小橋 昭彦 2001年2月21日

 人間の脳を三つの階層構造で説明したのは医学博士のポール・マクリーン。「三位一体脳モデル」と言われるのがそれだ。
 生きるのに必要な爬虫類脳、それをとりまき情動に関係する旧哺乳類脳、そしてもっとも外側で理性をつかさどる新哺乳類脳。いわゆる大脳新皮質とは新哺乳類脳を意味しており、その内側は辺縁系とも呼ばれる。内側なのに辺縁系というのは、脳の中心部から見て辺縁だからだ。
 目から入った情報が記憶されるメカニズムは、まず一次視覚野から大脳新皮質に情報が渡され、それが辺縁系に伝えられる。新皮質で記憶を認識し、辺縁系で記憶が形成されているわけだ。
 東京大学の宮下保司教授らの研究グループがサルを使った実験で明らかにしたところによると、記憶の書き込みと読み出しでは、このプロセスにかかる時間に差があったという(日経1月26日)。記憶するとき、新皮質から辺縁系への信号伝達にかかった時間は0.01秒程度なのに、思い出すときに辺縁系から新皮質へ伝達するには0.3秒かかったという。覚えるより思い出すほうが手間どるのだ。
 いやそれにしても、30歳を超えるとこの0.3秒が十倍も百倍もかかっているような気がするのだけれど、あなたはいかが。

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2 thoughts on “覚える、思い出す

  1. >いやそれにしても、30歳を超えるとこの0.3秒が十倍も
    >百倍もかかっているような気がするのだけれど、あなた>はいかが。

    何をおっしゃいます、小橋さん!
    40歳をすぎると想像を絶するミラクルワールドがやってきますよ。

    30歳代までの「物忘れ」は、物や人の名前を最初の一音しか思い出せなくても、何とかその一点からズルズルと引っぱり出して全体を思い出すことができました。が、最近では記憶の一部がぽっかりと穴の空いたような状態、引出しごと無くなってしまったようなことが起こります。

    愕然としたものの、正常な範囲の老化現象と理解したいと思いますが、41歳で「ろーか」という言葉はずしりと重いです。

    でも、脳の機能から考えると多少の復活はあるはずなので、できるだけあきらめずに思い出そうとする努力は続けていきたいと思っています。

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