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ちょっと知的な雑学&トリビア

県民性

2002年5月06日 【コラム
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 全国の都道府県庁の所在地で、もっとも牛肉の消費量が多いのは和歌山市。梅干の購入額でも全国トップで、こちらは紀州梅というブランドもあり、それなりに納得できるけれど、牛肉の場合は、生産量はむしろ低いから不思議。
 和歌山人はみえっぱりだから、スーパーなどで知人と出会うと豚肉を買おうとした手を牛肉に変えてしまうなんて説もある。こうした出身地に応じた県民性は、酒の席などで血液型と並んで格好の話題になる。鹿児島県人は保守的だとか、秋田県人は照れ屋だとか。
 高知の女性は、はちきんと呼ばれる活発さで知られる。NHKの行っている生活時間調査によると、睡眠時間は全国平均と比べ長く、家事時間は短かめという。ところが高知の成人男性の家事時間はかなり長い。男性をうまく使っているということか、これもはちきんの一面かと納得したり。
 生活時間調査をもう少しみると、朝寝坊の県には京都、大阪、東京が、早起きの県には青森、福島、秋田が並ぶ。もっともこの場合は、それがそのまま怠惰とか勤勉といった性格にはつながらない。東西での日の出時刻の差が影響していると考えられるほか、どうやら農業従事者や高齢者が多い県ほど早起きということらしい。
 NHKでは全国県民意識調査という調査も行っている。たとえばかけごとについて、どうしても許せない悪いことと考える人の割合は、島根、沖縄、和歌山などで平均より高く、東京、千葉、神奈川などではかなり低くなっている。これはやはり県民性なのか。
 出身地と性格をそのまま結び付けて判断されると困りものだけれど、どうしてそんな結果にとなったのかと想像をめぐらすのは楽しい。和歌山の牛肉の場合は、和歌山さばきと呼ばれるかつての牛肉流通ルートの影響ではないかと想像されたり、高知の女性の家事時間が短いのは、皿鉢料理という、大皿に盛り付けるだけの料理文化の影響があるのではなど、土地の歴史や文化に触れる機会にもなる。
 県民性は単なる性格占いじゃない。歴史や文化への入口ともなるのだ。

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16 comments to...
“県民性”
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小橋昭彦

まず、NHKの調査については、「文研ニュースレター」「4つの生活時間圏」をご参照ください。県民性に関しては、「県民性ワールド」が充実。「数字で見る県民性」もどうぞ。「家計調査から見た品目別購入金額」も参考になります。その他、県別のデータとしては、「統計でみる県のすがた」「都道府県の指標」「県民経済計算」「都道府県別個人預貯金残高」などなど。


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小橋昭彦

書籍としては、次のようなものが手ごろです。『すべての日本人は出身県で終わる』『県民性の日本地図』『県民性の統計学』『県民性の人間学』など。


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ながさわ

今まで訪れた日本各地のちょっとした情報をウェブページで公開しているんですが、そのときにいろいろと資料を探します。
で、結構『ここの人は○○だ』とか云う県民性に関することって見つかりますね。
中には根拠レスに紹介だけがあって眉唾物もあったり、著名人一人(だけ)を例にとってあーだこーだというページもあってげんなりすることもありますが。

その土地に住む人々の人柄を探るというのは、その土地の地名を考察することにも似ていて、結構面白い歴史の一分野って感じです。


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konet

僕は栃木県なのですが、先日の朝日新聞栃木欄に、栃木県はベンチャー企業や、SOHOの人が他県に比べて比較的少ないという記事があり、その原因を保守的な県民性の為と、まとめていたのを読みました。

確かに県民性ってあると思いますけれど、全てをそれでくくってしまうのには問題もありますよね。


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小橋昭彦

和歌山の牛肉人気は、牛肉が安い肉屋さんが好調で利用者が多いためでは、という話もメールでいただきました。ほんと、なにが原因かはわからないものです。


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Nobu

『すべての日本人は出身県で終わる』を読んでもいないのにこんなことを書くのはどうかとも思いますが、県民性についてなど話題にしている限り、この本の題名から開放されることはなさそうですね。それだけ日本が多様だ、と考えれば自分自身を解き放つことは出来るかな。自分はさておき、他の人をそれぞれ何かでくくってしまわないと安心できない気持ちがあるのでしょうね、我々には。そして自分もどこかに入っていたいという事かな。人のことも気になるし、自分の居心地の良い場所を見つけないとなんだか安心できないというのは農耕民族の特性でしょう。


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sagawaisao

小生、篠山育ちですが、鹿児島に住んで、24年。鹿児島は決して保守的ではありません。島津斉彬公以来薩摩は全くの新しがり屋です。日本の南の端にあって、情報がスクナイせいか、なんでもすぐに飛びつきます。新しい物があればもって来て売れば商売になります。外国に一番近いのですから、西洋事情はいち早くしっていましたよ。陸伝いに来るのは薩摩飛脚に終わっても当方は一切関知しません。


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たけお@沖縄

久しぶりに書き込みします。たけお@沖縄です。
四季の移り変わりに見られるように、土地それ
ぞれの「気候」が、県民性に多大な影響を与える
のではないでしょうか。

当方、沖縄在住ですが、お酒好きの県民性がしばしば
高知県民と共通している、と話題に上ることもありま
す。これは、暖かい南国という気候が要因であると推
測されるのですが・・・。

小橋さんの記事にあった牛肉にちなみますと、沖縄県
は、昆布消費量が全国でも有数。ところが、昆布水揚
げ量は、北の端ある北海道がナンバーワンです。

沖縄の郷土料理は、よく昆布を使います。昆布そのも
のを千切りにして様々な食材と一緒に油炒めにした料
理。また豚肉と一緒に煮込んだりとバリエーションは
様々。ただ、なぜこれだけ昆布を食する県民性なのか
定かではありません(笑)。

とりとめのない書き込みで失礼しました。


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たけお@沖縄

たけお@沖縄です。追加で記述を。

先ほど、お酒好きの県民性というくだりがありました
が、なぜ気候が暖かいとお酒好きか、という説明が欠
落していましたので補足します。

沖縄では、暖かいのでついつい深酒してしまう、とい
うのです。寒い地方ですと、飲んで前後不覚になると
雪の中で行き倒れしてしまうと、シャレになりませ
ん。ところが南国沖縄では、ついつい飲み過ぎて道路
の縁石を枕にして寝ている人をたまに見かけます(年
に一度くらい)。あまり誉められたものではありませ
ん。むしろ、危険ですが。念のため、沖縄での話で
す。高知県民の皆さんのお話ではありません。沖縄
は、鉄道などの交通手段が無く、終電に間に合わせる
という感覚がありません。また狭い島ということもあ
り、ついつい明け方まで飲み歩くという県民性なので
す。

どうでしょう、説得力はありませんか(笑)。


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ラッキー

私は、北海道で生まれて北海道に住んでいます。
道民性は、熱しにくく冷めやすい、常に中央に目が行っていると思います。
東京で流行っている事をよしとして、取り込むも東京ですたれると、とたんに引いてしまうんですよね、独自性と熱意が同じ日本列島の端っこ同士の九州と比べて希薄だと思います。
あと、女性の飲酒・喫煙者が多いです、東京のコンビニでお酒を売っていないのが、当たり前のようにあって驚きました。札幌のコンビニでは、コンビニ=お酒=たばこの図式が成り立ちます。
それと、離婚率が高いです、これも先出の件と関係がありそうです、熱しやすく冷めやすい→離婚→ストレス→自立故に夫に気兼ねなく堂々と飲酒喫煙が可能・・・。
姑と同居している嫁は、換気扇の前で喫煙しているとのことです。


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小橋昭彦

沖縄と高知、そしてお酒とくると、昨年のNHKでも放送されていた港川人との関連があるのでは、なんて想像が働きます。南アジアから海を渡って日本列島にやってきた縄文人のルーツの話です。

お酒を分解できる体質というのがあって、縄文系の人は強く、弥生系の人は弱いことが知られています。縄文人は南の海から琉球、九州南端、高知、和歌山へと流れ着いて行ったとすると、沖縄や高知には、北九州の方面から入ってきた弥生系の人が混じる度合いが少なく、いまもお酒に強い縄文系の人が多く残っているのではと想像します。

お酒に強いから、お酒に好きな人も多い。気候風土だけじゃなく、遺伝子もあるかもしれません。ちなみに高知などにお酒に強い遺伝子を持つ人が多いという研究結果は報告されています。


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栗原悦子

皆さんお元気ですか? 私は福岡県生まれですが、横浜・東京に住んで30余年になります。 父は福岡県(もともとは東京)、母は長崎、祖父は四国出身です。 私は前から「どの県の出身か分からない」とよく言われますが、ミックスのせいでしょうか(笑)。 

お酒を飲んですぐ顔が赤くなる人(私)は、お酒を分解する酵素(二種類)が一種類しかないからと聞いたことがあります。 欧米人に比べると日本人は片方しかない人の割合が多いとか。 ただ、正常な(アルコール分解酵素が二種類ある)人はアル中になる要素も含んでいるので、お気をつけ下さい。 私はもう少しお酒に強い体質だったら良いのに思います。


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あらあら

そうですね、みんなが歌わないよう?な、難しい曲を歌う、いわゆる、”チャレンジャー”的にやりますね。
今は、元ちとせさんを歌おうとしています。
今までで、一番難しいです。宇多田ヒカルや、ラブサイケデリコ、GLAYよりも・・。


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あらあら

すいません、前のカキコ、このコーナーじゃなかったですね、すいません。

ところで、私、広島出身です。よく言われるのに、コンサートの乗りが悪い広島人とのこと。
今は大阪ですが、意外にも、大阪って思ったより、その場は静かでした。どうですか?


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小橋昭彦

メールで大学時代に習ったとしていただいたお話なのですが、高知では共働き率が高いので、それが男性の家事時間に影響しているのではないか、という説があるそうです。

なるほど、なるほど。データを確認していませんが、なんだかありそう。

あと個人的には、高知の男性は魚さばきが上手という印象があり(義父を見ていての連想です)、魚のおいしい県のこと、男性も魚さばきで料理に参加するのでは、なんて想像もしています。


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NPO jiko110.com 宮尾一郎

勝手に使用させて頂きました。
309「県民性について」
2002年5月7日
本日の「雑学+(プラス)」小橋昭彦さんをご紹介しておきます。
http://www.zatsugaku.com/

県民性
 全国の都道府県庁の所在地で、もっとも牛肉の消費量が多いのは和歌山市。梅干の購入額でも全国トップで、こちらは紀州梅というブランドもあり、それなりに納得できるけれど、牛肉の場合は、生産量はむしろ低いから不思議。
和歌山人はみえっぱりだから、スーパーなどで知人と出会うと豚肉を買おうとした手を牛肉に変えてしまうなんて説もある。こうした出身地に応じた県民性は、酒の席などで血液型と並んで格好の話題になる。鹿児島県人は保守的だとか、秋田県人は照れ屋だとか。高知の女性は、はちきんと呼ばれる活発さで知られる。NHKの行っている生活時間調査によると、睡眠時間は全国平均と比べ長く、家事時間は短かめという。ところが高知の成人男性の家事時間はかなり長い。男性をうまく使っているということか、これもはちきんの一面かと納得したり。生活時間調査をもう少しみると、朝寝坊の県には京都、大阪、東
京が、早起きの県には青森、福島、秋田が並ぶ。もっともこの場合は、それがそのまま怠惰とか勤勉といった性格にはつながらない。東西での日の出時刻の差が影響していると考えられるほか、どうやら農業従事者や高齢者が多い県ほど早起きということらしい。
NHKでは全国県民意識調査という調査も行っている。たとえばかけごとについて、どうしても許せない悪いことと考える人の割合は、島根、沖縄、和歌山などで平均より高く、東京、千葉、神奈川などではかなり低くなっている。これはやはり県民性なのか。出身地と性格をそのまま結び付けて判断されると困りものだけれど、どうしてそんな結果にとなったのかと想像をめぐらすのは楽しい。和歌山の牛肉の場合は、和歌山さばきと呼ばれるかつての牛肉流通ルートの影響ではないかと想像されたり、高知の女性の家事時間が短いのは、皿鉢料理という、大皿に盛り付けるだけの料理文化の影響があるのではなど、土地の歴史や文化に触れる機会にもなる。県民性は単なる性格占いじゃない。歴史や文化への入口ともなるのだ。

私が承知している県民性「ドッチツカズ」についてご紹介します。
これは栃木県民のことを揶揄して説明しているのですが、足利藩は歴史上、雄藩に囲まれていました。水戸藩と前橋藩です。「両雄、相並び立たず」の例え通り、この両藩は頻繁に争います。両藩のど真ん中に位置する足利藩は争いのたびに、「どっちを味方するか?」悩むのです。どっちについても戦争は足利藩の中で行われますから、グチャグチャにされるのは決まって足利藩なのです。
歴史上、こういうことが繰り返された結果、「栃木県民ドッチツカズ」の称号を賜ったのです。茨城県には都市銀行をも凌駕する常陽銀行があります。前橋には地方銀行で初めてオンラインを開始した群馬銀行があります。栃木県といえば、足利銀行ですが、女子行員が貢いで競走馬を購入する事件を起こしたことで有名です。当時、私は富士ゼロックス北関東営業所で複写機の営業をしていたのですが、やはり機械台数も茨城、群馬、栃木の順番でした。
この年、もう一つの「ドッチツカズ事件」が起こりました。
空白の一日とかの理由で作新学院の江川 卓が阪神から巨人に電撃的に移籍したのです。以来、私は読売新聞を読みません。

小橋昭彦さん、ご無沙汰をしております。
「ハートフル春日」の講演会以来です。
快適な田舎暮らしのご様子で、うらやましく感じています。「ハートフル春日」以降、おひさま卵と赤ちゃん番茶を欠かしません。(笑)




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 チンパンジーは、単語に相当するものを数百くらいなら覚えることができる。しかし、食事や危険を声にして仲間に知らせるなど「発声」に近く、文法までは持っていない。単語を超えた文のレベルを理解できるかについてははっきりしないのだ。 最初は単純な単語が生まれ、やがて単語と単語が結びつき、複雑な意味を表現する文法が生まれる。そんな言語の歴史をなんとなく信じていたので、ジュウシマツが文法を持っていると知って驚いた。千葉大学の岡ノ谷一夫助教授らの研究だ。 ジュウシマツの歌は、もって生まれたものではなく、親から子どもに伝えられる文化だという。だから、聴覚を失うなど学習する機会が無かったり他種に育てられたりすると、本来の歌を歌えなくなる。岡ノ谷助教授の研究しているジュウシマツでは、7つの要素を組み合わせて3つの「単語」を構成しており、それらを特定の文法で配列して歌っているという。ジュウシマツの原種であるコシジロキンパラでは歌はずっと単純で、進化するとともに文法が複雑になっている。 ハンディキャップ理論というのがある。ある個体が生存に不利なハンディキャップを持ちつつ生存競争に勝ち続けているなら、それを補うだけの優れた面があることを意味する。とするとハンディキャップが大きいほど、自分の優位性を示すことになり、異性にアピールするという説だ。 ジュウシマツで、歌うのはオス。歌で恋を語りかけているわけだ。メスは歌わず、じっくりと歌を聴いてオスを選ぶ。実際、複雑な歌をより好むことがわかっている。ところで、複雑な歌は天敵の注意を引き、危険性が増すことにつながる。そこでハンディキャップ理論。メスは、複雑な歌を持つオスの方が天敵から生き延びる術に長けていると判断して選ぶ。それが積み重なった結果、歌が複雑に進化してきたのではないかというわけだ。 人の言葉も、単語と文法が別に進化してきたのかもしれない。文法は、恋を伝えるためであったのか。いとしい人に伝えるためにいっそう、複雑な文法を手にしてきたのだったか。そう考えれば、学生時代のグラマーももっと楽しかったろうに。

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 一般に混同されやすいけれど、迷路と迷宮は違う。迷路は言葉どおり迷い道だが、迷宮はそうではない。迷宮に分かれ道はなく、一本の道だけで構成される。その道は、ある図形のなかをくまなく埋め、迷宮を歩くものは必ずすべてをたどる構造になっている。 迷宮としてもっとも知られているのはクレタの迷宮だろう。牛頭人身の怪物ミノタウロスが閉じ込められていたもの。アテナイの王子テセウスは、迷宮の中心に行ってミノタウロスを倒したあと、クレタの王女アリアドネに渡された糸の導きで帰還する。神話にあるように、世界各地に残る迷宮図は、いったん中心にいき、再び出てくる構図になっている。 渦巻きを描く。中心部で折り返して、いま描いた線の間を通って外まで線を引く。この線を経路と考えれば、迷宮的な中心に達し再び出てくるという感覚が理解できるだろう。子どもの頃、そんな図から始まって、後には迷路図をよく描いていた。 長じて学生時代、「風のある迷宮」という戯曲を書いたことを思い出す。自らの進む道を模索する少年の物語。風を感じる以上は、きっと閉鎖空間ではなく出口があるのだという意味を込めたタイトルだった。けっきょく上演にいたらず、戯曲も迷宮入り。 ヨーロッパに芝生迷路として知られるものがある。あれも正確には迷宮だ。ヴェルサイユにも庭園迷宮があり、男女の散策者がよく利用したという。もっとも、恋の迷宮とでも言えばいいか、別の楽しみに利用されることしばしばだったようで、後に当局によって取り壊されることとなった。 迷宮には、ひとたび中心である死に向かい、よみがえって外周へ再生するという思想がこめられているという。ぼく自身、人生のなかでなんどか迷宮を描き、いまふたたび、コラムで触れている。自らの進む方向を模索するとき、迷宮に帰っているのか。それが、再生への道だから。

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