疲れからだろうか、突然の発熱でふせっていたのだった。喉がはれて、40度近い熱が出る。子どもの頃はよくやったものだが、最近無かった。それで、高熱を指し示す体温計を懐かしく見つめる。
もっとも、デジタル表示の電子体温計と違って、あの頃は水銀式だった。37度のところが赤くなっていて、いかにもそこから上は病気ですよという印象。実際は平熱は人によって違うし、37度だからといって必ずしもあわてる必要はない。
もっとも高すぎる体温は個人差といっていられない。体温計にも42度までしか表示は無かった。42度を超えると、人間を構成しているタンパク質が変質してしまうわけで、たとえば45度を超えて生きていられる人はいない。フライパンで温めれば、どんな卵の白身だって透明から白く変質する。あれと同じだ。
高熱が親に甘える口実になった子供時代と違って、いまは余計な知識があるから測っていて体温が上がってくると心配が募る。それからふと、そういえば動物の温度と成長の時間についての研究があったと思い出す。ふ化するまでの時間は、トリでもバッタでもプランクトンでも、大きさと温度というふたつの因子に左右されているというのだ。ニューメキシコ大学のジルーリィ博士らの研究だが、卵を産む動物に特によくあてはまるという。
大きさと温度といえば、恒温動物についていえば、一般的に身体の大きい動物ほど体温が低い。ゾウは35.5度、ウマは38度、イヌは39度。身体が小さいほど外気温につれて冷える速度がはやくなるから、できるだけ高めに保っておいたほうが有利なわけだ。鳥類はおおむね40度を超えるが、これは空を飛ぶための莫大なエネルギーを燃焼で生じる必要があるからだろう。
人間の場合、いくら体温が上がったからといって空を飛べるわけもなく、倦怠感が募る。早く下がるにこしたことはない。もっとも、このところの忙しさから身体を逃避させてくれたうえ、こうしてコラムのタネともなった。なにごとにも利点はあるものだ。
人の体温については「テルモ ヘルスケア情報局」「知っておきたい体温の話」などをご参考に。ふ化と体温の関係についての研究は「サケの時間、バッタの時間」にわかりやすいです。動物の体温については、「動物の体温」をどうぞ。
なお、現在は平熱に戻っています。喉にはまだ違和感が残りますが、ご心配なく、ありがとうございます。
そんなことないよ。人間もあまりに熱が上がると,雲の上を歩いているような感じになるんだよ。 降りてこられてよかったですね。 私が小さい頃,高熱を出すといつも見ていた夢・・黒雲立ちこめる空から一本の白い紐がおりてくるんだ。
*何時も楽しく読んでいます。博学に感心ですね。
さて、豚の体温は何度ですか0?。
人間に近い体温の動物のウイルス、病原は人間に感染し易い様ですね。 禿山一夜。