小橋 昭彦 2001年1月23日

 おそらく多くのパン屋にあるのではないか。アンパンマンあんパン。3歳を前にした息子はトングを片手に「いたくないかなあ」とつかむのをためらっている。
 あんパンは明治7(1874)年に生まれている(日経12月16日)。和洋折衷の例としてよくあげられるけれど、まさにその代表例。パンそのものは16世紀にはポルトガルから伝来していたものの、ご飯と違う食べ方をするし、イーストとバターの匂いが気になり庶民には広がらなかった。ここに和の甘味・あんを取り入れて日本人好みに作り変えたのが木村安兵衛。酒まんじゅうの香味を持たせようと工夫を重ねたという。米とこうじで生地を発酵させる、酒種あんぱんだ。
 あんパンの発売から2年後、天皇への献上用に桜の花の塩漬けを載せた桜あんぱん、俗にいう「へそパン」が生まれ、代表的な商品となる。
 パンはその後、ジャムパンやクリームパンなどさまざまなバリエーションが登場した。一世帯あたりパンへの年間支出額はおよそ3万円。全国のパン屋さんは約5000社という。ちなみにパン消費は西高東低で、もっとも消費量が多い町は兵庫県神戸市だとか。
 アンパンマンあんパン、つかむのはためらっていた息子も、いったん買って持ち帰ると、鼻からがぶりとやって、おいしいねとにこにこ。それでいいのだ、アンパンマンも自分を他人に食べさせるが、パンは味わってこそ楽しい。

7 thoughts on “あんぱん

  1. いつもいつも、質の高い情報をありがとうございます。
    コラムとは関係ないのですが、類焼、大丈夫でしたで
    しょうか?
    そういう大変な状態でも、質を落とさない「雑学+」には
    脱帽です。すぐねを上げてしまう自分としては見習いたいものです。
    いろいろと事後処理で大変でしょうが、がんばってくださいね。

    以上、一ファンからのエールでした。

  2. この冬、ロスから関空へのJALの機内で、アンパンが軽食として出てました。美味しかった!日本にいたときはそんな風に思わなかったのに。JALのアンパン洗濯がにくいなと思いました。

  3. 投票結果を覗いて見たら!。
    ペットを飼っていますか:犬、ネコは当然の結果だが、意外だったのは鳥より魚が多かった事。でも、まさかアジアアロワナやガーパイクは少ないだろうな。私は5匹のフェレットと同居中。
    タイタニック:皆さん意外に、お出かけしているのだナ。
    下着:これも意外に、お洒落さんが多いのかナ。
    菓子パン:あんパンよりメロンパンが若干多い。ジャムパンてそんなに人気がないんですか?。
     私は、大分現世からズッコケはじめているらしい。

  4. 醗酵をうながす酵母菌というのも結構大切でして。
    造り酒屋はいずれも蔵に棲みついた酵母菌をそれはそれは大事にします。
    で、アンパンの中村屋。
    木村親子が筑波山でキャッチした酵母菌の子孫をいまでも絶やさず使っているとか・・・・。

  5. 木村屋のアンパンと明治天皇をつないだのが山岡鉄太郎。
    維新の三舟のひとり「鉄舟」です(他は勝海舟と高橋泥舟)。
    鉄舟は、埼玉県小川町の「忠七めし」の考案、指導、推奨者としても有名。
    剣や禅の達人として有名ですが、同時にグルメでもあったのですね。

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