人と動物 小橋 昭彦 2003年7月17日 たとえばつる女房。あるいは猿婿入り。昔話には動物などとの婚姻を描いた話があり、異類婚姻譚と呼ばれている。動物が人間に化ける話が多いのは日本の昔話の特徴で、西洋にはあまり見られないという。生物学の中村禎里氏によると、『グ […]
信念という持ち物 小橋 昭彦 2003年7月14日 心理学者のロバート・エイブルソンに「信念とは所有物のようなもの」という言葉がある。なるほど、ぼくたちは信念を「持ち」、「得たり」「抱いたり」、ときにはそれを「手放し」も「失い」もする。同じ心理学者のT・ギロビッチは、エ […]
二軸の運動 小橋 昭彦 2003年7月10日 なんば歩き。右足を出すと右手を出す、左のときは左という歩き方と一般に解説される。江戸時代まで日本人はそんな歩き方をしていたというと、たいていの人は信じられない。確かに、意識して右手右足を同時に出そうとするとぎこちない。 […]
一年に一光年 小橋 昭彦 2003年7月7日 自分たちの宇宙の年齢が定まる時代に生きていられるとは。観測衛星が取得したデータを解析した結果、宇宙の年齢は137億歳とわかったというニュース。宇宙は平らで、4%の見える物質、23%のダークマター、73%のダークエネルギ […]
靴を履いて 小橋 昭彦 2003年7月3日 通称、アイスマン。アルプスの雪の下から、死後10年も経っていないと思われる状態で発見された。46歳、身長およそ159センチ。最後の半年に3度大病を患っている。鍼治療のあとと思われる入れ墨が、関節炎にかかったときのツボ周 […]
並行宇宙 小橋 昭彦 2003年6月30日 科学誌の特集に「並行宇宙は実在する」とあった。ちょうど「平行」宇宙が趣向となった山田正紀氏の『ミステリ・オペラ』を読み終えたところ。山田作品において平行宇宙は、エヴァレットの多世界解釈で説明される。 ものごとの状態を確 […]
水切り遊び 小橋 昭彦 2003年6月26日 宇宙船が大気圏に再突入する際に進入角度が重要と知って以来、水切り遊びをするたびそのことを思い出す。平らな石を拾って川岸からサイドスローで投げる、石は水面をぽーんぽーんとはね、向こう岸に向かっていく。波紋を残す水面に、写 […]
エコロジカル・ヒストリー 小橋 昭彦 2003年6月23日 前米大統領夫人が『リビング・ヒストリー』と題する回想録を出版したと聞いて、あらためて米国と日本の「歴史」観の違いを思う。多少題名としての装飾は入っているとしても、「ヒストリー」とは。日本でなら個人の歩みはあくまで回想録 […]
サルとシェイクスピア 小橋 昭彦 2003年6月19日 無限の時間と壊れないタイプライターがあればサルにも詩篇23篇が書ける。進化論支持者として知られるトマス・ハックスレーが、創造論者とディベートしたときに言ったとされる言葉だ。詩篇23篇は「主は私の羊飼い」に始まる。「Th […]
ホタルの方言 小橋 昭彦 2003年6月16日 地元で開かれたヒメホタル鑑賞会に子どもと出かける。いつも川で見るゲンジやヘイケと違って、ヒメは山に棲む。特有のすばやい点滅を探して山へ。残念ながらこの日は見かけない。あまりの人出に隠れてしまったか。 ホタルの語源は火照 […]
喪服の変遷 小橋 昭彦 2003年6月12日 あたりまえと思っている風景が不思議に見える。長く患っていた母方の祖母の葬儀に出たときのこと。棺に花を手向けつつ、死者の白装束と生者の黒い装い、このコントラストはどこに由来するのかと、頭の片隅をよぎる。神聖な色としての白 […]
植物と動物 小橋 昭彦 2003年6月9日 その名も、奇想天外。アフリカ西南部の砂漠に、たった2枚の葉だけで1000年以上も生き続ける植物がある。葉の基部に分裂組織があって、生涯伸び続け、帯のようになる。さすがに葉だけというのは珍しいが、樹木を含めると、植物には […]