小橋 昭彦

小橋 昭彦 2003年2月24日

 人間の眼が、明暗に比べて色合いにおおざっぱなのは、それぞれを担当する視細胞の違いによる。色を見分ける錐体細胞は網膜上に650万個、輝度を担う桿体細胞は1億2000万個。数だけでもこれだけ違ううえに、錐体細胞は明るいとき […]

小橋 昭彦 2003年2月20日

 水中では視界がききにくい。あれは極度の遠視状態になっているからだと、視覚生理学の村上元彦教授の著書で知った。ヒトはものを見るとき、光を屈折させて網膜に焦点をあわせる。水晶体がレンズの働きをしていると説明されるけれど、じ […]

小橋 昭彦 2003年2月17日

 米国の哲学研究家エリック・シュワイツァベル博士が、昔は夢も白黒だったという論文を発表している。1951年の調査ではカラーで夢を見た人は3人に1人もいなかったのに、現代では大半の人がカラーで見た経験を持っている。テレビや […]

小橋 昭彦 2003年2月13日

 夢を見た。もうすぐ1歳になる次男がとつぜん歩き始め、上がりがまちから跳び下りまでしている。きっかけは起きてすぐ気づいた。伝い歩きが上手になった彼の話をしていたところに、昨夜は長男と『となりのトトロ』を観た。何度も観た映 […]

小橋 昭彦 2003年2月10日

 男は狩猟で家族を支えてきた。わかりやすい構図だけれど、そういうものに限ってときにあやしい。人類学者のジェームズ・オコネル教授の論文がある。いわく、初期の人類にとって男が果たした役割なんてたいしたことなかったのではないか […]

小橋 昭彦 2003年2月6日

 鳥の鋭い眼光やうろこのような模様をした脚が苦手という人もいると聞いて、なるほどなあとひとり感じ入っていた。進化系統図をたどれば、始祖鳥の分岐からほど近いところで、肉食恐竜ティラノサウルスへの分岐がある。鳥の脚から無意識 […]

小橋 昭彦 2003年2月3日

 野口雨情は幼い子を亡くしていたと読者から教わって、あらためて彼の経歴を読む。生まれて2週間の幼子。失意のどん底から彼は、亡くした子に励まされるように数々の童謡を生む。それを下敷きにすると、七歳か七羽かという「七つの子」 […]

小橋 昭彦 2003年1月30日

 カラスが出てくる歌といえば「烏は山に 可愛い七つの子があるからよ」とうたう、野口雨情による童謡があった。ぼくはこれを七歳の幼子と理解していたが、鳥に親しい人にとっては予想外の解釈という。七年も生きて子どもでいるはずがな […]

小橋 昭彦 2003年1月27日

 夕焼け小焼けで日が暮れてとうたったのは中村雨紅。子どもの頃、夕方になるとしばしば思い出したものだった。烏と一緒に帰りましょうと歌うときには、ほんとうに夕空にカラスが飛んでもいて。カラスは日没30分前くらいの明るさに相当 […]

小橋 昭彦 2003年1月22日

 宇宙天気予報が現実味を帯びてきたことを書いたのは、1998年、コラム執筆を始めて1年目の夏だった。いまではインターネット上で提供されているこの予報は、日々の太陽風と地球磁気圏の様子を知らせている。 太陽風というのは太陽 […]

小橋 昭彦 2003年1月20日

 市販の方位磁石を見ていると水平に思えてしまう地球の磁場。実際には沖縄で約37度、帯広で57度強下を向いている。これがちょうど垂直になる地点がいわゆる磁極。これは北極点や南極点とはずれていて、この50年ほどの間にでも緯度 […]

小橋 昭彦 2003年1月16日

 その昔、ヒトは全身に毛をまとっていた。二足歩行をするようになって行動半径が広がったヒトは、脳が加熱するのを防ぐため、皮膚を覆う体毛を減らして体を冷やした。ところが皮膚を露出すると、紫外線が直接あたり皮膚ガンが誘発される […]