ペプシ・チャレンジというキャンペーンがあった。ブランド名を隠したコカ・コーラとペプシ・コーラふたつを飲み比べ、どちらがおいしいか尋ねるものだ。市場でよく売れるのはコカだけど、こうして尋ねられるとペプシと答える人が多いと話題になった。
同じ実験を、fMRIを利用して被験者の脳のはたらきを観察しつつ行ったのが、リード・モンタギュー博士らだ。ブランド名を隠してふたつの飲み物を試してもらったところ、脳の味覚中枢はペプシのときの方が活発にはたらき、味の好みと相関していた。次にどちらがどのブランドか伝えてから飲んでもらったところ、コカ・コーラの場合はより前頭葉が活発にはたらいたという。前頭葉は、思考や、記憶の検索に関わっている。ぼくたちがブランドを選ぶ背景にはそうした脳のはたらきが影響を及ぼしている。
関連記事を検索しているとニューロマーケティングなんて言葉も出てきて、さっそく脳科学をマーケティングに活かそうという動きも出ている。といっても人間の脳に直接はたらきかけるような手法がすぐに登場するわけではないし、許されるかという議論も必要になる。当面は観察して予測につなげるのが主流で、映画のパイロット版をfMRIで脳を観察しながら鑑賞してもらって、ヒット予測につなげるなどがそれだ。
記事を読みつつ思い出していたのは「梅を望んで渇きをとどむ」という故事成語。魏の武帝(曹操)の逸話だから、西暦200年頃の話だ。あるとき、行軍中に水が不足し兵士たちが喉の渇きで息絶え絶えになっていた。そこで曹操は兵士たちを力づけるために、「前方に梅林がある」と呼びかけた。兵士たちは梅の酸っぱい味を思い出し口中に唾を生じ、力を甦らせて、水源にたどり着くことができたという話である。ぼくたちは1800年以上前から、味覚が舌だけに由来するものではないことを知っていたし、曹操というすぐれたマーケターをもっていたのである。
今回紹介した研究の結果については、「Read Montague」教授のサイトから抜き刷りをダウンロードできます。「Neural correlates of behavioral preference for culturally familiar drinks. Neuron 44:379-387」がそれです。「The Science of Branding」などの記事もご参考に。
人間が生きるに必要な研究、データとは何なのでしょう。
マネーゲームに勝つための?
そんな疑問は子供じみているのかな。
いつも勝たなければいけないのは疲れるけれど、そんな現実に生活しているんですね。
すぐれたマーケターはそのあるべき先が見えていた。
私たちの行く先には、どんな林があるのかな。
『旬』とか『天然物』という言葉にもブランド力がありますよね。
我々は味覚だけで味の判断をしているわけではないのでしょうね。
世の中に、『天然物』と『養殖物』を区別できる人は沢山いるでしょうが、本当においしいと思っているかはまた別問題なのでしょうかね。
コリン・ローズの加速学習法という本をよんでいます。
こっちはレモンの話だったと思いますが、共通ですね。
簡単ですが・・・