鍼(はり)、灸(きゅう)は、それぞれ国家資格になっている。別の資格ではあるけれど、ツボをどう刺激するかという違いなので、学ぶときも並行して学ぶことが多く、両方の資格をもっている人が多い。
鍼師制は701年の大宝律令にも設けられているというから、日本にも古くから伝えられた様子。戦乱の時期には外科領域にもおおいに活用され、また江戸時代には、お灸は民間療法として広まる。西洋には日本語のもぐさからとって、moxaとして伝わっている。
中国での歴史はさらに古く、最古の医書とされる『黄帝内経』にも鍼灸治療について詳しく触れられている。お灸はおよそ3000年前に発祥、鍼にいたっては新石器時代にも先のとがった石で行っていたという説もある。
祖父が「やいと」をすえていた光景は今でも覚えているが、父母はもっぱら湿布薬。明治期以降、西洋医学が重視され、東洋医学がおしやられたという事情はあるにせよ、むしろ、もぐさが燃えていくあのゆったりした時間を過ごす余裕がいまの時代から消えてしまったのかもしれないと思う。
懲らしめるの意味でお灸をすえるというのは、職業への偏見を生むといった論議もあった。肌にやさしいお灸も登場し、さいきんではそもそも「お灸をすえる」ということば自体、使うことがなくなった。
パソコンに向かう日常、目の疲れや肩の凝りが心配にもなる。西洋医学より、マッサージや鍼灸が恋しくなるひととき。次世代には、「お灸をすえる」は新しい意味を持つようになっているかもしれない。
お灸については、「はりきゅうどっとこむ」「東京都鍼灸師会」「翁鍼灸院」「中国民俗学と鍼灸」などをどうぞ。
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