ざつがく・どっと・こむ
ちょっと知的な雑学&トリビア

モビール

2001年3月14日 【コラム
Share...Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

 たらした一本の糸の先に横棒をくくりつけ、その両端にまた糸をくくり。微妙なバランスをたもちつつ風に揺れるモビール。昔ながらのおもちゃだと思っていただけに、はじまりが1932年にあると知って驚いた。
 モビールの考案者はアレクサンダー・カルダー(朝日2月15日)。おもちゃではなく、立派な芸術作品で、彫刻の新分野を開拓したものとして知られている。動的なしくみを持ち込み、空間と時間をとりこんだ芸術表現を行うキネティック・アートの一種で、カルダーが1932年に発表した作品も、針金で組んだものをモーターで動かすしくみだった。電動ではなく空気の動きにあわせて運動する彫刻、つまりいまのモビールを発明したのはその後のこと。
 モビールの命名者は、現代美術の大家デュシャン。便器などの量産品に署名しただけの「レディ・メイド」のオブジェでも知られる美術家だ。
 どこかユーモラスに空間をただようカルダーのモビール。ふと、あの先に吊り下げようと考えるものは人によって違うのかな、とそんなことを想像する。あなたなら何を風にゆらすだろうか。

Share...Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2 comments to...
“モビール”
Avatar
小橋

モビールについては、現代美術キーワードの「モビール」をどうぞ。「モビールの歴史」も参考になります。カルダーについては「Alexander Calder」が本家。


Avatar
小橋

今日の没ネタ。「すす」が温暖化加速(朝日2月10日)。




required



required - won't be displayed


Your Comment:

 アトピー性皮膚炎にチャプリン映画が効果があると、ユニチカ中央病院の木俣肇部長が発表した(日経2月15日)。もちろん塗ったり飲んだりするわけじゃなく、ただ見るだけ。 実験は、家ダニや猫のふけなどにアレルギーがあるアトピー性皮膚炎の患者26人を対象にしたもの。家ダニを皮膚につけ、アレルギー反応でできる紅斑(こうはん)を調べた。チャプリン映画『モダンタイムス』のビデオを観た後に測ったところ、直径は平均で約5ミリ、ビデオを見る前の11ミリと比べて半分になり、効果は2時間以上持続した。これが天気予報のビデオでは効果がない。 詳しい仕組みは不明とはいえ、笑いがアレルギー症状の緩和に効果があることが示されたかたち。そういえば笑うと、たとえそれが作り笑いであれ、免疫力と関係するナチュラルキラー細胞が活性化することは知られている。笑いの効果があるのはアレルギーに限った話でもない。 笑う。ぼく自身、子どもと一緒に一日に何度も笑っているここ2年あまり、風邪もほとんどひかなくなった。在宅勤務で人ごみに出ないせいかとも思っていたけれど、案外、笑いの効果も高かったか。 ほんとはね、このコラムも毎日笑えるものだったら、多くの人に健康を届けることができるんだろうけど。チャプリンほどの才覚もなく。ごめんなさい。

前の記事

 たむらしげるの幻想的なコミック『ファンタスマゴリアデイズ』の一編に、サボテンでできた飛行機が彗星にぶつかる物語がある。ぼろぼろになった飛行機をみて修理できるかと心配する同行者に、サボテンだから自分で治るよ、と言い聞かせる。妙に納得。 生物の傷は自然に回復するように向かうけれど、物質は難しい。そんななか、米イリノイ大学の研究チームが、細かなひび割れを自己修復するプラスチック材料を開発した(朝日2月16日)。液体の修復材が入ったマイクロカプセルと修復材を硬化させる物質を複合して混ぜ込んだエポキシ樹脂がそれ。材料にひび割れが起こるとカプセルが割れ、修復材が割れ目を満たす。それが触媒で硬化して割れ目を接着、修復されるしくみだ。 自己修復といえば、機械技術研究所でも3次元ユニット機械の自己修復を研究している。壊れた一部品にそれが全体のどの役割を担っているかの情報がなくてはならないなど、工夫すべきところは多いという。人間だって、手の甲の切り傷が回復途中で間違って指になっちゃったらたいへんだ。そういうのは回復ではなくホラーという。手の甲は手の甲という一部でなくてはならない。 家電リサイクル法の施行もあり、いま、壊れたり不要になったりした機械類の処分が話題になっている。製造と逆工程に気を配り環境負荷を軽減させる生産システム、インバース・マニュファクチャリングの重要性が説かれてもいたり。 考えてみれば、ぼくたちはいま廃棄の文明を生きていると言えるかもしれない。21世紀、自己修復の文明に移行することができるのかどうか。サボテン飛行機はまだ当面望み薄だけれど。

次の記事