ざつがく・どっと・こむ
ちょっと知的な雑学&トリビア

蝶の擬態と「超遺伝子」

2012年1月18日 【雑学なメモ
Share...Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

蝶の擬態を「超遺伝子」が司っているという話。「Chromosomal rearrangements maintain a polymorphic supergene controlling butterfly mimicry」(Nature477,203 206(08 September 2011))から。研究者のMathieu Joronさんのサイトにニューヨークタイムズの記事「A Supergene Paints Wings for Surviving Biological War」へのリンクがあったので、そちらも参考に。

超遺伝子というのは、同じ染色体の上に強固に並んでいて、そのままの単位で遺伝する遺伝子群のこと。サクラソウのピン型とスラム型で最初に記述されたのだとか。

Supergenes are tight clusters of loci that facilitate the co-segregation of adaptive variation, providing integrated control of complex adaptive phenotypes. Polymorphic supergenes, in which specific combinations of traits are maintained within a single population, were first described for ‘pin’ and ‘thrum’ floral types in Primula and Fagopyrum, but classic examples are also found in insect mimicry and snail morphology

ついでに蝶の擬態についても「蝶の生態について」を参考に復習。

  • 隠蔽
    これは葉っぱに見せかけるなど、環境に身を隠すためのものですね。
  • 目玉模様
    こちらは天敵に見せかけるなど、敵を脅すためのもの。
  • ベイツ型
    自分は毒を持っていないけれど、毒を持っている種類に見せかけるもの。
  • ミュラー型
    自分を毒を持ちつつ、他の毒を持つ種と似せること。

今回研究の対象となったのは、ミュラー型で7種類もの模様を切り替えるヌマタドクチョウ。

Share...Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn



required



required - won't be displayed


Your Comment:

Nature2011年6月1日号に、アウストラロピテクスがどこから嫁入りしたかに関するレポートが掲載されている。オンライン版で読めるので、下記をどうぞ。
Female australopiths seek brave new world

Teeth from ancient human ancestors suggest that females joined new social groups once they reached maturity.
群れの中ではなく、遠くから嫁入りしたようだ、というのがここでの仮説。これは、歯の化石に含まれる2種類のストロンチウムを調べたもの。ストロンチウムは植物に含まれていて、食物連鎖を通じて成長期のヒトの骨に含まれるのだそうだ。その結果、女性の化石のストロンチウム同位体の比率は、その土地ではなく、遠隔地のものと似ていたという。

こうした手法で、今では確認しづらい風習を知るというのは面白い。ただ、化石を傷つけるので、多くのサンプルでできないのが難点だとか。ちなみに、女性が群れを離れるパターンは、チンパンジーのメスが成人すると群れを離れる行動と類似しているのだとか(ゴリラは雌雄とも離れるらしい)。

嫁入りに関して言えば、祖父・祖母らの世代以前の人たちがどこから嫁入りしていたかを知るのは、自動車社会が始まる前の地域の関係を知るよすがとなって興味深い。たとえば、今では消えつつある山中の坂が、昔は人がさかんに通っていて、山を越えて嫁入りした人が結構いるとか。今では、丹波地域が兵庫と京都に分かれて県境を越えての交流はあまりないけれど、昔は京都側の同じ丹波の国からけっこうお嫁さんに来ていたとか。

もっとも、アウストラロピテクスと、複雑化した近現代社会を比較するのは無理があるのだけれども。

前の記事

DiscoveMagazineで2011年トップストーリー100に選ばれた研究(Top 100 Stories of 2011 #42: The Too-Sure Thing)。

自信過剰というと、痛い目にあってしまう原因のひとつなのだけれど、ゲーム理論を使って計算した結果、自信過剰が有利に働く状況があるという(” The evolution of overconfidence ”Nature477,317 320(15 September 2011))。研究者のひとりJamesFowlerのサイトから論文(PDF)がダウンロードできる。
Here we present an evolutionary model showing that, counterintuitively, overconfidence maximizes individual fitness and populations tend to become overconfident, as long as benefits from contested resources are sufficiently large compared with the cost of competition.
マンモスの群れに向かうのは蛮勇だけど、多少の危険を冒した方が利得が大きいことがある。もっとも、その見極めが難しいんだよね、実際には。下記は、著者へのインタビュー。

 

次の記事