あなたは他人を信頼しますか?
そう尋ねられて「はい」と答えられる人は、そうでない人よりも長生きできるかもしれない。アメリカでの統計データを分析したルンド大学とストックホルム大学の研究者らが見出した結論だ。
気になるネタをつぶやいているツイッターで、この研究結果に思わず「なんて美しい」と添えた。
佳人薄命なんて言葉もあって、美人であったり資質に恵まれている人は運に恵まれないという先入観を持っていた。しかしそれは物語からの影響だったか。現実の人間社会はもっとやさしいかもしれないと、考えをあらためた次第。
同じ研究によると、単に個人の信頼感だけではない。信頼性の低いコミュニティに暮らしている人は、高いコミュニティに暮らす人よりも短命になるリスクが高いという。
信頼は社会の潤滑油という。人を信頼することで他者との摩擦を減らし、社会からのサポートを得られ、結果的に健康を害したり命を縮めたりするストレスを減少させる。それがこの結果になったのではと研究者らは指摘している。
そういえば京都大学の研究者が、日本社会の協調性は「地域活動」から育まれたと発表していた。
協調性は農業地域で高い傾向があるのだけれど、それは農業をするからではなく、お祭りや自治会活動などの「地域活動」に参加する機会が多いため、促進されるのだと。
協調性と信頼がそのままつながるわけではない。農村に住む身としては、地域活動への参加の先に、個人間の信頼を養うことができればと願う。
冒頭の研究によれば、他者を信頼する人とそうでない人の平均余命の差は10カ月。
人を信じ、信頼のコミュニティで生きることで得られる10カ月間。それはじっくりと味わうに足る、とても美しい余生ではないか。
窓の外、今日も彩を深める秋の山々を眺めつつ、思いを馳せている。
原著論文は、『Trust and all-cause mortality: a multilevel study of US General Social Survey data (1978–2010)』です。著者の一人、Alexander Miething氏のプロフィールページ『Alexander Miething』からダウンロードできますので、気になる方はご参考に。
それから、京都大学の調査の方は『日本社会の「協調性」は農業地域で高く、その一因が「地域活動」にあることを見出しました』で紹介されています。
またまた最近似たような記事を読んだところでした。
https://blog.tinect.jp/?p=54416
他人を信用する人が下手だと、確かに生きづらいだろうなぁ、と思います。
信用して裏切られるのがいやだ、と思っていると信用できなくなるのでしょうが、裏切られた時に他人を恨まなければ大丈夫な気がします。
「信頼はするけど、過度な期待はしない」そして「信用したことの責任は自分が持つ」これができればno problemなのでは。そういう心持ちの人は精神衛生上いいでしょうし、そういう人が集まるコミュニティにいたらなおさらでしょうね。
ただ、近年よく話題になることが多いですが『日本社会の「協調性」は農業地域で高く、その一因が「地域活動」にあることを見出しました』こっちの方は過剰な同調圧力などがかえってストレスにつながるなど、問題もありそうですが…。