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ちょっと知的な雑学&トリビア

鳥にとっても匂いはだいじ

2008年4月29日 【雑学なメモ
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Birds Can Detect Predators Using Smell
The use of smell to detect chemical signals can be useful for birds in various situations, such as feeding and orientation. However, they can greatly increase their chances of survival if they can tell whether or not the smell they have detected is associated with a predator.

そういえば、鳥が匂いによって敵を察知したりという考え方は、あまりしないね、ぼくたち。でも、実際には、鳥も匂いを活用している。

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 生命が陸上にあがるにあたって、酸素濃度が関係していたという説を知ったとき、深く納得したのを覚えている。
 およそ4億年前、それまであった3つの大陸がくっついてローラシア大陸が形成された。これによって大陸に囲まれていた内海が消滅、硬骨魚は淡水域(大陸衝突が形成した山脈が雨を降らせ、淡水域を拡大していた)に逃げ込む。
 ところが淡水域は低酸素だったため、酸素を効率よく取り込むために、食道が肺に変化したというシナリオだ。
 それに先立つ、浅海で海草をかきわけるヒレの発達が足につながったという説を含め、生命による地上進出の準備(足と肺)のいずれもが、適応の中で生まれ、結果として役立てられたというストーリーに、説得力を感じた。
 本書は、生命の陸上進出だけではなく、その他の進化や幾度かの絶滅も、「酸素濃度が決めた」と物語る。
 ウォードは冒頭に、印象的なエピソードを記している。
 ヒマラヤ大山脈を超えていくインドガンの群れ。人間では酸素マスク無しでは苦しい高空を、彼らはなぜ悠々と飛ぶことができるのか。
 インドガンが酸素を有効に取り込むことができるのは、鳥の肺システムが効率的にできているからだが、問題はそれがなぜなのかだ。従来は、飛翔エネルギーを得るため、と説明していた。
 しかし、鳥が恐竜から進化したという知見を踏まえれば、説明はもっとスマートになる。鳥の肺システムは、彼らが飛ぶ以前から効率的にできていた。なぜなら、彼らの祖先(つまり恐竜)が肺システムを獲得した時代には、酸素濃度は現代より低かったのだ。
 ということは、むしろ肺システムの効率があったからこそ、鳥類は飛ぶというエネルギー消費の大きな行為ができるようになったとも言える。この説明は、飛ぶために肺システムが進化したという見方より、自然ではないか。
 整理しておこう。
 生命の歴史は、いわゆる「カンブリア大爆発」を境に多様性を増した。それに先立つ先カンブリア時代のうち、生命の誕生は約40億年前だが、始生代(46億年前?25億年前)の大半を、生命は細菌や単細胞生物として過ごす。この間に光合成を獲得した生命が、酸素を地上にもたした。
 これによって、続く原生代(25億年前?5.4億年前)、大気の酸素濃度が上昇し、やがてオゾン層が形成される(ちなみにオゾン層の形成によって、紫外線がブロックされるようになったことが、生命の地上進出の前提でもある)。
 そして、カンブリア爆発だ。
 カンブリア爆発というのは、カンブリア紀(5.4億年前?5億年前)になって動物の多数の門が一斉に出現したことを言う。その頃、地球は温暖だったが、酸素濃度は現在の21%と比べて低い、10%代半ばと推測されている。そしてこの低い酸素濃度が、生命に多様性をもたらしたという。それというのも、鰓面積を大きくし、酸素の吸収を高めるために、体節が分岐したり殻が形成されたりしたのだと。
 その後カンブリア紀を通じて、酸素濃度は上昇を続け、現在と同じレベルになった。続くオルドビス期(5億年前?4.4億年前)、生命はしだいに大きくなっていく。しかし、酸素濃度は逆に低下し、末期には10%代前半となり、大絶滅をもたらす。
 シルル紀(4.4億年前?4.1億年前)からデボン紀(4.1億年前?3.6億年前)にかけては、生命が陸上に進出した時期として知られる。それはまず植物から始まり、昆虫が、やがて脊索動物がそれに続く。
 生命の陸上進出の背景は冒頭に述べたが、それは、「ローマーの空白」と呼ばれる時期をはさんで二波に分かれている。第一波の間上昇を続けていた酸素濃度が、この空白の期間に10%台前半まで低下、再びの大量絶滅を生み、結果として第二波を準備する。
 石炭紀(3.6億年前?3億年前)からペルム紀(二畳紀、3億年前?2.5億年前)にかけては30%超と、かつてない酸素濃度まで上昇した。名前の通り、現在の石炭鉱床の90%が石炭紀の地層なのだけれど、つまり当時はそれほどに多くの倒木が炭素を固着し、埋没していったのだ。
 しかしペルム紀の終わりに起こった火山活動がメタン濃度を上昇させ、酸素濃度を急減させた。そしてまた、大量絶滅。その時代を生き抜く智恵が、内温性による酸素呼吸効率の向上だったとウォードは言う。
 さあ、そして、古生代である。パンゲア大陸が形成され、すぐ再び分裂しはじめるが、三畳紀(2.5億年前?2.1億年前)からジュラ紀(2.1億年前?1.4億年前)、白亜紀(1.4億年前?0.7億年前)にかけて、酸素濃度は10%前半から後半の間にあり、ずっと低かった。
 鳥のルーツがそこにあったことは、先に書いた。そしておそらくは、それに続く新生代、第三紀(0.7億年前?0.2億年前)、第四期(0.2億年前?現在)のほ乳類の繁栄には、その間の酸素濃度の上昇が関係している。
 さすがにすべてを酸素濃度が「決めた」というには無理があるかもしれない。しかし、エヴェレストの頂上を超えていく鳥たちが、2億年前の大気を生きていると考えるのは、なんとも雄大で心躍らせる見方ではないか。

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 なんて印象的なプロローグだろう。
 ニューメキシコ上空、3万1000キロメートル、1960年8月16日。与圧服に穴があけば、たちまち血液が沸騰してしまう、薄い空気の中。
 ジョセフ・キッティンガーは、この危険に満ちた領域に一人浮かんでいた。
 もっとも、彼の上空約80キロメートルのところには電離層があって、彼を致死的なX線から守ってくれている。さらに上空には、何万キロメートルという距離まで地球の磁場が及んでいて、吹き荒れる太陽風から守ってくれている(ちなみに、スペースシャトルの高度はおおむね300キロメートル台だから、かつて人類で、地球の磁場の外に出たのは、アポロで月に向った宇宙飛行士だけだ)。
 さて、キッティンガーは旅を=自由落下を=始めた。
 高度1万8000キロメートルまで落ちたあたりで、気圧は服に穴があいてもいいレベルまで上がる。気温はマイナス70度以下。高度1万メートル。エベレストの高さ。
 けっきょく、ぼくたちが「大気」として実感できるのは、ここから下に過ぎない。雲に入り、パラシュートが開く。
 13分45秒後、キッティンガーは地上に降り立つ。
 ウォーカーが描くのは、キッティンガーが「旅」したこの空間についてだ。ふだんは気にとめない、大気という空間。
 空気の重さを量ろうとした人々の挑戦を、ウォーカーはガリレオから書き起こす。
 大気が、酸素や炭素といったさまざまな要素から構成されていることを発見した科学者たちの姿を活写する。
 貿易風や偏西風の発見をコロンブスから語り起こし、その原理の発見(フェレル効果=コリオリと一般に呼ばれているが、実際に貢献したのはフェレル=や、ハドレー循環)について述べる。
 ここまでが第一部で、いわばこれが副題にある「なぜ風は吹き」に対する回答だ。
 第二部では、「なぜ生命が地球に満ちたのか」に関する回答が示される。
 モリーナとローランドによるフロンによるオゾン層破壊の発見(と社会的な無視)、マルコーニの無線と電磁波、そして宇宙への道にあるヴァン・アレン帯の発見。
 それはなんて魅力的な語り口だろう。
 ぼくたちはふだん、大気の存在について意識することは少ない。しかし、そのなかに、これほど多様な視点があり、これほど生き生きとした人々の挑戦があったとは。
 ウォーカーは、これら「大気」に関する物語を、ひとりひとりの科学者に密着し、まるでその時代に生きて見てきたかのように物語る。
 その語り口に、ぼくは魅入られ、読み進めていった。
 それはどこか、風の音を聞きながら走り抜ける経験に似ていた。
 あるいは、30キロメートルを自由落下した、キッティンガーの経験に。
 あなたもぜひ、この自由落下を味わってほしい。

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