無限の時間と壊れないタイプライターがあればサルにも詩篇23篇が書ける。進化論支持者として知られるトマス・ハックスレーが、創造論者とディベートしたときに言ったとされる言葉だ。詩篇23篇は「主は私の羊飼い」に始まる。「The Lord is my shepherd, I shall not want.」というフレーズが、大文字や記号も含め50通りのキーから偶然に生まれる確率はどうか。THEは50×50×50通り分の1。1秒に1回打鍵したとして、すべて試すのに34時間あまりかかる。スペースも含めTHE LORDまでだと100万年以上、最初の一文だけで宇宙の年齢以上かかる計算。
サルからシェイクスピアにいたる間には、言葉の進化にも相転移があった、とスペインの学者が言っている。水が気化するように一気に変化する段階があったというわけだ。話し手にとっては少ない言葉ですませるのが楽だが、聞き手にとってはひとつの意味にひとつの言葉が対応する方が間違いが少ない。こうした利害のバランスを数学モデルで表現して計算した結果、言葉はほとんどコミュニケーションがない状態から、完全なコミュニケーションに一気に移った可能性があると。
英プリマス大学の研究者グループは、実際に6匹のサルにコンピュータを与え、1カ月間キーを打たせている。サルは確かに5ページのテキストを作成した。ただ「THE」さえ生まれなかった。ディスプレイを叩いたり、キーボードに糞をしたりといった行為に忙しかったせいもある。研究者いわく、サルはランダムにキーを打つには複雑すぎる、と。
サルの打ち出したテキストに目を通す。副題に「シェイクスピア作品に向けての走り書き」。fが2文字、改行、vが続き、p、s、gの連打。その後はページをわたってずっとsが続く。シェイクスピアに至るには遠い、意味のない羅列。それなのにその並びについ、サルの思いを読みとろうとしている自分に気づく。なるほどヒトとは不思議な生き物だ。
Thomas Huxleyの逸話については、「Could Monkeys Type the 23rd Psalm?」「Those Typing Monkeys Don” t Prove Evolution」などでも触れられていますが、どうもあれですね、創造論者側の格好の反論材料になっている雰囲気。言葉の相転移については「Ramon Ferrer i Cancho」「Ricard Sole」両教授によります。論文は「Least effort and the origins of scaling in human language」に。サルのキーボード実験は、「VIVARIA.NET」に詳しく、実際の文書も「Notes Towards the Complete Works of Shakespeare」からダウンロード可能です。また、このサイトのPROTOTYPEもおもしろいですよ。実際にコンピュータがランダムにシェイクスピアを目指してくれます。
サルと比較していいのかどうか・・・
先日、ちょこっとチャットルームを覗いた時のことです。顔文字のオンパレードで、おもわず逃げ出してしまいました。まったくといって理解不能でした。
それでも彼(彼女)らには通じているのですよね。
そうするとサルもひょっとしたら・・・ って思うと、
なんだか楽しくなりますね。
ドリトル先生のようにみんなが言葉でコミュニケーションを取れたらどんなに楽しいことでしょう。
考えると、夢の世界へ行ってしまいそうです。
いつの日か実現して欲しいような、欲しくないような・・・
1カ月間で5ページは少な過ぎる
キーを叩いたら餌が出でくる等の行動理由を与えていないからだろうが
私たちはなぜキーボードをたたくのか?