米国の哲学研究家エリック・シュワイツァベル博士が、昔は夢も白黒だったという論文を発表している。1951年の調査ではカラーで夢を見た人は3人に1人もいなかったのに、現代では大半の人がカラーで見た経験を持っている。テレビや映画のように夢見の技術が発達したわけではもちろんない。なぜ変化したのか。
テレビや映画の影響だ、というのが博士の指摘。白黒かカラーかという問い自体、映像技術が開発されたからこそ成り立つ。それ以前ならスケッチか彩色かという質問がありえたかもしれないが、夢と絵は違いすぎる。白黒映画、白黒テレビが登場して、人は夢を白黒で見るようになった。
いや、白黒で思い出すようになった、と言ったほうがいいかもしれない。見る夢は同じでも、思い出すときに、日常見ている映像の影響を受けて白黒になったりカラーになったりする。白黒のはずのテレビ番組を「真っ赤なブーツを履いていたね」なんて記憶していることもある。夢を思い出すという解釈行為の中に、色を決める過程があるとすればどうだろう。香りや触覚を届けるテレビが登場すれば、夢で手触り感などを覚えることが増えるのではないか、とも博士は予想している。
かつて人は、夢は会いたい人に会える場所であり、生き方を教えるお告げと考えていた。時代がくだって合理主義が芽生え、夢と現実は分離される。もっともそのために「夢みたいなことばかり言って」なんてぎすぎすした表現が融通するようにもなった。寝て見る夢が幻想になり、将来の夢までリアリティを失ったか。これはちょっとわかりにくい表現かもしれないけれど、夢そのものを信じるのではなく、夢を解釈する自分、夢に向かう自分を信じる。そんなつきあいかたを、ぼくは心がけている。夢に色をつけ、リアリティを与えるのは、この現実を生きるぼくたちのいとなみなのだ。
「Eric Schwitzgebel助教授」のサイトから論文がダウンロードできます。「The Association for the Study of Dreams」も参考に。今回のコラムは、前回の「なぜ夢を」の続編的内容でした。
余り詳しくないのですが、夢には内容によって「夢占い」というものが存在しますよね?
余りよくない夢でも「逆意」でよいことの暗示だったり
(両親の死は、近未来起こる幸福の暗示だとか・・・)
夢の色の次は、夢の内容で何か面白い話しをまたお聞かせいただけると楽しいです!
私は、意味不明な夢やストーリー的に無理のある夢。常識では考えられないようなファンタジーな夢など、とにかく色々な夢を見ます
そして、朝起きてクビをかしげています
あと、正夢
私は以前、立て続けに夢が正夢になったことがあります
調子に乗って宝くじを始めて買ったら、3000円当たりました
(夢は3億円でしたけども) <笑
いつも楽しく読ませて頂いています
これからも楽しい雑学。お待ちしております!
まるさん、ありがとうございます。
そうですね、フロイト的な夢判断とか、○○は★★のシンボルだ、みたいな話はあるのですが、ぼくはあまり重視してないのです。夢を解釈するのは、あくまでも夢を見た本人なので、同じ内容の夢でも、人によって解釈の仕方が違ってくる。だから、コラムで一様な解釈は届けられない。
とすると、夢の内容に関してというと、どんな料理方法が可能かな。民俗的な方向かな。うん、考えておきますね。
うーん、テレビの影響というのは実感湧かないなぁ・・
テレビ放送が始まって50年とのことですが、では、それ以前は?
白黒放送が始まると夢も白黒になり、カラー放送が始まると夢もカラーに?
では、放送開始以前はどうだったのかな・・
映画も含めるとここ1世紀というスパンになりますが、いずれにせよ、それ以前は「カラーか白黒か」なんて質問自体、成り立たなかったのは事実でしょうね。
先日スタートレックで、夢の中で敵と戦うというストーリーを見てて思ったことです。
副長が艦長に言った台詞がとても印象的でした。
古代のアボリジニは夢を現実のものと認識していたと。
それだけリアルなものを昔の人間も見ることができたのなら、
色がついてたり、動画であったのではないでしょうか。確かに
空を飛んでみたり、高いところから下を見下ろすなど、TVや映画から貰う「映像」はあります。でも高い山から鳥の視界を想像したりすることで昔の人も夢の中で飛べたのではないかと、
一人勝手に思ったのですが・・・。
白黒説というのは、白黒テレビ時代の人たちだけ、逆にテレビのない時代の人々の方が、もっと現実に近い夢を見ていたのかな。
ついでに私はいっぱい夢を見ます。夢占いにはまった頃もありました。夢の中で考えてたり、シリーズ物だったり、ドラマや映画、漫画など寝る前に受けた印象から見てしまうなど、いろいろです。だからTVから受ける影響は大いにあると思います。
夢の色を読ませていただいてから、自分なりに夢の色について考えました。毎日夢の色を考えながら寝ましたが、どうもほとんどが白黒であったようです。しかし一回だけ鮮明に色づきの夢を覚えています。駅で列車を待っていて、ホームに列車が入ってきたとき、その列車は綺麗なブルーの車体でした。この場面は今でも思い出します。起きてから夢もカラーの時があるのだなと言う感じになりました。