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ちょっと知的な雑学&トリビア

御鳴らす

2003年9月08日 【コラム
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 紀元前後2世紀頃のインドのマヌ法典に、身分の高い人に対して放屁したら肛門を切れとある。日本でも古くから恥ずかしいものとされてきたのに、接頭辞の「お」がついている。語源をたどれば、おでんやおなかと同じく、宮中で働いていた女房らの間で隠語として使われていた言葉。「屁」と言うのは恥ずかしいから、鳴らすの頭に「お」をつけた。
 俗にへっぴり虫といえば、手塚治虫のペンネームの由来になったオサムシ・ゴミムシ類の一種、ミイデラゴミムシのこと。さすがに発生の仕組みも凝っている。体内にふたつの貯蔵嚢を持っていて、一方に過酸化水素、一方にハイドロキノンという強還元剤を貯蔵、敵に出会うとふたつの物質を反応させて噴射する。百度に達する爆発的な反応。ロケットと同じ原理というから、よく爆発もせず進化したものだ。現在は飛ばないが、将来さらに進化してロケットのように逃げ出すこともあるのかないのか。そうなるとへっぴり虫などとゆったり眺めてもいられない。
 人間の場合はそこまで激烈ではないが、高校時代、マッチで火をつけてやけどしそうになったと言っていた友人がいた。実験するならズボンは履いておくべきか。気圧が低い高山では腸内ガスが増加し、回数も多くなる。
 そういえば、ニュージーランドでは家畜におなら税をかけることを決定したという。牛や羊などがげっぷやおならで排出するメタンガスの量が、ニュージーランド全体で発生する温室効果ガスの半分に達すると推測されているからだ。羊が人口の十倍になる国のこと、対策もたいへんである。
 マヌ法典からロケット技術、地球温暖化まで。御鳴らしも、探れば奥が深い。百日の説法屁ひとつとは言うものの、沈香も焚かず屁もひらず、凡庸であるよりいいのかもしれない。落語『地獄八景亡者戯』を下敷きにした絵本『じごくのそうべえ』で子どもがいちばん笑うのも鬼の放屁シーン。健康のバロメータでもあろう、さげすむばかりも酷である。

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6 comments to...
“御鳴らす”
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小橋昭彦

ミイデラゴミムシについては「オサムシ・ゴミムシの何がおもしろいのか」が詳しいです。あと、直接は関係ないですが、絵本『じごくのそうべえ』はおすすめ。


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やすし

子供のころ、何も知らなかったので触ってびっくりしました。その時は熱いというより痛く感じました。


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上谷満久

私は塾の講師をしているのですが、その時に地球温暖化の原因になっている二酸化炭素の話と牛のげっぷの話をしました。割と受けました。いつも面白い話題をありがとうございます。誕生日メールもありがとうございました。


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うしがえる

毎回楽しく拝読させていただいております。
御鳴らすですが、語源の由来がその様なことから来ていたとは知りませんでした。
某TV局の人気番組に出しても、結構高得点が期待されるのではないでしょうか。


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rnakaji

屁は体内で発生したガスといわれていますが、ほとんどは呼吸や飲食時に飲み込んだ空気だそうです。人というか哺乳類や鳥類の多くは気管と食道が交差しているために、運動や歌唱等、呼吸時に圧力がかかると空気が食道に入るようです。肺にある大量の空気が有ればこそ発声ができるわけですから、食べ物がのどに詰まる危険と引き替えても必要な機能なんでしょうね。
というわけで、屁はマラソン大会やカラオケやダイビング、水泳の翌日によく出るのでしょうかね。
落語といえば目薬の話もありましたね。


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さいき

子供たちに昔話を読んでやるときも、「へっこきよめ」が大きいおならをするところは大ウケです。こっちはたいしておもしろくないところだと思っているので、ちょっとびっくりするぐらいです。なんででしょうね。




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 路線図に現在の走行位置が示されるバス運行システムを初めて見たのは仕事先に向かっていた奈良でのことだった。それからおよそ十年、当時住んでいた京都でも携帯電話によるバスの位置情報サービスがはじまった。 時刻表通りに来ないバスを待つ辛さは、多くの人に経験があるだろう。待っているときに限って、逆方向のバスばかり何台も通り過ぎる。皮肉のひとつも言いたくなるが、実はこれはあたりまえで、自分が乗りたいバスが先に来たらそれに乗るわけだから、同じ条件で自分の方向のバスを数えることはない。一面的な現象しか起こらないのを皮肉にとらえてしまう、心理的なバイアス。 大正期に東京都心部で走っていた路面電車も、混雑や遅れが日常茶飯事だった。これを冷静に観察したのが物理学者の寺田寅彦で、その名も「電車の混雑について」というよく知られた随筆を残している。待つ時間が長くなるとそれだけ待ち人が増え混雑する、最初に来た電車にみんな乗ろうとするから一台目は乗降に時間がかかり、二台目は人も少なく追い上げる。これが繰り返されるから、電車はどんどん数珠つなぎに。 大正11年6月19日、寺田寅彦は、神保町近くの停留所で数十分間、この事実を検証した。それによると、およそ40台通り過ぎたうち、2分以下で後続の電車が来たのは23回、4分以上待たされたのが4回あったという。じゃあ待っているとたいていは2分以内で来るのかと考えてしまうけれど、これもよくある勘違いで、待ち時間をかけないといけない。すると2分以内に電車が来るのはおおむね3回に1回に過ぎず、たいていは長く待たされる。 寅彦の出した結論は、電車は二台目ないし三台目のすいたものに乗るべし。到着時刻に差はない上、待つ間は思索にふけり、車中では座って体を休め、書籍などを読むことができる。金平糖やキリンの縞模様、人魂などの研究をしたことでも知られるユニークな学者、寺田寅彦。バスを待っても器が違う。

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