左と右と 小橋 昭彦 2003年11月20日 5歳になった長男が、ときどき「右ってどっちやったっけ」と確かめる。「お箸を持つ方」と古典的な答えをしつつ、左利きを考慮していないと自らを責める。辞書にはどうあるのかと広辞苑をあたってみて、「北を向いたとき、東にあたる方 […]
かたち 小橋 昭彦 2003年11月17日 ぼーる。ちょちょ。くんま。次男が、絵本を指差しながら片言をしゃべる年齢になった。わからないものが出てくると、「こーは」と尋ねる、「ぶどう」と答えると、力強く「ぶど”」と言ってけらけら笑う、描かれた形と言葉 […]
北京の蝶 小橋 昭彦 2003年11月13日 コンピュータの高速化が寄与する分野のひとつにシミュレーションの精度向上がある。たとえば地球大気の様子をシミュレートするためには、地上を網目状に区切って、それぞれの箇所の値の変動を予測する。このとき、網目が小さいほど精度 […]
折り紙と数学 小橋 昭彦 2003年11月10日 折り紙をしよう。まずは一回目の折り方。再現性がない適当な折り方を禁じれば、残るは二通りしかない。対向する角を合わせて三角形に折るか、向かい合う辺を重ねて長方形に折るかだ。しかし、いったん長方形を折って開けば、中央に一本 […]
不気味の谷 小橋 昭彦 2003年11月5日 ロボット工学界で「不気味の谷」として知られる説がある。人型ロボットの進化をグラフに描く。横軸には外見がどのくらい似ているか、縦軸には親しみを感じる度合いをとる。はじめ右上がり描かれるグラフだが、ある一点で急落する。そこ […]
衛生展覧会 小橋 昭彦 2003年11月2日 都市部から来た子どもたちが、どじょうをすくおうと田んぼに入った。おそるおそる足を踏み入れていたのに、すぐに「予想以上におもしろい」とはしゃいでいたのが印象的で、泥にまみれた手足をみながら、「きれい」って何だろうと、そん […]
ペーパークリップ 小橋 昭彦 2003年10月30日 なにげなく接していたものが、ある日とつぜん不思議に見えてくるという経験が、ときにある。たぶんそれは誰でも持っている感性で、「そそそそそ」と文字を連ねていると、「そ」という文字のあり方にだんだん自信が持てなくなって、それ […]
創造性 小橋 昭彦 2003年10月27日 子どもが「ブロックしよ」とせがむものだから、何日かに一度はブロックを組み立てる。H型や井型、丸型などが揃ったプラスチック玩具。「何つくろ」問うと「何でもいいで」と答える、そんなときはしばし呆然としている自分に気づく。二 […]
無次元数 小橋 昭彦 2003年10月23日 次元のない数というと穏やかじゃないけれど、つまりは単位のない数と考えるといい。たとえば、同じ10キロ痩せたといっても、関取の場合とぼくでは事情が違う。そこで、もとの体重を仮に100として現在と比較する。体重200キロの力 […]
仕返し 小橋 昭彦 2003年10月20日 痛みは主観的なものだけに、比較するのが難しい。男と女に同じ刺激を与えて申告させる実験だと、男の方が耐える。ただ、観察をする研究者が女性だと耐えるレベルが高くなるという報告もあり、生理的というより、体面上耐えているだけと […]
痛いの痛いのとんでいけ 小橋 昭彦 2003年10月16日 不快な感覚性・情動性の体験であり、組織損傷を伴うものと、損傷があるように表現されるものがある。 国際疼痛学会は痛みをそう定義する。痛みはぼくたちを危険から遠ざけ、患部を知るのに欠かせないが、必ずしも身体が傷ついたときにだ […]
割れる 小橋 昭彦 2003年10月13日 やってしまった。テーブルから落ちた茶碗は、のぞきこんだときには砕けている。ゆっくり割れてくれれば手の施しようもあるのに。調べてみると、割れ目はほぼ音速で広がるとあってはっとする。そうか、音が振動の波であるならば、外部か […]