小橋 昭彦 2001年10月2日

 来年Uターンする予定とあって、月1回の割合で打ち合わせなどのために田舎に帰っている。田舎には常時接続環境が無いので、そんなときはメールマガジンはお休み。休みが多くってごめんなさい。
 常時接続環境が無いといっても、契約していないからではなく、サービスがないのが現状。フレッツ云々はもちろん、数万円の常時接続サービスはおろか、数十万の専用線さえひけない。大阪から車で2時間かからない土地でこのありさま。都市部では数千円でブロードバンドが使えるのに、なんて落差だろう。21世紀も、都市集中の世の中になるのだろうか。
 そんなことは信じたくない。21世紀こそは、個人個人が、それぞれの価値観で生活環境を選ぶことができて、それを支えるしくみが整っている、多様性のある世の中になってほしいと思っている。ぼく自身の会社の本拠は東京にあるし、都市もいいんだけど、目下の課題は、都市再生以前に、田舎創生なのである。
 ぼくたちには男と女がいる。純粋に遺伝子を残すためなら、両性はいらない。バクテリアのように、無性生殖で、分裂によって増えるのがもっとも効率的。相手を探す時間や相性を調べるリスクも必要ないし。
 ではなぜ、性はあるのか。有性生殖はどこが便利なのか。ひとつは、父と母から染色体を1セットずつ引き継ぎ、2セットの染色体をもっておけること。一方に損傷を受けても、いわばスペアがあることになる。
 そしてもうひとつ、おそらくより大きな理由が、多様性だ。有性生殖は効率が悪い。でも、効率が悪いゆえに、親の細胞とはちょっと違った細胞が生まれ、遺伝的な多様性が生まれる。多様性があるおかげで、環境の変化にも適応し生きのびてきたわけだ。
 遺伝子レベルの話と実生活をいっしょにするのはあまりよくないけど、それでもぼくはこの一年あまり、ずっと「多様性」ということを考えつづけている。

8 thoughts on “多様性

  1. 今日の没ネタ。ピーターラビットに登場するキャラクター名は近所の墓地に埋葬された名前から(朝日8月1日)? 日本野球のルーツは1872年ホーレス・ウィルソンが学生に教えたこと(朝日8月1日)。スーパーモデルの報酬、1千万円、1歩換算で4万3000円(朝日7月26日)。五輪にない競技が4年に1回集うワールドゲームズ(朝日7月21日)。

  2.  私も山間の田舎に住んでいます。1時間の通勤が大変なのですが、一日の仕事が終わり帰宅すると、満天の星空と小川のせせらぎの声が「お帰り」と迎えてくれます。
     田舎はいいですよ。(除、ネット環境)

  3. こんにちは。風邪はよくなりましたか? 遼太朗くんの『の』、かわいかったです☆

    わたしはまさに多様性の勉強をしていました。
    地球史的には、(1)氷室期 (2)温室期 に大別され、これらは周期的にやってきます。どちらかというと現在と、2.5億年前は氷室期、1.5億年前と4億年前あたりが温室期にあたります。それぞれの特徴は面白いほど明らか。概して氷室期は四季の変化が豊かで、大陸棚までの浅い海底の地形はサンゴ礁によるメリハリのきいたかたちをして、そこには、多種多様な海生生物がいます。一方、温室期は、のほほーんとした常夏のような気候で、海洋底はどこまでも遠浅なのっぺりしたかたち、生物種は生息数に対して少ない、ということがいわれています。いわゆる大絶滅は、温室期のあとにやってきていることが、これまでの研究であきらかになっています。小橋さんご説明のように、多様性に欠くことは、リスクを集中させることなのです。また、長い漫然とした安楽な大平の世のあとには必ず失脚する事件がおきていて、なんだか今の世の中に照らし合わせても象徴的な現象のように思えます。

    (マクロ的に)このように、リスクを分散させる意味で、有性生殖に起因する多様性の役割は計り知れないと思います。そうでなくとも、(ミクロ的に)わたしは女として、自分の愛する男性の遺伝子を担ってふたりの間に子供をもうけることに、切に意義を感じ、担わせてくれた子供は、かけがえのない宝物となることはごく自然な流れであり、また、効率の悪い、しかし奇蹟のシステムであると確信しています。

    (古い記憶なので間違ってたらごめんなさい)

  4. フレッツなどのサービスが受けられない地域でも、常時接続が可能な方法はあります。DDIポケットのAir”Hです。速度は32Kと遅いですが、時間も場所も気にすることなく、ネットに接続する事が出来ます。(少々料金が高めですが、その分メリットは計り知れません)

    DDIポケット→ http://www.ddipocket.co.jp/

  5. 今日のコラムに関する書籍として、以下の本をお勧めします。

    『私のからだは世界一すばらしい』(東京書籍)
    アンドレ・ジオルダン著/遠藤ゆかり訳

    http://www2.tokyo-shoseki-ptg.co.jp/tosho/isbn/79624-5.htm

    ちなみに、塚本さまもお書きになっているAirHは、私も使っています。都市部に住んでいるのですが、自宅の加入電話をいじれないので、とても重宝しています。市販のインターネット加速ソフトを利用すれば、体感的には56Kモデム程度には使えますよ。

  6. 塚本さん、ありがとうございます。Air”Hについては情報は持っていたのですが、なにせメールマガジンのリンク集を作るのには、数十のサイトを同時にダウンロードしつつチェックしていっていますので、速度的にどうかなあ、という不安があるのです。せめてISDN並みはほしいですねえ。

    そんなわけで、いま、町内に無線LANをひいちゃおう、と動いています。とにかくひけるところまで1.5MBをひいて、残りは無線でカバーする。1.5MBというとADSLといっしょですから、なんで都会では数千円ですむのに、ン百万もかけなきゃいけないんだ、とも思いますが、大手プロバイダーのAPさえ市内通話範囲内にない現状では、こうでもしないと、どんどん田舎は取り残されちゃいますしね。

    といって、都市化を狙っているわけじゃなく、ブロードバンドに田舎というコンテンツをのせたいなあと考えています。

  7. 今回のコラム、「そうだ!そうだ!」と、うなずきながら拝読させていただきました。

    私の住んでいるところも田舎で、常時接続の環境は来ていません。最近、仕事を自宅でやるようになったのですが、フレッツじゃないISDNで我慢してます。

    今、町としては「携帯電話も通じないところでは嫁も来てくれない。」ということで何千万円(!)も負担して、携帯電話の基地局を町内に建ててます。確かに情報インフラとしてはブロードバンドより、携帯電話が先かなとは思いますが、その何割かをインターネット接続環境の改善に割振ってくれたらなと勝手な思いでいます。

    町内に無線LANをひくという動きに興味津々ですので、また、機会があったらコラムで紹介くださると嬉しいです。

  8. この9月からADLSに変えました。収容局から3キロあり、速度は多少落ちますが、ずいぶん早くなりました。

    なんと言っても、電話料金を気にせず、思う存分ホームページが見られるようになり、満足しています。

    知り合いにADSLを勧めたところ、そこはADSLどころかフレッツIDSNも範囲外だと言うことでした。

    本当に地域差がありますね。なんとかしないといけませんね。ちなみにそこは愛知県内じゃありません。

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