今日から1カ月、ブータンからの留学生を預かる。
GNH(国民総幸福量)で知られる国。実際に同国で暮らした人の話では、あれほどお年寄りの笑顔が印象的な国は無いという。
お金があると幸福かというとそうではない。国民一人あたりの所得が一定水準を超えると、所得が増えても幸福度はあがらない。経済学者のリチャード・イースタリンが1974年に発表しており、イースタリンの逆説として知られている。
この夏に広島大学の研究者らが発表したところでは、「マインドフルネス」傾向の高い人は、収入に関わらず高い幸福を感じているとのこと。
マインドフルネスというのは、今この瞬間に生じている経験に意識を寄せること。大手IT企業などで導入され、よく知られるようになった。
広島大の研究では、マインドフルネス傾向が高い人の特徴として、自分の経験を批判的に見ないこと、自分の体験を言葉で表現するのが得意なことの2種類をあげている。
自分の体験を批判的に見ない人は、他者と比較することなくありのままの自分を受け入れる。言葉で表現できる人は、ひとつひとつの経験を漠然とではなく、ていねいに受け取る。
京都大学の研究者らが脳活動を調べたところでは、マインドフルネスの際、記憶に関連する脳領域の活動が低下しているそうだ。
ぼくたちはふだん、どうしたって過去や未来にとらわれる。ああすればよかった、こうなったらどうしよう、などなど。
だけど、ぼくたちが生きているのはこの瞬間だ。一度きりしかないこの瞬間を、ていねいに重ねていくこと。ただそれだけのことが、案外むずかしい。
幸福度っていうのは、今世紀に入って注目度が高まりましたね。過去のコラムでは『しあわせですか』や『NIMBYと幸福感』などをご参照ください。
広島大学の発表は『【研究成果】“幸福感”は年収の高さに依存するのか? ~心理的傾向「マインドフルネス」の影響を初めて解明~』にて、京都大学の研究は『洞察瞑想時に自伝的記憶関連脳領域間の結合性が低下することを発見』で詳細が紹介されています。
10月からくすぶっていて今月大ブレイクした青山の公共施設建設の反対運動を想起してしまいました。あの問題は典型的なNIMBY事案ですが、そこに住民側の「高所得」要素が世の中的にはさらなる燃料になっている感があります。
ちょっと本論とずれてしまいましたが。
「裏庭」のある住民だけでなく、裏庭を持っている住民に対する他の住民の意識も関係するってことですね。なるほど。