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ちょっと知的な雑学&トリビア

肌の色

2003年1月16日 【コラム

 その昔、ヒトは全身に毛をまとっていた。二足歩行をするようになって行動半径が広がったヒトは、脳が加熱するのを防ぐため、皮膚を覆う体毛を減らして体を冷やした。ところが皮膚を露出すると、紫外線が直接あたり皮膚ガンが誘発される。そこでUVカット機能を持つメラニン色素を蓄え、紫外線を防ぐようになった。ヒトの肌色が黒くなったのはこれが理由と、これまで考えられてきた。
 しかし皮膚ガンになるのは生殖年齢を過ぎてからが多い。それが進化の淘汰圧になるのかという疑問が残る。そこでカリフォルニア科学アカデミーのジャブロンスキー博士らが提唱したのが、体内の葉酸塩を紫外線による破壊から防ぐためという仮説。葉酸は細胞の分化に関わる、妊娠や胎児の発達に不可欠の栄養素だ。赤道近くの厳しい紫外線の中で暮らした初期の人類は、肌色を濃くすることで子育てを有利にはこんだ。
 その後ヒトは赤道近辺から離れ、北方へ進出する。そうなると、濃い肌色のままでは紫外線をカットしすぎる。紫外線には悪影響が多いが、皮膚内でビタミンDの合成を誘発する有益なはたらきがある。ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を促すので、母体と胎児の骨に必要。そこでヨーロッパ人などは、メラニン色素を減らし白い肌になった。
 ちなみに、一般に男性より女性の肌の方が白いのは、男性が色白の女性を好んできたというのも原因のひとつかもしれないが、妊娠・授乳中に多くのカルシウムを必要とするため、ビタミンDを男性より多く合成させる必要があったからでは、ともいわれている。
 お気づきのように、アフリカから発生した人類は、もともとみんな黒い肌をしていた。それが地域ごとの太陽光に合わせて適度な色合いに「脱色」した結果が、白や黄色といった皮膚の色。それをふまえると、現時点の肌色で人を差別するなんて、自らの歴史を否定するようで、ひどくむなしい。


One comment to...
“肌の色”
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小橋昭彦

Nina Jablonski博士らの研究については「Only Skin Deep?」からどうぞ。「Why Skin Comes in Colors」や「The Biology of Skin Color」など。National Geographic誌の「A New Light on Skin Color」など、各所で話題になりました。葉酸については、国立健康・栄養研究所の「葉酸情報のページ」をご参考にしてください。




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 犯罪心理学が注目されたと思ったら、こんどは科学捜査らしい。法医学捜査の最前線を描いた『科学が死体に語らせる』に目を通せば、プロファイリングへの皮肉めいた一文もあり、なんだかおかしかった。 ぼく自身が立ち会った15年前の記憶をたどるなら、捜査官は確かアルミニウムの粉をつけて指紋を検出していた。今では化学反応を利用した蛍光検出が主力という。そういえばカレーに毒物を入れた事件で、最先端の分析装置が用いられて話題になったっけ。DNA分析をはじめとして、捜査現場における科学はこの15年で格段の進歩を遂げている。 先端技術を用いた科学だけではない。米国ではここ10年ほどで、法医昆虫学が定着してきたという。死体にたかるウジなどの成長度合いから、死後推定日数を割り出す。マディソン・リー・ゴフによる『死体につく虫が犯人を告げる』に詳しいが、基礎データを集めるために、ヒトの腐敗分解過程に似た動物を利用して実地試験も行われている。その動物というのが、体重およそ23キログラムのブタ。人とて死ねば豚と同じかと、感慨を抱かないでもない。 もちろん、ブタを用いるばかりではない。コーンウェルの作品の題名にもなっているのでご存知の方も多いだろう、テネシー州には死体農場という場所がある。鉄条網に囲まれたなかには、献体された数十体の死体がさまざまな状況で置かれている。管理しているのは、テネシー大学のウィリアム・バス教授。自然の中に死体が転がる光景を想像すると、人間なんてしょせん、の思いを強くせずにはいられない。 もっともそれはなげやりな「しょせん」ではない。しょせん自然に還る身なら、今を生きることをおそれず、勇気を持って挑もうという、前向きの「しょせん」。検死を語る人が共通して、生きることの尊さを感じると述べていたのが印象的だった。

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