人類の母 小橋 昭彦 2002年6月17日 イヴの七人の娘たち。英オクスフォード大学ブライアン・サイクス教授の命名だ。ミトコンドリアDNAをたどることで、現代ヨーロッパの人々が、わずか7人の女性から分かれた子孫ばかりであることを明らかにした。 教授は、この7人に […]
終わり、始まる。 小橋 昭彦 2002年6月13日 恐竜絶滅と隕石衝突の関連がこれほど注目を集めているのは、恐竜というたぐいまれな存在があってこそだろう。実際のところ、それに匹敵する、あるいは上回る絶滅なら、これまで何度か地球に訪れている。 その中で最大のものは、2億5 […]
白亜紀の終わり 小橋 昭彦 2002年6月10日 1980年、アルバレス親子が隕石の衝突が恐竜を滅ぼしたと発表したとき、信じる人は多くはなかった。最後に現れてものごとを解決するギリシャ悲劇の神よろしく、デウス・エクス・マキーナだと言われたりもした。数々の反論が隕石衝突 […]
清潔志向 小橋 昭彦 2002年6月6日 いま、どこでコラムを読まれていますか。オフィスの机? だとすれば、少々覚悟のほどを。オフィスには予想以上に多くの細菌がいるそうだから。アリゾナ大学などの調査によると、1平方インチあたりの細菌数で、キーボードにはおよそ3 […]
ぼくたちを貫くトンネルの旅 小橋 昭彦 2002年6月3日 映画『A.I.』に登場する歓楽の都ルージュシティの入口は、大きく開いた女性の口だった。今日はぼくたちもトンネルに入り、喉を滑り降りていこう。ただしこちらはリアルな人体の。 最初に到達するのは、もちろん胃袋。順天堂大学の […]
タスマニアタイガーとテングシデ 小橋 昭彦 2002年5月30日 背中のしま模様からタイガーと呼ばれるけれど、姿は犬のようでフクロオオカミとも。有袋類、カンガルーのようにお腹にポケットがついている。タスマニア島に住んでいたが、19世紀以降、入植してきた白人が続々と殺害。最後に捕獲され […]
カンブリア大爆発 小橋 昭彦 2002年5月27日 しばらく前から、カンブリア紀の大爆発のことが気にかかっており、コラムにまとめようとしてはとまっていた。そんな矢先、スティーブン・ジェイ・グールドが死去したとの報が入る。バージェス頁岩に光をあて、カンブリア大爆発に注目を […]
修復する 小橋 昭彦 2002年5月23日 今でこそふくよかで丸い顔をした東大寺の大仏だが、作られた当時は細おもてだったらしい。東大生産技術研究所の池内克史教授らのグループによる研究結果だ。東大寺の大仏をコンピュータ・グラフィックスで再現、それに東大寺に伝わる文 […]
背と腹 小橋 昭彦 2002年5月20日 人間は口から排泄口まで続く穴、という考え方についてコラムで触れたところ、実際のところ消化管は穴であり、外部が入り込んだものといえるとコメントをもらった。自分の中を、まるでトンネルが貫くように、外部が貫通しているという見 […]
穴考 小橋 昭彦 2002年5月16日 子どもと寄ったドーナツ店のトレイ敷に、ドーナツの穴の由来が書かれていた。いわく、米メイン州に住んでいたハンソン・グレゴリーという船乗りに起源があると。彼が子どもの頃、母親の揚げるドーナツの真ん中が生っぽいと文句を言った […]
ガマの油 小橋 昭彦 2002年5月13日 ある雑誌に連載している原稿の下調べで馬油(ばあゆ)という言葉に出会う。調べてみると、名前の通り馬の油。もっともあぶら汗をしぼりとるわけじゃなく、脂肪を精製してつくる。1頭の馬からとれる脂肪はおよそ200キログラムとか。 […]
風のある迷宮 小橋 昭彦 2002年5月9日 一般に混同されやすいけれど、迷路と迷宮は違う。迷路は言葉どおり迷い道だが、迷宮はそうではない。迷宮に分かれ道はなく、一本の道だけで構成される。その道は、ある図形のなかをくまなく埋め、迷宮を歩くものは必ずすべてをたどる構 […]