癒しの由来 小橋 昭彦 2002年10月28日 龍安寺の石庭が人の心をひきつける秘密は「木」にあるという研究発表を、興味深く読む。石庭を見るとき、人は脳裏に石の間を縫うようにして伸びる木の枝を思い描いているのだという。左右対称に伸びた枝は、もっともよい鑑賞位置とされ […]
脳で操る 小橋 昭彦 2002年10月24日 手術をして後、しばらく身体を動かせない状態にあった父を見ながら、念動力を使えたらと考えたものだった。念動力、あるいはサイコキネシス。今はあまり使われない言葉だろうか、子どもの頃は超能力ブームもあって、ずいぶんあこがれた […]
せわしない擬態語 小橋 昭彦 2002年10月21日 幼児がいると擬音語や擬態語をよく使う。おしゃぶりのことを「ちゅぱちゅぱ」、ミルクを吐くことを「げぶ」。いつしか4歳の長男まで「おかーさん、しょーちゃんげぶしたぁ」なんて口にしている。 あれはいつのことだったろう、その長 […]
太る人、太らない人 小橋 昭彦 2002年10月17日 幼い頃、ロシアのおばちゃんというと太っていてペチカの前で毛糸を編んでいるイメージを持っていた。日本人でそこまで太っている人は少なく、なぜあれほど太れるんだろうと友だちと話したこともあった。 肥満度を表すBMIという値が […]
戦争の広告 小橋 昭彦 2002年10月14日 またきな臭くなってきたと思いつつ、こんなときはいっそう注意深くニュースを読む。報道はPRが上手な側の視点になることが多い。米国国務省は昨年のテロ後、広告界の実力派を迎え入れている。PRの重要性を知っていればこそ。 目に […]
チェレンコフ光 小橋 昭彦 2002年10月10日 新作が発表されると必ず手にする作家のひとりが、池澤夏樹氏。芥川賞を受賞した『スティル・ライフ』を読んだのが社会人になって1年目のこと。テーブルに置かれた水が入ったグラスを前に、チェレンコフ光を見ていると語るエピソードの […]
オーラルヒストリー 小橋 昭彦 2002年10月7日 アポロ計画について書くにあたり、宇宙飛行士ジーン・サーナンの回想録に目を通した。この書籍はどう成立したかと想像し、オーラル・ヒストリーに思いをめぐらす。政策研究大学院大学の御厨(みくりや)貴教授は、オーラルヒストリーを […]
育児語 小橋 昭彦 2002年10月3日 次男が生まれ、4歳になったばかりの長男が顔を覗き込んで「おしめですかあ」と尋ねたり、それなりにお兄ちゃんぶっている。ふだんから高い子どもの声が、いっそう高くなるのがおかしい。母親の真似をしているのか、自然と口にするもの […]
宇宙での暮らし 小橋 昭彦 2002年9月30日 宇宙飛行士への質問としてよくあるもののひとつは「トイレはどうするんですか」だという。サック状のものを局部にあて、出たものは宇宙空間に排出する。尿がきらきらと宇宙船の周りを漂うのはなにより美しいそうだ。アポロ宇宙船の記録 […]
笑いの技法 小橋 昭彦 2002年9月26日 兵庫県立人と自然の博物館の河合雅雄館長が、野生マウンテンゴリラの観察中、怒ったオスに突撃されて命を落としかけた経験を紹介していた。セットしてあったビデオをあとで確認すると、必死の形相だったかというとさにあらず、顔は笑っ […]
月への落し物 小橋 昭彦 2002年9月23日 米国のアマチュア天文家が発見した物体が、アポロ12号のサターンロケットの3段目であることが確認された。J002E3と名づけられたこの天体は、31万キロから84万キロという卵形の軌道で地球を回っている。月までの距離が約3 […]
考古学のはじまり 小橋 昭彦 2002年9月19日 日本における科学としての考古学は、1877年に行われたモースによる大森貝塚の発掘にはじまるとされる。茨城県立歴史館の特別展の案内に、徳川光圀、いわゆる水戸黄門さんが発掘をしていたとあって驚いた。1692年のことだから、 […]