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ちょっと知的な雑学&トリビア

ねばっこいだ液

2001年4月16日 【コラム
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 上司にしかられているとき、あるいは重要な発表の直前。ねっとりしただ液が口の中に広がり、ごくりと喉を鳴らす、そんな経験のある人は少なくないことだろう。なにせこの世はストレス社会。
 米国の社会学者ホームズらによる、ストレスと健康の関係を調べた有名な研究がある。知人の死亡や仕事の変化、引越しなど、ライフ・イベント(人生事件)を43項目に分類、それぞれのストレス値を算出して、総合点数が高いほど健康を害す割合も高いことを明らかにしたもの。
 ストレスは脳下垂体前葉ホルモンの放出と密接な関係があり、副腎皮質刺激ホルモンやプロラクチンなどがストレスに反応して放出される。副腎皮質刺激ホルモンは副腎皮質からグルココルチコイドの放出をうながすが、それを引き金にだ液中に分泌されるのが、アルファ・アミラーゼという酵素。
 富山大学らの研究グループが、この酵素の量を調べてストレスの大きさを測定する技術を開発した。特殊なビニール製チューブでだ液を採取、測定装置にかけることで10分程度で酵素量がわかるのだとか。
 脳波を調べる従来の方法と比べて簡便。健康診断など以外にも、たとえば商品を使ってもらいながらだ液を測定したりして、利用者のストレスが少ない商品開発につなげられないかなどと考えられている。Webサイトを使いながら測れば、ユーザビリティの向上にもつながるだろうか。
 生きている以上、ストレスがあるのはしかたない。山を登るとき息切れするように、自分を高めようとするがゆえに辛いのだろうと、そんなくらいに考える。ねばっこいだ液を舌に、かつて胃炎をわずらったあたりをなでながら。

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One comment to...
“ねばっこいだ液”
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小橋

ストレスについては、「第一製薬-ヘルスケア-ヒーリングスタジオ」「ストレス」などをご参考に。ライフ・イベントについての詳細な記述もあります。だ液測定技術を開発したのは、日経3月23日によれば、「富山大学」ほか「ヤマハ発動機」「二プロ(当時ニッショー)」の共同研究グループでした。




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 言葉は、日々新しい。ほぼ10年ごとに改訂されている三省堂国語辞典の場合、新版が出るごとにおよそ3000から4000の新項目が加わっている。1日にひとつは辞書掲載レベルの言葉が生まれている計算。いまの新聞を調べると、カタカナ言葉を中心に新語が毎日10くらい見つかるともいう。 カタカナ言葉の由来は英語からのものが多い。いま英語は、母国語あるいは公用語として7億5000万人がしゃべり、さらに10億人が学んでいる。2050年には世界人口の半数が英語をたっしゃにあやつるという説が王立協会の発表にある。 ビジネスでも主役は英語。企業で使われる言葉と総売上高などに注目して換算した英語の経済価値は、5兆4550億ポンド、日本円にしておよそ1000兆円だとか。日本語の経済価値はそれについで2兆9600億ポンド、ドイツ語が1兆7140億ポンド、スペイン語が1兆2490億ポンド。 とはいえ、普及した言語はまた分解の危機も抱える。英語も変種に分かれ、互いに理解不能になる可能性があると、言語学者のデビッド・クリスタル教授は指摘する。かつて世界中のウェブページの8割以上を占めていた英語ページが、いま半分にせまるまでに減り、多言語化しているように。 言葉は、日々うつろう。いま口にしているひとことは、このひとときのいのち。人も思いも世の中も、今日とはほんの少し違う明日があり、消えていく言葉がある。 今日の気持ちは、今日のうちに伝える、今日の言葉にのせて。

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