小橋 昭彦 2001年10月29日

 理系は苦手っていうひとが多い気がする。だけど半年ほど前にコラムに関連して行った投票では、小学校時代に好きだった教科は、「算数」っていう人が多くって、「理科」という人がそれに続いていた。
 たしかに、文系に進んだぼくだって子どものころは理科の時間が楽しみだったわけで、さていつから苦手意識が芽生えたのだろうって考える。そんなおり、『知のミネラルウォーター』という、科学誌と連動した書籍を手にして、科学のおもしろさってこんなところにあったんだ、とあらためて気づいた。
 そこには、ムカデの足は南ほど多いとか、耳あかで乳がんの危険性がわかるとか、西洋人が大声で話すときは西洋音楽でよく使われる音階で話すとか、サナダムシは200万年くらい前に人類がアフリカの草原で狩った獲物から感染し、それが1万年ほど前に人類から家畜にうつり、いま逆に家畜からうつされているなど、コラムのネタになりそうな話があふれている。
 もっとも、コラムのもとにこの手の総覧的な書籍を用いることはしていないので、ここでは書籍そのものを紹介しちゃっておしまいにするのだけれど、ともあれ、日常生活の意外な側面を発見する喜び、これって科学そのものだな、とあらためて感じたのだ。
 ぼくが理科から離れはじめたのは、化学式などなどが登場して、なんだか部品の話に思えてきたころからだったろうか。世界を探求するんだという喜びを忘れちゃいけなかったなあ、といま反省している。
 先日訪れた国立科学博物館の科学体験室で説明してくれた職員さんの目の輝きを思い出し、なんだかまたフツフツと科学心が湧き出している。科学少年の日から四半世紀もして、またぞろ科学誌を定期購読しようとしたりもして。

5 thoughts on “科学のこころ

  1. 科学のお話は、大変面白く拝見させていただきました。
    早速「知のミネラルウォーター」を購入しました。
    近所の史跡散歩もされると住んでいるにも拘らず
    こんなにも知らなかったのかと自分自身驚きの連続です。
    暇があったらこれから散歩には良い季節となりますので
    されてみてはいかがでしょう。

  2. 小さいころは、理系少年でした。まわりも、理系に進学するものと思ってたみたいです。文系に進んだのは、高校1年の生物が原因です。いきなり化学式の連発で、うんざりしちゃいました。いったい、どこが生物なんだ?と思ったものです。あそこで我慢しておけばよかったかな。でも、科学は好きで、いまでも科学番組”とくに生物関係はよく見ますし、書籍もよく読みます。

  3. 理系が嫌いになるのは、理系が嫌いだった先生が教えるからだって話をきいたことがあります。
    私は理系、妻は文系、先生も文系だと、私が週末を中心に科学はおもしろいという話をしても、毎日、相手をする人が嫌いだと嫌いがうつりますよね。
    で、残念ながら子供は2人とも文系になってしまいました。
    それこそ、科学はなぜ、どうしてのかたまりですから、子供にとっては嫌いなはずはないのですが、公式はどうで、方程式はどうだから答えはこうだと押し付けるから嫌いになるんでしょうね。
    私はもう50歳になるんですが、会社でも変な間違った理論でこうなるなんて、常識的におかしいことを平然と説明する社員が結構います。
    科学の世界は事実がまずあってそれを理屈付けをしているんですから、理屈で世の中を動かしてるわけないということを常に自覚してないと理屈のお化けになりますよね。
    科学の喜びを知らない人が増えて気の毒に思います。
    もっとも、妻にいわせると、文学の世界に興味がないなんて気の毒にということらしいですが。
    ことほど左様に、文系と理系人間は相容れないのでしょうか?

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