小橋 昭彦 2006年3月1日

 次男が保育園で借りてきた『ワニくんのおおきなあし』を一緒に読む。並外れておおきな足を持ったワニくん。大きいから画びょうも踏んづけちゃうし、人ごみで踏まれちゃうし、車にまでひかれてしまう。でもねっていうお話。読み聞かせながら、エコロジカル・フットプリントという言葉を思い出していた。
 ぼくたちは毎日多くの食品を口にし、木材資源も消費している。こうした生産資源を生み出すために必要な面積を求めるのがこのエコロジカル・フットプリントだ。WWFのレポートからの数字を引用するなら、日本には一人あたり0.86ヘクタール分の面積しかないけれど、実際にはそれを上回って5.94ヘクタール分もの足跡を残している。
 大きな足跡を残しているのは日本人だけではない。WWFのレポートによれば、世界平均では一人あたりの足跡の大きさは2.85ヘクタール。これはすでに地球には足の踏み場がなく、互いの足を踏みつけあって暮らしている状態であることを意味している。
 対策としては消費量・生産量を減らすほかないのだけれど、実現には遠い。人類はそのルーツからして、アフリカに誕生して世界に広がる「出アフリカ」を経ているとされる。人類学のウィリアム・レナード博士は、その理由を、肉食をはじめたことで草食時代より広い縄張りが必要となり、アフリカから出ることになったのではないかとしている。だとすれば、人類はその初期からより大きな足の踏み場を求めてやまなかったのだ。
 父の膝にちょこんとおさまった次男に読み聞かせを始めると、ぼくもといって三男が横に割り込み、それを見た長男も寄ってきて、都合三人が、父の膝を分け合うことになった。それでも何とかバランスをとって、大きく手をまわして絵本のページを繰る。過密だけれど、愛しい時間。でも地球がこうして人類を支えてくれるのはそう長くないかもしれない。そんなことを頭の隅で考えていた。

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8 thoughts on “エコロジカル・フットプリント

  1. ワニくんのおおきなあし』人と違うことは、また強みでもある。うん。
    さて、エコロジカル・フットプリントについてはWWFの「Living Planet Report 2004」をご参照ください。「環境白書」でも引用されていました。「エコロジカル・フットプリント・ジャパン」という普及をめざしたNPO法人もあります。
    関連して、現在の世界人口ですが、「World POPClock Projection」で65億人を超えたってしばらく前に話題になりました。「Population Reference Bureau」の情報も参考にしてください。
    本文にある出アフリカについては以前のコラム「出アフリカ [03.03.03]」で紹介しましたね。

  2.  我々人類は衣食住に多くの資源を費消しているわけですね。堺屋太一さんの“風と炎”だったかに「後進国の人達が先進国並みに文化生活をしだしたら瞬く間に化石燃料など資源は枯渇する」とありましたが、近い将来、世界全体で残り少ない資源をどう保持するかで大問題になるでしょう。
     そして、京都議定書を踏みにじった米国の亜流がいくつも出てくるでしょうね。

  3. そうですね。
    最初のコメントのリンクで紹介したPopulation Reference Bureauでの記事だったと思いますが、全世界の人が米国並みの生活水準をとるとすれば、世界の人口は一桁少ない規模じゃないといけないといった話もありますね。
    ただ、難しいのは、「だからがまんしろ」っていう考え方はなかなか広がらないんですよね。「そっちじゃなくてこっちの方向に活動性を向けて楽しもう」あたりでいい方向性があるといいのですが。

  4. お久しぶりです。
    「鳥インフルエンザ」あたりで 世界的に人口が激減してしまうとか 日本の様に 努力しているにも係わらず 人口が減っていく。
    なんて事 ないですか?
    あるなら その分野の先進国ですね。あんまり羨ましがられないだろうけど。

  5. 『対策としては消費量・生産量を減らすほかないのだけれど』←私はこういう発想より『生産資源を生み出すために必要な面積を小さくする工夫をする。』という発想が好きですね。可能かどうか分かりませんが、より人間の行動パターンに合っている気がします。

  6. tomさん、ありがとうございます。
    ご指摘の方向性は確かにあって、「緑革命」というのかな、土壌の改良や海水の淡水化、そして遺伝子組み換えなどなどによって生産性が向上するから、人口増加を補完できるだろうと。
    で、それが人間の行動パターンにあっているというのもご指摘通りだと思います。その勢いで火星に移住なんていうのが、子ども時代の夢でした。
    ただ、それが持続可能性があるかどうか、ということが問われるようになったってことですね。これはけっこう難しくて、いろいろ考えなくちゃいけないでしょうね。

  7. 小橋さん。
    ご返事ありがとうございました。
    私は現在の食糧問題の大部分は経済問題だと思っています。
    問題点は、国家間の所得格差と農産物と工業製品の価格格差です。
    現状でも先進国で農産物が採れ過ぎてしまった場合、価格を維持するために生産調整や出荷調整が行われます。もし発展途上国が先進国並みの購買力を持てば、資本主義の論理によって農産物の増産やそれに必要な技術革新、投資が行われるのではないかと思います。
    実際、中国やインドの経済発展によって一次産品の価格は上昇傾向にあり、一方で工業製品の価格は下落傾向にあります。
    また、食料価格が上昇する事によって、食料に対する投資採算性が向上すれば、機械化などによって人口増加も抑える事が出来るかもしれません。
    逆に、生産・消費を抑えるという行動は、農業分野に対する投資を抑制する効果が働き、かえって農業の生産性を阻害する結果となる可能性もあります。
    共産主義がそうだったように、人間の行動原理を無視した取り組みというのは結局上手くいかないのではないかと思います。
    (とりあえず自然破壊という観点は除外しました。)

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