小橋 昭彦 2001年5月18日

 目には青葉山ほととぎす初鰹と山口素堂。これは江戸っ子の初物好きから生まれた習慣で、脂ものっていないし、この時期のカツオがひいでておいしいかというと異論もあろう。ともあれ、初がつおのシーズンだ。
 カツオはマグロの近縁。英語ではskipjack tunaと呼ばれたりもしてマグロと近くとらえられているけれど、日本語でマグロとカツオを混同することはない。マグロは刺身などとして食した一方、カツオは干魚とするのが常識、調理方法がまったく違ったためだ。堅い魚、カタウオからカツオと呼ばれるようになったゆえんでもある。ただ、鰹の文字そのものはかつてはウナギをさしていたらしい。
 4月頃から夏にかけて日本近海を北上することでも知られるように、カツオは回遊魚。時速およそ40キロ、ときには100キロを出すというから、おそろしいスピードだ。現在の高速船でもここまでは出ない。
 そんなに急がなくてもと思うが、スピードが落ちれば呼吸に支障をきたす、とまってしまえば浮き袋のない筋肉質の魚体は沈んでしまうとあれば、高速泳法はその宿命でもある。
 勝つ魚として武家で珍重され、なまぐさを禁食した仏家でも鰹節は「木魚」の隠語で呼ばれ口にされたともいう。あるいは、ついつい酒がすすむ内蔵の塩辛、酒盗。さまざまに愛されてきたカツオ。いまも南海を高速で泳いでいるだろう彼らに、ありがとう。ぼくも泳ぎつづけます。

3 thoughts on “初鰹

  1. 今日の没ネタ。東京ドーム巨人戦で売れるビール、1試合約2万1000杯(朝日4月12日)。

  2. カツオといえばサザエさん。小学校のころのぼくにとって、彼はヒーローの一人でしたね。「こら!カツオ!」って怒られるの、なんか気持ちよさそうじゃないすか?

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