小橋 昭彦 2000年12月29日

 パブロフの犬はご存知だろう。ベル音を鳴らしたあとにえさを与えることを繰り返していると、やがて犬はベル音を聞いただけで唾液を流すようになる。
 条件づけの一種だが、条件づけにはこうした古典的条件づけ以外に、道具的条件づけと呼ばれるものがある。こちらは動物が起こした反応に対して報酬や罰を与えることで、その行動を強化するもの。犬がちんちんをすればえさを与える、といったタイプだ。
 夜尿症(おねしょ)対策に、これと似た手法が効果があると、米ミネソタ州のクリニックが発表した(朝日11月20日)。布団がぬれるとブザー音で目を覚まさせることを繰り返すと、排尿前に膀胱が緊張するだけで目がさめるように条件づけされるという。3、4カ月の治療で75%に効果があったとかで、過去30年間に行われた約70種の治療法を比べたなかでもっとも効果的だった。
 おねしょについては、さきさきトイレにいかせると膀胱を大きくする機会を奪うので良くないとか、中途覚醒を強制すると睡眠リズムが崩れ抗利尿ホルモンの分泌抑制があるのでよくないなどと注意する医者もいる。とすると、ブザーで起こしちゃうって本当にいいのかどうか。そもそも子どもは犬じゃないんだから、と思いつつ、みかんあげるから手を洗って、なんて、よく考えたら条件づけの育児ってふだんからしちゃってる気も。

4 thoughts on “おねしょ

  1. はじめまして。
    「オーロラ」を検索して辿りつき、
    飽きの来ぬ面白さに、
    半日かけて読破してしまいました。

    ここが始まりの地なのでしょうか。
    これ以前のバックナンバーがあれば
    ぜひ読みたいと思いまして、書き込みました。

    ところで、ココ、
    チェックされてるのかな。
    (↑前提問題。)

    気長に待ってみまーす!

  2. 毎回提供される雑学もさることながら、それらに関連しての小橋さんの意見や考え方に「うん、うん」と頷きながら、バックナンバーを読破しました。2000年12月29日より前のものも是非読みとうございます。なんとかなりませんか?

  3. 小橋です。
    バックナンバーまでお読みいただいたとのこと、ありがとうございます。とても嬉しく感謝しています。
    コラムは1998年からお届けしているのですが、これ以前のバックナンバーは、残念ながら公開できるところにありません。申し訳ありません。
    ここまでわかった!? 最新雑学の本』(講談社+α文庫)として書籍にまとめていますので、入手可能でしたら、そちらをご覧ください。
    ただ、書きつつ文体も微妙に変化していますので、5年以上前の作品となると、ある意味お恥ずかしい限り……。

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