1日に1000人。いま全米で心臓停止に見舞われる人数。生存できるのはそのうち3%未満とか。心臓は20分停止していても蘇生する可能性があるけれど、脳は血流が止まると5分前後でダメージを受け始める。脳の損傷を遅らせることができれば救命率もあがる。
米国の国立衛生研究所で研究が進められているアイス・スラリーという製品がある。冷却材スラリーを肺に注入、胸部を圧迫する。送り出された冷えた血液が脳の温度を下げ、脳細胞の壊死を遅らせる。このとき、体温は2度から6度まで下がるとか。患者が病院に搬送される頃には、ねばっとした液体だったスラリーは無害な塩水になっているので、吸引で肺から出すことができる。
血液そのものを媒介として冷やすアプローチになるほどと思いつつ、トナカイを思い出していた。胴体は毛皮に覆われているのに、脚は寒そう。あらためて考えると不思議だけれど、トナカイが氷の上にも立つことを思うと、よくできていると気付く。脚まで温かかったら、体温で氷が溶けてその場に凍りついてしまう。脚は冷えていた方がいい。ただし冷えた血液が胴体に回って体温を下げてはいけない。だからトナカイでは、胴体と脚の間にある動脈と静脈がすぐそばを通るようになっている。足からの冷えた血液は、そこで動脈を通る胴体からの温かい血液で温められた上で、胴体に返る。動脈と静脈で熱を交換し、熱損失が少ないようにしているわけだ。
手のひらを太陽にかかげて熱い血潮を見る歌があったっけ。保育園の頃に習い、お日さまに小さな手をかざして、ほんとうだって驚いた思い出がある。調べてみると「手のひらを太陽に」は、アンパンマンで子どもたちに人気のやなせたかし氏の作詞なのだった。手のひらの血潮から、みみずやおけらやあめんぼにまでいのちをみるやさしさ。そういえば、いのちの実感を伴う血潮という言葉を、ずっと使っていなかった。
Ice slurry、注目ってことで5年間の開発予算もついたようで。「” Ice slurry” heart treatment gets $4 million boost」をご参考に。
いつも、良くこんなに多くの本をお読みになり、良くこんなに知恵をお持ちになれるものだと感心して拝読しています。
本日の後半の「血潮」に関するところが、これから育つ子供に持って欲しい大事な感覚であると感じます。人類は無論のこと、生き物に対する思いが備わって、一人前の生き物になれると思います。
出来上がった大人に期待するよりも、これからの子供に託したい感覚です。
米国流の消費を美徳とする考え方と逆行する、物を大事に、命を大事にする考え方を子供に持たせたいです。
目を瞑って神経を集中し、心音と脈拍を感じ全身を流動する血に耳(神経)を傾けると、心が落ち着きます。コオろが落ち着くのに呼応して血も落ち着いていく。面白いですよ。よくやるんです。
うっ…すみません。連続投稿になってしまって。
上の投稿の「コオろ」と変な単語になっているところは、「こころ」です。