい一年を迎える。誕生日の直前、つまりは誕生日前日の、魔法の瞬間。
生後しばらく、今日は生まれてから何日めだなあ、と毎日考えていたことを思い出す。子どもは日々確かに成長していて、いちにち一日の積み重ねが、目の前で実感できたものだった。
いや、それは幼いうちに限らず、今もまたそうなのだろう。ぼくたち自身も、ただ誕生日に年齢を加えるわけじゃなく、毎日一日ずつ、確実に出生からの日を重ねている。昨日と違う今日、今日と違う明日。
ぼくたちは、そんな日々の魔法にふさわしいだけの今日を送っているだろうか。
「年齢のとなえ方に関する法律」「年齢計算ニ関スル法律」「民法第百四十三条」をご参考に。このあたりの解説、「教育と法」がていねいです。
今日の没ネタ。北極の氷、西風も要因で減少か(日経4月2日)。春がすみを観測する国際プロジェクト(朝日4月2日)。マトリックス風中継映像、スーパーボウルで(朝日3月30日)。
今年の小学校新入生で一番誕生日が早いのは3/31の午後12時(物理的には4/1の午前0時と同じ瞬間)に満6歳になる4/1が誕生日(早生まれ)の子供たちでは。
新入生で一番の年長は4/2が誕生日の子供たちですね。
あ、誕生日が早い、というのは、近い、という意味に読めちゃうんですね。ごめんなさい、もしそういう意味なら、後藤さんのおっしゃるとおりです。
今日と昨日ではどちらが早いか、と聞かれると昨日、と答えてしまう感覚で「早い」と書きましたが、うむ、早生まれという言葉からしても、後藤さんの解釈が正しい気もします。なぜ「早生まれ」というんだろう。それも含め調べておきます。