現在、地球上には約14億立方キロメートルの水が存在している。サイコロ状にするなら一辺は1120キロメートル。青森から下関までの直線距離にほぼ等しい。こう表現するとそんなものか、と思われるかもしれないが、では高度1120キロというとどんなものかというと、スペースシャトルでさえ高度はせいぜい400キロ、つまりは間違いなく宇宙空間だ。
そのはるか高みから、地球に水がもたらされているかもしれない、という説をとなえたのが、米アイオワ大学のフランク博士らだった。いわく、地球には毎分5ないし30個もの小彗星がぶつかっている、雪玉状のそれが地表上1000キロメートルの高みで分解したあと、水を地球にもたらしていると。
大きな彗星は地球上の水と成分が違うとされているが、小彗星の成分は確認されておらず、その存在も含めて、真偽はまだ確かめられていない。博士らは、2001年春に小彗星を別の望遠鏡で再確認したと発表した。
ちなみに、全水量のうち淡水はわずか3600万立方キロメートル。極地の氷床など短時間で循環しない淡水を除けば約1100万立方キロメートル。こちらのサイコロの一辺は東京から名古屋までも届かない。
宇宙からかどうか由来はともかく、今日も地球の水は循環している。ときには氷河になり何万年とかかりつつ、しかし長い目で見るとまた天に帰り、地上に降り注ぎ、また天に帰り。そしてほんの一瞬、ぼくたちの中を通り過ぎたりもするのだ。
今回のコラムは、「大地の下、水は流れ」を水についての地下篇とするなら、その天上篇というところです。雪玉が降っているというニュースは、1997年のもの。「NASAの発表」あるいは「国立天文台の解説」をご参照ください。「宇宙から飛来する雪玉」も参考になります。その後の動きを含めた解説は「Small Comets」に。