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ちょっと知的な雑学&トリビア

富士山通勤

2001年2月22日 【コラム
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 日本でもっとも高いところにある建築物は何か。答えは富士山測候所だ。標高3776メートル、日本でもっとも高い頂に立つ建物だから、この記録が破られることはない。
 富士山測候所が設置されたのは1932年のこと。当初は木造。冬になると平均気温氷点下20度、風速20メートルという土地、朝になると吐いた息で布団が白く凍っていたという。現在のアルミニウム合金に立て替えられたのが1970年代の初め。建築には苦労もあった。
 資材運搬はヘリコプターに頼るしかないし、建設機械もほとんど使えない。おまけに屋外で工事が可能なのは6月上旬から9月上旬にかけての夏場だけ。こうしたなか、全館暖房の施設がようやく完成した。
 測候所で働いているのは通常4人。生活している以上食事は必要で、調理担当者もいる。勤務は3週間交代(日経1月26日)。4人がローテーションしている。交代といっても、冬の「通勤」はたいへん。早朝6時ころふもとの基地を出発、5合目まで雪上車でのぼる。そこから山頂までは歩いて5、6時間。
 突風に備えて登山道には測候所職員用の手すりが備え付けられているものの、雪道は凍っているので滑ると危ない。命がけだ。
 日本最高地の職場への出勤。この光景を考えると、都心の「痛勤」もなんとか耐えられるだろうか。

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9 comments to...
“富士山通勤”
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小橋

富士山測候所については、「富士山測候所」「最頂へ挑む」などどうぞ。


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小橋

今日の没ネタ。企業博物館は神社や仏閣が日本社会で果たしてきた役割を今担っている(日経1月22日)。


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村田 尊彦

大阪市内への通勤。社員のなかで、最も遠い人は約2時間の通勤時間。一番近いのは私で、会社まで自転車で20分。一応、通勤定期代も出ているのですが、健康の為、駅まで歩くことを考えると自転車が一番早いので、もっか自転車。ただし近すぎるということでのデメリットもある。
非常事態が起きた場合は真っ先にかけつけるという役目も。でも近いのって良いよね。


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てるみー

富士山測候所の職員は、気象庁の人でしょうか?ということは国家公務員でしょうか?ご存じの方がいらっしゃったら、教えていただければ幸いです。


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吉田善克

富士山測候所ってもう閉鎖になってませんか?
ニュースで聞いたような...


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小橋

富士山測候所はまだ稼動しています。ニュースにあったのは、「富士山レーダー」が廃止された、というもののことかと思います。レーダーは廃止されましたが、測候所の役割はまだ終わっていません。


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小橋

測候所の職員ですが、気象庁の所轄なので、気象庁の方かと思います。正確な確認はできていません。また、調理担当者は一般からリクルーティングしているようなので、その方々が採用後気象庁職員となられているのかどうかについても、未確認です。


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小橋

あとひとつ、本文中でややこしい表現がありました。富士山測候所で働いている方、頭数で4人です。ローテーション時には、4人が全員交代されていくようです。
で、「4人がローテーションしている」というのは、調理担当者は総勢で4人いて、その方々が交代で3週間ずつ山頂勤務されるということです。


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てるみー

本当に今日の雑学は勉強になります。

雑学博士になるぞ。




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 人間の脳を三つの階層構造で説明したのは医学博士のポール・マクリーン。「三位一体脳モデル」と言われるのがそれだ。 生きるのに必要な爬虫類脳、それをとりまき情動に関係する旧哺乳類脳、そしてもっとも外側で理性をつかさどる新哺乳類脳。いわゆる大脳新皮質とは新哺乳類脳を意味しており、その内側は辺縁系とも呼ばれる。内側なのに辺縁系というのは、脳の中心部から見て辺縁だからだ。 目から入った情報が記憶されるメカニズムは、まず一次視覚野から大脳新皮質に情報が渡され、それが辺縁系に伝えられる。新皮質で記憶を認識し、辺縁系で記憶が形成されているわけだ。 東京大学の宮下保司教授らの研究グループがサルを使った実験で明らかにしたところによると、記憶の書き込みと読み出しでは、このプロセスにかかる時間に差があったという(日経1月26日)。記憶するとき、新皮質から辺縁系への信号伝達にかかった時間は0.01秒程度なのに、思い出すときに辺縁系から新皮質へ伝達するには0.3秒かかったという。覚えるより思い出すほうが手間どるのだ。 いやそれにしても、30歳を超えるとこの0.3秒が十倍も百倍もかかっているような気がするのだけれど、あなたはいかが。

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 驚いた。今回のコラムを書くにあたってバックナンバーを検索してみると、笑いに関するタイトルだけで1998年1月以来5回も書いている。しかもそのうち「作り笑い」と「笑い」というタイトルが、それぞれ2回。内容は違うけれど、ふだん同じタイトルをつけないように気をつけているつもりだっただけに意外。深層心理で、それほど笑いを求めていたのだろうか。 史上描かれた、もっとも有名な「ほほえみ」といえば、モナ・リザのそれだろう。中世キリスト教社会が微笑を聖母子像の表情に限っていた時代のあと、ルネサンスの人文主義を経て描かれたダ・ビンチの傑作。 19世紀の画家ルノワールは、天真爛漫なほほえみを描いたとして知られる。ところが、彼が活躍した19世紀、微笑を描く画家はほかにいなかったとオルセー美術館のカロリーヌ・マチュ主任学芸員は指摘する(日経1月28日)。ブルジョワ社会だったゆえ、肖像画には威厳が要求されていたというのだ。それでもあえてほほえみを描いたルノワール。 息子が2歳を過ぎたころ、難しい顔をしていた父親の口の端をひっぱりあげて、「わらってよー」とせがむことがあった。ルノワールは言っている。「人生には不愉快なことがたくさんある。だからこれ以上、不愉快なものをつくる必要なんかないんだ」。 そうして、ぼくはまた、笑みを主題にコラムを書いている。

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