ざつがく・どっと・こむ
ちょっと知的な雑学&トリビア

せわしない擬態語

2002年10月21日 【コラム
Share...Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

 幼児がいると擬音語や擬態語をよく使う。おしゃぶりのことを「ちゅぱちゅぱ」、ミルクを吐くことを「げぶ」。いつしか4歳の長男まで「おかーさん、しょーちゃんげぶしたぁ」なんて口にしている。
 あれはいつのことだったろう、その長男が道に引かれた白線をたどりつつ「トトン、トトン」と歩いていたとき、一緒にいた友人が「トトン、トトンって何」と尋ねて、ぼくを驚かせた。トトントトンと言えば、ガタンゴトンと並んでよく知られた列車の擬音語かと思っていたから。
 埼玉大学の山口仲美教授によれば、こうした列車の擬音語は懐かしい言葉になりつつあるようだ。確かに新幹線はガタンゴトンなんて悠長な音は出さないし、そもそも列車の音を聞きつつ乗るなんて余裕が失われている風もある。チクタクやギコギコも珍しくなり、ピッしてチンする時代なのだ。
 氏の著書『犬は「びよ」と鳴いていた』で、擬音語や擬態語には文化の変遷が見られるとあって納得した。今はキャッキャッと聞いている猿の声を昔はココと聞いていたという事実を、ココは猿が食べ物を食べるときの満足そうな声に近く、キャッキャッは恐怖心を出すときの鳴き声を写しているという指摘に重ねると、確かに、擬音語の変遷に猿と人間、ひいては自然と人間のつきあいかたの変化を感じもするのである。
 30年前と現代では、擬音語や擬態語が大きく変化したともいう。日用品の変化も背景にある。一方、かつてはチビリチビリ、ノソノソやっていたのが、現代はダダダ、ガシガシのようにせわしなく豪快になったという。これは時代の空気の違いか。
 笑い系の擬音語が増えたという指摘も考えさせられた。健康ブームとあって笑いの免疫力が見直されていることも背景にあるそうだ。ウヒヒヒヒヒ、ふふっ、クッククク、ホホホ、アハハ、エヘヘ、ワハハ、ケッケッケ、ウヒョウヒョ。いやはや、楽しい時代なのか、能天気なだけなのか。

Share...Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

4 comments to...
“せわしない擬態語”
Avatar
小橋昭彦

まずは「山口仲美の言葉&古典文学の探検」をご覧ください。で、その著書『犬は「びよ」と鳴いていた』はたいへんおもしろいです。鳥の声に絞った『ちんちん千鳥のなく声は』もどうぞ。なお、鳥の鳴き声については過去に「ニワトリはなんと鳴く」としてコラムにしました。


Avatar
Ree Fou

コラムから若干脱線しますが、幼児はときどき、「文化の変遷」とはまったく関係ない擬態語、擬音を発しますね。私の家族の一人の表現を借りると、列車の擬音語は「しゅるっとぅる、しゅるっとぅる」、踏み切りは「ランランラン・・・」でした。そういわれると、そう聞こえてくるのも不思議です。


Avatar
たけお@沖縄

よく「サックと○○する」とか、「ザックリ○○する
と」など使いますね。

時代の空気がここにもあらわれているような・・。


Avatar
JOshua

世界の言語の中で、日本語は擬態語がかなり多い方
に属するそうです。




required



required - won't be displayed


Your Comment:

 幼い頃、ロシアのおばちゃんというと太っていてペチカの前で毛糸を編んでいるイメージを持っていた。日本人でそこまで太っている人は少なく、なぜあれほど太れるんだろうと友だちと話したこともあった。 肥満度を表すBMIという値がある。体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値だ。BMIが30以上で高度肥満とされるけれど、米国では男性で約2割、女性では4人に1人が当てはまるという。日本では男女とも2、3%しかいないから、確かに少ない。 太りにくい体質なのだろうか。調べてみると、太る前に病気になるというのが真相らしい。すい臓のインスリン分泌機能が、欧米人より弱いのだ。高度肥満になる時間的な余裕がなく、糖尿病になる。それでもこれまで発症率が低かったのは、食習慣ゆえか。 厚生労働省の国民栄養調査を参照する。この20年、BMIが25以上の肥満者の割合は、女性では減っているが、男性では増え続けている。全体の摂取エネルギーは減っているから、欧米に比べ低かった脂質の割合が増加したことが肥満の背景にある。日本の肥満人口、ただいま約2300万人。 肥満研究も進んでいる。京都大学の垣塚彰教授らによると、ERRL1というたんぱく質を多く持つネズミは、脂肪を燃やす酵素をたくさん作る。そのため、普通のネズミより体重が15%から25%少ない。肥満防止薬の開発につながるとも期待される。ただし、脂肪を敵視してもいけない。脂肪が少ないと、脂肪から分泌される食欲抑制ホルモンの血中濃度が低くなる。だから脂肪が少ないERRL1ネズミは大食い。やせの大食いと報道されている。 ちなみに、太りやすい遺伝子、やせにくい遺伝子があるのは事実だけれど、それがそのまま肥満につながるわけではない。京都府立医科大学の吉田俊秀教授は、自分の遺伝を知った上で肥満症の治療に取り組む方が成功率が高いとアドバイスしている。自らを知り、慈しむことが第一歩ということだろう。

前の記事

 手術をして後、しばらく身体を動かせない状態にあった父を見ながら、念動力を使えたらと考えたものだった。念動力、あるいはサイコキネシス。今はあまり使われない言葉だろうか、子どもの頃は超能力ブームもあって、ずいぶんあこがれたものだが。 それはともあれ、念動力。念じただけで物が動かせる力である。SFの世界の話かと思っていたら、科学の進歩は、それに近いことなら実現できるところまで来ているのだった。たとえば、アリゾナ州立大のアンドリュー・シュワルツ教授の研究。サルの脳に電極をつけ、信号を取り出してコンピュータ処理する。サルは、腕を固定されていても、コンピュータ画面上の立体画像の中にあるカーソルを移動することができた。たとえば、デューク大のミゲル・ニコラウス教授の研究。サルが物を食べようと腕を動かすときの脳内信号を、1千キロ離れた場所まで送って、ロボットアームを動かした。送信にはインターネットを利用しているから、途中を無線化すれば、まさに念動力でロボットを動かしている感じ。米国の研究者ばかりではない。広島大学の辻敏夫教授も、脳からの信号を読み取って動く義手の開発を行っている。 少し話はそれるけど、そろばん熟練者の暗算に同様のはたらきがみられる。そろばん熟練者は暗算のとき頭の中のそろばんをはじくといわれる。暗算時の脳内のはたらきを比較すると、通常の人の場合は言語処理に関わる部分がよく動く一方で、そろばん熟練者は視覚運動をつかさどる脳がはたらく。まさに、バーチャルなそろばんが脳の中に構成されているということだろう。 こうした脳内の動きを取り出せれば、念じただけでそろばんを動かすこともできるに違いない。ハンディキャップを補うツールとして期待できるし、ネットで伝えれば、世界中に自分の身体を延長することもできる。痛覚も持てれば、地球の気持ちを味わえるかもしれないが。

次の記事