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言語もまた出アフリカ?

2011年4月20日 【雑学なメモ
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世界の人類はすべてアフリカに起源を持つという「出アフリカ」説。オークランド大学の学者が、世界中の言語も、アフリカにひとつの起源を持つという仮説を発表しました。

世界のすべての言語、アフリカの「祖語」にさかのぼる

現在、世界に6000前後の言語が存在するが、そのすべてが5万-7万年前にアフリカに存在した初期の人類が話していた祖語から枝分かれしたものである可能性が最新の調査で明らかになった。

遺伝学の分野に「創始者効果」として知られる理論があります。これは、祖先となる集団の中にある遺伝的多様性が、子孫に枝分かれするとき、そのままの頻度ではなく、偏って引き継がれるという効果のことです。簡単にいえば、今の集団はAからDまでの多様性が混在する集団だけど、枝分かれした小集団は、ある集団ではA的な人ばかり、別の集団はD的な人ばかりという現象が起こるよと。そういう話です。

で、言語にもこれがあるんじゃないか、ということで援用して、遺伝子の変わりに音素をあてはめて研究したのが今回の研究ですね。すると、アフリカの言語でもっとも音素が多く(141も!)、逆に少ないのは南米と太平洋諸島(13)だったと。ちなみに、これは見方によっても違いますが、日本語は約20、英語は40。日本語は進化した言語に入りますね。

学生時代、ペルシャ語を学んでいて、アラビア語にも手を出そうとしたとき、「ペルシャ語は進化しているから簡単だけど、アラビア語は原型に近いから難しい」と言われたことを思い出しました。ともあれ、バベルの塔はアフリカにあったか。

Phonemic Diversity Supports a Serial Founder Effect Model of Language Expansion from Africa

Human genetic and phenotypic diversity declines with distance from Africa, as predicted by a serial founder effect in which successive population bottlenecks during range expansion progressively reduce diversity, underpinning support for an African origin of modern humans. Recent work suggests that a similar founder effect may operate on human culture and language. Here I show that the number of phonemes used in a global sample of 504 languages is also clinal and fits a serial founder effect model of expansion from an inferred origin in Africa. This result, which is not explained by more recent demographic history, local language diversity, or statistical non-independence within language families, points to parallel mechanisms shaping genetic and linguistic diversity and supports an African origin of modern human languages.(Science 15 April 2011:Vol. 332 no. 6027 pp. 346-349)

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困難な状況の中で、それでも立ち上がる人たちが備えている三つの能力について。

現実を直視する能力
楽観主義者だと失望を繰り返すばかりになってしまう。現実を受け止め、向き合う強さ。
現在の状況に意味を見出す能力
困難な状況下においても捨て鉢にならず、人生に意味を見出すことができる価値観と信念。
手近にあるもので間に合わせる能力
プリコラージュ。混乱の中でも、手元の材料をもとに可能性を見出せる想像力。

(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2011年5月号「『再起力』とは何か」)
再起力(Relilience)、という考え方があるんですね。

なかで、プリコラージュに関連して、それが派生するのは「規律と制約の下」というのが興味深い(クリエイティビティの場合にもそれはあてはまる)。引用します。
(前略、カール・E・)ワイクは組織行動学で最も権威のある学者の一人であり、次のように書いている。

「人間は、プレッシャーにさらされると、最もなじものある行動へと回帰する。生存を脅かすような重圧の下では真新しい想像力など期待できない」

表現を換えれば、ある企業が創造力を抑制するような規則や規制を定めていようと、むしろそれは真に危機の時の再起力を高めるものとして機能しうるということである。(DHBR2011年5月号p33)
原論文はDiane L. Coutuが9.11を受けて書いた、HBR2002年5月号掲載の論文”How Resilience Work”。3.11後の日本に向けて、再掲されたもの。

人間には、困難な中から立ち上がる能力がある。
再起力とは、人々の精神と魂に深く刻まれた反射能力であり、これを理解する能力である。再起力の高い人や企業は、現実に毅然と目を向け、困難な状況を悲嘆することなく、前向きな意味を見出し、啓示を得たかのように解決策を生み出す。(DHBR2011年5月号p33)
 

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大阪市立大学の神谷信夫教授らの研究グループが、光合成における酸素発生の謎を解明したというニュース。同大学のプレス発表資料から紹介。
光合成酸素発生の謎を解明-神谷信夫教授(複合先端研究機構)らの研究成果がネイチャー誌に掲載

光合成は、太陽の光エネルギーを利用して,有機物の燃え残りと言える2酸化炭素からブドウ糖を作り出す過程です。ブドウ糖は,我々人間を含め,ほとんどすべての地球生命体が,呼吸によりエネルギーを取り出している栄養源です。光化学系II複合体(PSII,図1)は,太陽からの光を受けて,水を分解して酸素分子を発生させ,同時に電子を発生させています。この電子は,2酸化炭素をブドウ糖まで変化させるために利用されます。これまでPSIIの酸素発生反応は,4個のマンガン原子(Mn)と1個のカルシウム原子(Ca)が複数の酸素原子(O)により結びつけられた金属・酸素クラスターの上で進行しているとされていましたが、そのクラスターの正確な化学組成と詳細な原子配置は明らかにされていませんでした。

今回、我々は、PSIIの結晶の質を従来と比べて飛躍的に向上させることに成功し、大型放射光施設SPring-8(兵庫県・西播磨)を利用してX線結晶構造解析を行いました。これにより、そのクラスターはMn4CaO5の組成をもち,全体として歪んだ椅子の形をしており、ひとつのMnとCaにそれぞれ2個の水分子が結合していることが明らかになりました(図2)。これら4個の水分子のいずれかは、Mn4CaO5クラスターから発生する酸素分子の中に取り込まれるものと考えています。
なんというか、これは直感的な話なんだけど、これまでの人類って、自然に対抗するために技術を磨いてきたみたいなところがあるように思う。それに対して、21世紀のテクノロジーは、インセクトテクノロジーなどもそうだけど、自然から学び、いかにそれを模倣するかに重点が置かれていくように感じている。

光合成が人工的に実現できたら、すごく夢のある話。楽しみな研究だ。
Crystal structure of oxygen-evolving photosystem II at a resolution of 1.9 A

(Nature published:2011 DOI:10.1038/nature09913)
 

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