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ちょっと知的な雑学&トリビア

爬虫類

2002年8月01日 【コラム
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 歯は鱗(うろこ)と同じ起源を持つという。意外に思い、ページを繰る手を止めた。爬虫類に関する書籍に目を通していたときのこと。哺乳類は爬虫類との共通祖先から分かれたと考えられているから、とするとぼくたちの歯も鱗と多少なりとも関係するということか。
 田舎に住むようになって、爬虫類と出会う機会が増えた。畑の畦を歩いているとヘビが開けたらしい穴が次々にある。夜、商工会館で会議をしていると、窓の外にヤモリがはりついているのを見つけたりもする。子どもたちはヘビの尾を持って振り回しもしているが、さすがにそれはできない。ともあれ少し調べてみようと考えていた折、タイミングよく『爬虫類の進化』という新刊が出ていた。
 トカゲに第三の眼があるというのも意外だった。読み進めると、もともと脊椎動物には頭部の側面と背面に一対ずつ光を感じる器官があったと考えられているという。つまり眼が4つ。うちふたつが現生の脊椎動物の眼となり、残り一対のうちひとつが、頭頂眼としてトカゲ類に残っていると。ただ、それが何の役割をしているかは不明。温度調節に役立っているのではともされている。カンブリア紀にオパビニアという5つ目の生物がいたとは知っていたが、こんな身近なところに2つ目以外の流れがあるとは。
 ヘビの眼の話もおもしろい。一般の陸上脊椎動物では、筋肉で水晶体を上下に引っぱって厚みを変化させピントを合わせる。ところがヘビ類では水晶体を前後に動かしてピントを合わせるのだ。いったんピント合わせ能力を失って再度獲得したためではとされている。ならばヘビはどんな進化を経てきたのか。そもそも足がなくなったのはなぜだったか。半地中生活を送ったとも水中生活を送ったとも推測されている。
 カメはともかく、ヘビもトカゲもワニも、できれば遠慮したいのが爬虫類。しかし、子どもはそんな不思議を直感的にさとってか、爬虫類とも親しんでいる。キライと目をそむけるより、思い切ってふみこむと、新しい世界に触れることができるのだな。表に出ては、草むらに目を凝らしている。

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5 comments to...
“爬虫類”
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小橋昭彦

書籍『爬虫類の進化』はこちら。歯の起源を確かめようと出会った「魚の進化」はおもしろかったです。爬虫類データベースとしては、「爬虫類・両生類図鑑」「THE EMBL REPTILE DATABASE」などをどうぞ。その他、「Rep” s Search」「ペット(爬虫類・両生類) 」「日本の鱗たち」も有益。このところの爬虫類ペット人気で、あんがい情報がありました。


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あき

私は三十代の女性です。爬虫類は昔から好きで、現在もヤモリなど見掛けるとついつい触ってしまいます。大抵逃げられますが。蛇は本当に、滅多と見る事がなくなりました。子供の頃は家の三和土の穴や天井から出てきたものですが(母は絶叫していました)。
犬や猫と一緒に亀も飼っていますが、あの無表情がおもしろくてつい見入ってしまいます。
ヤモリ・トカゲの動きをみていると、頭頂眼の存在も肯けるような気がします。
なんだか戯言を連ねてしまい失礼しました。


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てるまる

私は、昆虫も爬虫類も駄目です。(涙
絶叫したりはしませんけど…。


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山崎茂夫

よくまあ、いろいろ、研究されています。
それでこそ、雑学のたいかですね。
2002/8/3
山材茂夫


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爬虫類はお互い手の届かないところから見ている分には
面白い生き物だなあと思います。
頭部側面と背面の光を感じる器官があったというのが
興味深かったです。
後ろに目がついているような人っていますよね。
背後の気配に敏感なというか・・・。
その器官の名残なのかなあと思いました。
ヒトに進化していく過程で退化してしまった器官。
名残を持っている人は進化していないということ?




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 夏の朝、子どもとラジオ体操に向かう途上、道の両脇にたくさんのミミズが群れているのに出会う。多くは陽光に干からびかけている。まるで集団自殺。なにがミミズを路上に迷わせたのか。 ミミズは日中は土の中で静かにしている。夜になると穴から体を出して地上の餌を採るようだが、体の後半まで出すことはない。一説に、夜の雨が穴を満たして追い出され、戻る前に太陽の紫外線で麻痺するのではとあった。さて、夜のうちに雨があったろうか。ミミズの生態には謎が多い。 謎といえば「ミミズにおしっこをかけると陰部がはれる」という言い伝えもそうだ。土を育ててくれるミミズを大切にするための迷信とも言われるが、ネット上を検索すると、実際に腫れたという経験談が複数ある。ミミズと出会うときはたいてい手が汚れていて、その手で局部を触るからだ、という説もある。いや、驚いたミミズが体腔液を発し、それがたまたま局部にかかるのだともいう。体腔液が脊椎動物に毒性を示すというのは確からしいので、ありえない話ではない気もする。 ミミズは環形動物門貧毛綱に属するが、言い換えれば貧毛とはいえ確かに毛を持っているわけで、これは恥ずかしながら意外だった。種によってちがうが、腹部、ないし全周に剛毛がはえていて、移動のときすべり止めとして役立っているのだ。 あのチャールズ・ダーウィンがミミズの研究をしていたというのも驚きだった。ミミズが動かす土の量を最初に測定したのも彼で、いまもしばしば引用される。累計すれば、地表の厚さ10センチの土は10年あまりですべてミミズの腸の中を通過した計算になるという。一般に1日に体重の半分の量の糞を出すというから、土作りの名人であるには違いない。 ミミズを利用して有機肥料を作るなど、ミミズは環境教育の格好の教材ともなっている。ダーウィンは28歳のときにミミズ研究を始め、死の前年、書籍『ミミズと土』を発表した。進化論で知られた彼は、生涯をミミズに捧げてもいたのだ。こんどミミズを見かけたら、しゃがみこんで子どもとじっくり、ダーウィンの話でもするか。

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 しばらく前に熱でふせっていたとき、各界の著名人と病気の関係についての書籍を寝床に持ち込んだ。病に病をとのしゃれではあったが、アンデルセンは心気症から生き埋めを極端に恐れ、失神しそうなときは「死んだように見えますが生きています」と書いた紙を枕元に置いたなど、興味深いエピソードに出会えた。 そのアンデルセンに同性愛説もあったという指摘に目がとまる。『幸福の王子』などを残した英国文学のオスカー・ワイルドにも、同性愛で投獄された経験がある。英国では当時、同性愛は犯罪だったのだ。 一方、日本では長らく、美少年を伴にする習慣があった。足利義満と世阿弥の関係は有名だが、織田信長と森蘭丸の関係ははたしてどうだったか。男娼という職も成り立っていたし、男色(なんしょく)物という読み物のジャンルもあった。 もっとも、男色についてふみこんで調べると、ギリシア神話の神々はしばしば美少年を愛しているし、プラトンのいう肉欲を超えたプラトニックラブは男性同性愛の理想形だったという。ローマでは、カエサルは「ローマのすべての妻の夫であり、すべての夫の妻」との記述が残っている。その後のヨーロッパでは、レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロなどが男色で知られている。また、発見当時のアメリカ大陸では男色が慣習として組み込まれている部族が多かったという。 明治以降、西洋化の影響もあって日本で男色は廃れるが、1960年代以降、欧米の思潮を受け入れる形でふたたび同性愛が市民権を得るようになった。ぼく自身は萩尾望都の『トーマの心臓』など少女漫画の傑作群を思い出しもするが、歌舞伎の女形はじめ、男色が芸術に多くの影響を与えてきたのは事実。調べるほど、キリスト教の影響で極度に男色を禁じていた風潮こそ珍しいことのように思え、文化の多様性について思いめぐらせたのだった。

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