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狭くなる世に

2001年3月22日 【コラム
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 オハイオ州立大のグループが、米科学振興協会の総会で、アフリカ最高峰キリマンジャロの雪が15年後には無くなるという予測を発表した。温暖化の影響によるものだ(朝日2月19日)。同じ影響はチベット高原やペルーのアンデス山脈の氷河や冠雪にも現れるという。氷河の後退などが起こると、太陽光を吸収しやすくなるため、気候もおおきく変動する。
 地球温暖化の影響については、各国の科学者らが構成するIPCCの作業部会でも、2100年までに世界の海面水位は9センチから88センチ上昇するとしている。仮に50センチ上昇すると、日本では1412平方キロメートルが海面下に沈み、290万人が移住を余儀なくされることになるとか。
 世の中は広がっていくものだと単純に信じていた高校生の頃、ネビル・シュートの『渚にて』を読んで衝撃を受けたのを思い出す。映画もリメイクされたのでご存知の方も多いだろう、核戦争後、迫る放射能を逃れオーストラリアに生きる人々。世界は狭くなるのだ、という気づき。そういう視点で周囲を眺めると、一大事のように思えていた大学受験がなんだかちっぽけに思え、だけどそんななにげない毎日がいとおしく、明日滅びるかもしれないのなら今をせいぜいしっかりやるか、なんて思ったりした。
 発展するばかりが文明じゃないし、拡大するばかりが経済じゃない。温暖化の世に、若い日の青臭い決意を思い出しつつ、その青臭さも悪くないな、なんて世の中を眺めている。

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3 comments to...
“狭くなる世に”
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小橋

コラムで触れた発表については、「IPCC温暖化レポート」「米科学振興協会」などをご参照ください。


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小橋

今日の没ネタ。日本人の平均寿命、2035年に85歳(日経2月19日)。


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かたおか

うちの中にいます。出来れば自分のベッドの中で昼寝中だといいですね。なんといっても家族のそばが一番安心ですから、、、。
「それいけ」ボタン。キュートですね(^.^)




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 混一疆理(こんいつきょうり)歴代国都之図として知られる古地図がある。元末・明初の中国で作られ、朝鮮使節によって編集しなおされたとされる世界地図(日経2月18日)。当時の中央アジアの視点からの世界図だ。 龍谷大学図書館所蔵のこの図は、日本が九州を北にして90度傾いた南北に長い国として描かれており、邪馬台国論争で取り上げられることも多い。しかし島原市の本光寺に、こちらは混一彊理歴代国都地図と呼ばれるほぼ同一の地図があって、そこに描かれた日本は通常の向きだ。 注目したいのは、日本の向きよりもむしろ、西の方。どちらの地図でも、ヨーロッパは地中海を持ったものとして描かれているし、アフリカは南が海に囲まれたものとして描かれている。ヨーロッパの人たちが喜望峰を知るのは15世紀末のこと。地図は、それより100年は古い。 西洋が大航海時代を経て「世界」に乗り出す以前に、内陸に巨大な国家を築き、世界を視野に入れていたモンゴルの遊牧民たち。その触手は当時、日本にも伸びた。1274年と81年の「元寇」、神風の言葉を生んだモンゴル襲来だ。 世界史を学んでいると四大文明から発しそれらが変遷するとでもいった歴史になってしまうし、日本史を学んでいると元寇の背景にある巨大な国家は見えてこない。あとひと息、視点を広げて眺めることの大切さ。そんなことを、ふたつの「混一疆理図」が教えてくれる。

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 いん石の衝突による気候大変動が原因とされる約6500万年前の恐竜絶滅。生物の絶滅はそれだけではなく、2億5000年前にも起こっている。海洋生物の90%、陸上動物の70%が滅んだとされる、史上最大のもの。この原因もいん石だったと、米ワシントン大やNASAの研究チームが発表した(神戸2月23日)。 まだひとかたまりになったパンゲア大陸の面影が残っていた頃のことゆえ、落下の位置は不明。それでも、兵庫県篠山市などの地層から見つかった地層のヘリウム3の量から、直径6キロから12キロのいん石と推定されるという。 地球に衝突する可能性のある小天体をNEO(Near-Earth Objects)という。その検出を専門にする望遠鏡が開発され、毎年多くのNEOが発見されている。スペースガード財団が設立され、研究や検出を行うようにもなった。恐竜絶滅クラスのいん石衝突の可能性は5000万年に1度、地球規模の影響を与える直径1キロ級以上のものだと50万年に1度だという。 重さ130トンの人口天体が、今日地球に落下する予定となっている。老朽化した宇宙ステーション「ミール」。それが日本に住む人にあたる可能性は、1億分の1以下だとか。制御不能になる確率100分の2か3、落下可能性のある面積のうち日本は1000分の1、人にあたる確率は1万分の3。これらのかけあわせ。つまりはいん石落下による大絶滅より可能性は低いようだ。 予定通り南の海に沈むことを祈りつつ、ふと、いまこのとき、この場所に自分が生きていることの得がたさを思う。ミールにしてみれば、ぼくたちは1億回試みても会えないかもしれない存在なのだ。

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