遺伝の条件とやさしさのミーム 小橋 昭彦 2005年6月2日 できるだけ使わないようにしている、と知人の社会学者が言っていた。それほど便利でなんだか納得した気になってしまうからと。 ミームという言葉は、リチャード・ドーキンスが『利己的な遺伝子』で提唱した用語で、生命のように文化も進 […]
自尊心 小橋 昭彦 2005年5月26日 反省という言葉を覚えたのはいつだったろう。授業で反省文を書く課題があり、そのときに言葉の意味とともに学んだのだったか。ニスベットの『木を見る西洋人 森を見る東洋人』の一節に「日本の子どもたちは、学校で自己批判のしかたを […]
NIMBYと幸福感 小橋 昭彦 2005年5月19日 地元集落の隣接地に自動車解体工場が建設されることになり、ごたごたしていたのだった。リサイクル法によって地域への配慮がなされるようになっているとはいえ、何も里山の地にわざわざという思いがある、一方で住民自身、車がないとや […]
サピア=ウォーフの仮説 小橋 昭彦 2005年5月12日 パンダ、サル、バナナから仲間二つを選ぶとき、東洋人はサルとバナナを仲間と答える傾向があることを前回紹介した。同じ実験をpanda,monkey,bananaと英語でやるとどうか。いったん母国語に置き換えない程度のバイリ […]
キノコ喰いロボット 小橋 昭彦 2005年4月28日 心理学に「パンダ、サル、バナナ」から仲間二つを選ぶ実験がある。日本人ならサルとバナナを選ぶ人が多いのではないだろうか。中国人もそうだ。これがアメリカ人だと、パンダとサルが多くなる。欧米人はものごとをカテゴリー化してとら […]
心の理論 小橋 昭彦 2005年4月21日 幼い子を叱るのは難しい。ダメと言うだけでは怒っているにすぎないと「そんなことをしたらお母さんが悲しむよ」と言ってみる。一方で、他人の気持ちを察するのは3歳の子には難しいとも思う。上の子が4歳のときだったか、「他の人の気持 […]
環境考古学 小橋 昭彦 2005年4月14日 縄文の火焔型土器や古墳時代の埴輪など、考古学では人工的な遺物に関心が集まりがちだ。でも古代の人々の生活や文化を知るには、彼らがどのような気候や自然の中で生きてきたかが問われる。そうすると、種子や動物遺体などの自然遺物に […]
おばあさん仮説 小橋 昭彦 2005年4月7日 多くの動物は死ぬまで繁殖を続けるが、人間の女性だけは、閉経後も長く生きる。この理由を説明するのが「おばあさん仮説」だ。フィンランドとカナダの多世代にわたるデータを分析した科学者らは、閉経後に長生きした女性ほど孫の数が多 […]
ウィルスと進化 小橋 昭彦 2005年3月31日 ヒトを含む多くの生物は、真核生物といって、核を持つ細胞からなっている。それに対して、細菌などは核を持たず、原核生物と呼ばれている。では核は原核生物が適応する中で徐々に形成されたのだろうか。この疑問にたいして、原核生物の […]
小さな人 小橋 昭彦 2005年3月24日 インドネシア・フローレス島で発掘され、ホモ・フロレシエンシスと名づけられた小さな原人が、人類進化の定説を覆そうとしている。少なくとも1万3000年前まで生存しており、ホモ・サピエンスはおよそ2万5000年前から唯一の人 […]
臨界ゆらぎ 小橋 昭彦 2005年3月16日 奇跡の年から100年になる。1905年、アインシュタインはその後に大きな影響を与える3本の論文を発表した。ひとつは特殊相対性理論。ひとつは光が粒子の性質を持つとする光電効果についての理論。彼はこの研究でノーベル賞を受賞 […]
身分け、言分け 小橋 昭彦 2005年3月10日 観光について調べている中で、<身(み)分け・言(こと)分け>理論を目にして、20年ほど前のことを懐かしく思い出していた。丸山圭三郎氏の著書をむさぼるように読んだのがちょうどその頃。 身分けというのは、動物一般が持つ外界 […]