いましか、言えない 小橋 昭彦 2001年4月12日 言葉は、日々新しい。ほぼ10年ごとに改訂されている三省堂国語辞典の場合、新版が出るごとにおよそ3000から4000の新項目が加わっている。1日にひとつは辞書掲載レベルの言葉が生まれている計算。いまの新聞を調べると、カタ […]
大地の下、水は流れ 小橋 昭彦 2001年4月11日 そう、わが家にも井戸があった。汚れて帰った夏の午後、腕に足に、ひんやり冷えた水を浴びた。スイカをつるして冷やしたりもしたっけ。あの井戸水は、どのくらいの年を経た地下水だったろう。 地下水の年齢は、地域によっておおきな差 […]
鼻呼吸 小橋 昭彦 2001年4月10日 きなくさい、という。類焼にあったときのあの匂いはまさに字義どおりだったと思い出す。ともあれ、きなくさい奴といった表現を生むほど、危険を察知するのに、嗅覚は人間にとって重要な情報源だったわけだ。 危険を察知するだけではな […]
門 小橋 昭彦 2001年4月9日 字形からいえば、二枚扉の上に横木を掛け渡したのが門。一枚扉の「戸」と区別されてきたわけだが、屋外に独立して建つのを門、建物の出入り口を戸、という使い分けもあって、現代の日本における用法はそれを伝えている。 門はもちろん […]
夜の白い家 小橋 昭彦 2001年4月6日 フィンセント・ファン・ゴッホの作品に『夜の白い家』という絵がある。最後の数カ月を過ごしたパリ郊外のオーベール・シュル・オワーズの風景を描いたもの。赤い屋根の白い家、その右上にひときわ明るく輝く黄色い星。 この絵の描かれ […]
ハエ以上、イネ以下 小橋 昭彦 2001年4月5日 遠足の前の日、200円を手に友だちと連れだって学校近くの駄菓子屋へ。上限とされるその金額以内で、どんなお菓子を揃えるかが楽しみだった。 人間の遺伝子の数がおよそ3万個と、これまでの10万個という予想より少ないことが話題 […]
郵便差出箱 小橋 昭彦 2001年4月4日 日本に初めてポストが設置されたのは1971(明治4)年のことだ。名称は一定ではなく、書状集め箱などと呼ばれたりしていたという。翌年には角柱型の木製ポストが登場。黒塗りで、表に大きく「郵便箱」。これをはじめてみた人が「た […]
「キレる」の科学 小橋 昭彦 2001年4月3日 抗うつ薬として米国で大ヒットした「プロザック」。世界で2000万人が服用したとも言われるその薬には、セロトニンの働きを助ける作用がある。 セロトニンというのは脳内物質のひとつで、これが減ると片頭痛を起こしたり、攻撃的に […]
コラム 小橋 昭彦 2001年4月2日 編集ソフトの説明にはカラムの調整なんて表現がされているから気づかなかったけれど、そう、縦列を意味するカラムと、この小文のようなものを指すコラムは、もともと同じcolumnだ。 コラムの歴史は古く、1751年に英国の新聞 […]
台風の進路予報 小橋 昭彦 2001年3月30日 グローバル化の進む天気予報の世界。現在では、10の気象衛星、約4000の観測所、約7000隻の船などからの情報が、専用の通信システムを通して毎日配信され、各国で共有されている(朝日3月3日)。気象庁が1日に収集する情報 […]
その行為 小橋 昭彦 2001年3月29日 18世紀フランスの思想家、ジャン・ジャック・ルソー。『社会契約論』などの政治的著作でも、『告白録』などの文学的著作でも知られており、フランス語圏以外では日本でことに人気が高い。 代表作のひとつ『エミール』はどちらの系列 […]
がらくたDNA 小橋 昭彦 2001年3月28日 遺伝は何らかの独立した因子で規定されるという概念を確立したのはメンデル。彼の研究は生前ほとんど注目されることはなかった。進化論で知られるダーウィンも同時代の人で、純種同士の受精による繁殖で生まれるのは、完全な融合物では […]