小橋 昭彦 2001年10月26日

 水中に電波は通らない。だから超音波による探索が重宝される。ソナーだけで敵艦の情報を探る潜水艦内での息づまるような瞬間。それを知っているような気になるのは、小説あるいはコミックスの影響だろうか。
 潜水艦の探知に超音波が利用されるようになったのは1916年に超音波ソナーが開発されて以降のこと。一方、魚群探知機は、今から半世紀あまり前、日本人によって発明された。いまや漁船に欠かせない装備だ。
 ちなみに、魚群探知機は超音波が反射されかえってくるまでの時間と反射波の強弱を利用して魚群を探知している。反射波が強いほど魚群の密度が濃いことは感覚的にわかるけれど、画像が大きいほど深いところにいるというのはちょっと意外かもしれない。しかし遠くからの反射ほど反射波は広がるわけだから、よく考えれば当然ではある。
 人間は超音波をさまざまなことに利用している。個体内部の傷を探し出したり、ガラスなどを加工したり、電子機器部品を洗浄したり、胎児を診察したり、筋肉痛を癒したり。
 ぼくたちにとって、音の役割はあんがい大きい。ゲームの場面転換を実感したり、映画のシーンで涙したりするのは、映像よりも背景音楽が寄与するところが大きいのではないか。ただ、日常生活の中で、見つめることはしても耳をすます経験は少なくなった気がする。
 秋の夜長、虫の声に耳を傾けてみよう。

5 thoughts on “耳を澄ませば

  1. 携帯電話の着メロ、炊飯器のアラーム、洗濯機のアラーム、パソコンのアラームなどなど。機械的な音が増えてきていますよね。あれはどうも好きになれませんね0。強弱がないのがどうも良くないんじゃないかしらん、と思ったりします。そういう意味で野球の応援のトランペットも苦手ですねえ。まだ、太鼓のほうがいいかな。

    携帯電話は常にマナーモードで、せっかくの16和音も役に立ってません。

  2. 耳を澄ますことが最近ないな、と思いました。
    騒音はあふれているのに。
    発信するだけでなく受信することも大事なのですね。
    魚群探知機だけでなくて。

    簡単にホームページが作れるようになって
    だれもが発信したがるばかり。
    受信することを忘れていませんか?

    遼太郎くんのこと、いつも「ああ、成長するっていいな」と思って読んでいます。
    新しい発見があるのですから。
    昨日のはとくによかった。
    だんだん衰えてくる老人といつもいると
    ちょっとした成長を見つけることからも遠ざかって
    「耳をすまさなく」なっている生活だと痛感します。

  3. 私はトランペットの音を聴くと、胸がキューンとなります(応援ラッパは私も嫌いです)。和太鼓の音も大好きです。体にびしびし音が響いてぞくぞくします。でも、一番好きな音は弦楽器(ヴァイオリン、チェロ、シタール、琴など)です。パンフルートも良いですね。オペラなど声楽もわりと好きです(声にもよりますが)。心が安らぎます。安らぐと言えば、波の音、鳥の声、鯨の鳴き声など自然の音は心身共に癒してくれますね。悲しい時には、これでもかというほど悲し0いメロディを聴くと、涙がボロボロ出て、でもその後は何だかスッキリします。悲しい時に楽しい音楽を聴くとイライラしますが、何故でしょう?私は音には敏感な方で、海運会社で働いていた時、突然左顔面が赤く腫れ上がって、頭痛も酷く、辛い思いをした時期がありました。日赤で検査してもらったところ、音とタバコの煙が原因でした。その当時の私の席の丁度真後ろにテレックス室が在って、ドアが無かったため音(結構煩い)が漏れている状態で、それに私の体が敏感に反応したようです。会社は早速ドアを取り付けてくれましたが、タバコの煙は改善されず、今でも要注意です。症状が出ると本当に辛いです。頭を切り取ってほしいと思うほどの激痛です。話が逸れてしまいましたが、人によって好きな音や嫌いな音は違うのでしょうね。その時の体調や精神状態によっても変わりますし・・・。冬になるとよく車のエンジンをふかす音が聞こえてきますが、あれ、本当に嫌です。イライラして気分が悪くなります。都会ではひしめき合って暮らしているので仕方ないとは思うのですが、あの音だけはどうも慣れません。低周波の影響でしょうか?耳栓でもすれば少しは違うかなぁ。

  4. いつも考えさせられるエッセイに感謝致します(_ _)

    聴く、ということは意外と神経を使うことなのだ、、
    と日頃 職業柄 実感しております。

    「聞く」「聴く」「訊く」は其々目的も意識も違い、
    独立した行動なのは、ご存知の通りなのですが、
    耳を傾けるという行為は「聴く」が
    もっとも近いように感じております。
    その文字も、「耳」を「十」分に「四」つ(全力をあげて)
    心から「聴」く、と我流で解釈しています。

    何事にも耳を澄ませて心傾け、真意に触れられたら、
    もっと、この世の中は変化するのになぁ、、と思いつつ。
    「沈黙の艦隊」を この週末は読みたく感じています。

    先日は、magazine での紹介に対する許可を頂き、
    ありがとうございました (_ _)

Leave a comment.

Your email address will not be published. Required fields are marked*