小橋 昭彦 2018年12月28日

 たまたまこの夏、知人から案内を受けて参加したブータンのGNH(国民総幸福量)に関するセミナーで、印象的な言葉に出会った。

 ブータンの幸福から日本人が学ぶとすれば、「幸福を感じる心も同時に育てるべき」という指摘だ。幸福の尺度は人によって違う。だから、それぞれが自分のものさしを持つ世の中を目指そうと。

 昨年から「ソシエテ・リベルテ」というプロジェクトを行っている。「自由な社会」から造語したこのプロジェクトの活動目標が、語り合いを通して自分のものさしを見つけてもらうこと。そのことが、もっと自由で幸福な社会につながるだろうと。
 田舎に暮らすようになって印象的だったのは、職業やライフスタイルに対して自分なりの尺度を持っている人が多くて、それぞれがいきいきしている姿だった。農家に代表される自営業的な人が多いからだろうか。ソシエテ・リベルテでは、その尺度を紹介することを通して、ひとつの価値観に縛られない自由な考え方を広げられたらと願っている。

 プロジェクトを始めるときに購入したのが、京都大学の「素数ものさし」だった。目盛に素数しかなくて、たとえば4を測ろうと思えば7と3を利用するか、11と7を利用するかと手間がかかる。
 だけどそんな手間が、頭をひねる快感となって楽しい。京都大学の川上浩司教授らが提唱する「不便益」を体現した商品だ。

 機能性は美しい。でも、人に合わせすぎるのはどうか。環境に自分を合わせていく、その手間にも楽しさや自分が変われる幸福を見出すのが人間ではないか。
 設計された公園ではなく里の森ではしゃぐ子どもたちの姿を見て、生きることの本質に思いをはせた頃のことを、素数ものさしを手に思い出している。

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1 thought on “不便益のしあわせ

  1. 不便益については、川上浩司教授のとても不便なタイトル(!!)の書籍『ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便をとり入れてみてはどうですか? ~不便益という発想』をご参照ください。

    そして『京都大学 限定 素数ものさし』もAmazonで買えたりします。

    ソシエテ・リベルテについては、『ソシエテ・リベルテ』へどうぞ。

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