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ちょっと知的な雑学&トリビア

鼻呼吸

2001年4月10日 【コラム
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 きなくさい、という。類焼にあったときのあの匂いはまさに字義どおりだったと思い出す。ともあれ、きなくさい奴といった表現を生むほど、危険を察知するのに、嗅覚は人間にとって重要な情報源だったわけだ。
 危険を察知するだけではない、健康を保つのにも鼻は役立っている。ほ乳動物は一般に鼻呼吸をするが、人間は発声のために気管が口につながっており、その結果、口呼吸が可能になっている。鼻から吸った空気は、鼻腔を通る間に加湿、浄化されて送り込まれるのに対し、口呼吸は有害物質がろ過されないまま体に取り込まれてしまう(日経3月17日)。鼻呼吸をすすめる東京大学の西原克成講師によれば、花粉症やアトピー性皮膚炎、ぜんそくなどの患者にも効果があるとか。
 人間の五感の中で嗅覚はもっとも退化しているともいう。にもかかわらず、無臭化をはかったり、あるいはあえて快適な匂いだけにしようとしたり、匂い関連の商品は絶えることがない。
 まあ、それもいいんだけど、もう少し自然の香りをかぎつつ、日々意識して鼻呼吸してみる。危険への対応力向上になるし、健康にもいい。自分がこんなに役立っていると知ったら、鼻のやつ、ちょっとは高くなるだろうか。

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2 comments to...
“鼻呼吸”
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小橋

鼻呼吸については、「西原ワールド」がよいです。


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小橋

今日の没ネタ。大正天皇の「遠眼鏡」、読み上げ前に上下を確認しただけと女官証言(朝日3月14日)。




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 字形からいえば、二枚扉の上に横木を掛け渡したのが門。一枚扉の「戸」と区別されてきたわけだが、屋外に独立して建つのを門、建物の出入り口を戸、という使い分けもあって、現代の日本における用法はそれを伝えている。 門はもちろん西洋にもあって、ふたつの塔の間に扉口を設ける古代エジプトの塔門や、同様の基本形式をとる古代メソポタミアや古代ギリシアの「都市門」などが知られている。古代ローマで好んでつくられた凱旋門などは別にして、門の多くは防備を目的としたものだった。大砲の登場で門による防御が意味をなさなくなって以降、宮殿や邸宅には、風圧の影響を受けにくい鉄格子扉が多数見られるようになる。 日本に見られる門は、中国からの流れを受け継ぐもの。屏中門、唐 (から) 門、上土門、四脚門、長屋門など、形式によってさまざまな名前がついている。ただ門としての機能を追及するだけではなく、門を持つ建物を表象しようとしたためでもあっただろう。 イタリア・ウフィッツィ美術館「都市門」の着工が正式に決まった(朝日3月13日)。設計者は磯崎新氏。このところ海外での作品には「ゲート」をモチーフにしたものが続く。中心喪失の都市が無限に広がる今、都市を象徴するゲートが必要だと氏は語る。 外と内を隔てる門じゃなく、自分を表象するものとしての門。インターネットでつながれた世界は境界を無くしていくけれど、それは自分を無くすということではない。どこを見回しても同じような平板な風景が続くなんて、殺伐としている。現代の都市門は、そんなことを問いかけてもいる。

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 そう、わが家にも井戸があった。汚れて帰った夏の午後、腕に足に、ひんやり冷えた水を浴びた。スイカをつるして冷やしたりもしたっけ。あの井戸水は、どのくらいの年を経た地下水だったろう。 地下水の年齢は、地域によっておおきな差がある。乾いた土壌ほど、水の流れは遅い。アフリカのサハラ砂漠などでは流速は年1メートルから2メートル、水の年齢は2万年から3万年という。関東地方の地下なら、おおよそ数十年から百年。幕末の志士の肩を濡らした雨が、あなたの目の前で湧き出ていることもあるかもしれない。 地下水の年齢は、トリチウムなどの放射性同位体を利用して決定する。誤差があるので正確な年代決定は難しいけれど、1953年以前のものかどうかはわかりやすい。1952年に開始された水素爆弾の地上実験の影響で、それ以降に地下に入り込んだ地下水は、トリチウム含有量が多くなっているから。 トリチウムの半減期は12.4年。実験終了後30年以上経つけれど、まだ平常値には遠い。環境省による日本の名水100選を見れば、湧水と呼ばれるものが多い。多くの人が認める地下水の貴さ。その長い旅程に、現代人があまり深い痕跡を残していなければいいのだけれど。 ちなみに温泉水の起源も、いったん地中に入った天水。火山地域ではこれにマグマが冷えて固まったときに分離される「初生水」が混合する場合も多いようだ。初生水はその名のとおり、地球の水循環とは孤立して、いわば地球創生の原材料から生まれた、まさに初めての水。 湧水を口にし、あるいは温泉に身をひたす。そのとき、ぼくたちはたしかに、地球と会話をしている。

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