近所の家電販売店の1階にペットロボットが置かれていて、子どもを連れて行くたび、ひとしきり眺めている。眠っているときもあればじゃれているときもある。メーカーの説明によれば、そのロボットは、喜び、悲しみ、怒り、驚き、恐怖、嫌悪という6つの感情を持つという。好ましい感情は喜びだけかと思わないではないが、この分類は人間の心理学の分類に添っているのだとか。東洋で六情といえば喜・怒・哀・楽・愛・悪などと言ったりしたものだが。
感情を表現したり測ったりするといえば、少々分野が違うけれど、うそ発見器を連想する。最近米国の研究グループが、うそをつくと目のまわりが熱くなるという実験結果を発表した。高解像度・高感度の熱画像カメラで撮影したもので、仮にこのシステムを空港やビルの入口におけば、荷物チェックなどのとき、対象者に装置をつけてもらわなくても、うそが発見できるという。
知らない間に観察されているというのは気持ちのいいものじゃないけれど、銀行やコンビニにつけられている監視カメラとどう違うかと尋ねられると微妙ではある。米フロリダ州タンパでは街角を撮影して道行く人の顔をスキャン、犯罪者リストと照合なんて実験も行われた。結果は大成功とはいえないようだけれども。
ペットロボット遊びに疲れた子どもが、「抱っこぉ」とせがむ。しかたないなあ。言いながら抱き上げると、ちょっとほほが赤くなって、口もとがゆるみ、目がきらきら。それを見て、こちらの気持ちまでほかほかする。街にセンサーがあふれる時代になっても、このあたたかいセンサーは、ぼく自身のものだ。
ペットロボットの心については「AIBO」ホームページで。うそと顔の研究は「Nature 415号」35ページ以降に掲載されています。タンパ警察の人相スキャンについては「人相スキャンに賛否両論」の記事が詳しいです。米市民的自由連盟による、それが役立たないという「発表」もあわせてどうぞ。英国で容疑者発見に「役立った」というメーカーの発表もあります。
没ネタ。進化ではなく深海にすむことで生きのびたシーラカンス(日経12月21日)。地下街、上からの重さより横からの圧力の闘い(朝日11月28日)。生理痛で4人に1人が仕事や家事に支障感じる。