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ちょっと知的な雑学&トリビア

ccをめぐって

2002年4月22日 【コラム
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 ccのことを目にしたとき、ふと相対性理論を解説する一説を思い出して、はじめそれがどうしてかわからなかった。
 cc。電子メールで同報相手のところに出ているのと同じ、カーボンコピーの略。米国で生まれたクローン猫の名前だ。ただ、ccとオリジナルの猫とは模様がかなり違うなど、そっくりになっているわけではない。
 クローン羊のドリーが誕生したのが1997年。クローンなんて未来の話だと思っていたら、日本だけでもすでに約300頭のクローン牛が生まれているという。珍しいことでもないのだ。クローンマウスが短命だったという研究結果が発表されるなど、検討すべき部分は残るにしても、技術的にはかなり成熟してきているらしい。
 ccは、さる大富豪が飼い犬のクローンを作りたいと考えてはじめた「ミッシー・プリシティ」というプロジェクトから生まれた。最愛のペットのクローンを作ろうというわけだ。ペットを失った飼い主が精神的な傷をおうペットロス症候群対策にという気持ちはわかる。しかしそれは前向きな解決策なのだろうか。そう問いかけて、相対性理論なんて遠い話を思い浮かべた理由に気づいた。
 特殊相対性理論では、時間は不変ではない。光速宇宙船で旅して帰ってきた人は、はるか未来の地球に着くことになる。移動体の中では、静止状態でいるよりゆっくりと時間が進むから。移動することが、時間旅行になるのだ。極端に言ってしまえば、人は、歩くときさえ、未来へ時間旅行をしている。
 最愛のものを立ち止まって振り返るという行為と、たえず未来に進むという行為。ccからアインシュタインへの連想は、このふたつを無意識に並べていたのだった。むちゃな連想だろう。だけどカーボンコピー的な考え方より、すこしばかり飛躍していたほうが、新しい何かを生み出す可能性につながる。ま、つまらないコラムとしてもね。

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6 comments to...
“ccをめぐって”
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小橋昭彦

まず「Missyplicity Project」と「Genetic Savings & Clone」を参照してccにつて詳しくどうぞ。「最愛のペットをクローン再生」もどうぞ。最初にドリーを作った「Roslin Institute」のクローン特集ページもどうぞ。「クローンって何?」「家畜クローンについて」もどうぞ。また、掲示板「SpermEgg Journal Club」は研究者の生の発言も読めて貴重です。


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小橋昭彦

ハッブル望遠鏡諸数値、地球との距離600キロ、これまでに回った距離17億キロ、地球1周に97分、これまでの撮影画像35万枚、1日15ギガバイト送信(Popular Science4月号)。宇宙ではいびきをかかない(Popular Science4月号)。銘柄牛現在150種(朝日2月21日)。ピンバッジの起源は1896年の第1回近代五輪(朝日2月15日)。万引き防止システムの国内市場数年後に1千億円(朝日2月15日)? 和式アイロン「火熨斗」の歴史は5世紀にさかのぼる(日経2月13日)。


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野澤

ccは数十年前から使われていたと思いますが、クローン猫はいつ頃の事なのでしょうか。


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大久保 健直

特殊相対性理論によると、光速宇宙船で旅行をすると、帰ったときは遙か未来の時代だそうですが、浦島太郎も光速宇宙船に乗っていったのでしょうか。亀が光速宇宙船。竜宮城も光速宇宙船内。よって浦島は帰ってきて玉手箱を開けたらば、老人になったしまった。出掛けたときよりも遙か未来の故郷に帰ったしまったのでしょうか。


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小橋昭彦

野澤さん、クローン猫が生まれたのは今年に入ってからのニュースです。それにccという名前をつけた真意は不明ですが、「模様までそっくりにしたい」とクローン会社の社長が言っているそうですから、ほんとの意味で生き写しのペットを誕生させたいという思いなのでしょうね、おそらく。

大久保さん、おっしゃるとおりで、光速宇宙船での効果は、日本ではまさに「ウラシマ効果」と呼ばれています。


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中島 和美

はじめまして。ずっとメール配信で今日の雑学を拝見しておりました。
課題のお願いなのですが、はぎしり について教えてもらえないでしょうか?
なぜ はぎしり をするのか、どういう精神状態だからそうなるのか、など。
お願いします。




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 1日にすれば、という考え方をときどきする。ぼくたちの遠い祖先が日本にやってきて縄文時代が始まった約1万2000年前を午前零時とし、現在を1日の終わりとする。1万年弱続いた縄文時代は、午後7時半までを占める。弥生時代が午後8時半まで、9時半になって平安時代が始まり、明治維新がようやくいまから10分あまり前。 同じ方式で生命の歴史をあてはめると、生命誕生の午前零時から始まって、午前9時ごろ、光合成を行う生命が生まれる。生命が多様性を探ったカンブリア紀が午後9時から始まり、そこから進化はめざましくなる。恐竜が存在したのは午後10時半からの1時間くらい。ほんの30分前に恐竜は絶滅、人類の誕生はわずか1分前のこと。 社史発行を手がける出版文化社によると、このところ社史を刊行する企業が相次いでいるという。戦後に創業した企業がちょうど50周年を迎え、50年史をつくる時期となっているのだ。 経団連で社史の研究に取り組んでいる村橋勝子さんによると、日本企業に本格的な社史が誕生したのは1900年代に入ってからで、これまで1万3000点あまりが刊行されてきたのだとか。ピークは1980年代で、明治期に創業した企業の100周年、昭和初期創業企業の50周年が重なり、戦後企業は30周年となった時期。内容は多岐にわたるとはいえ、やはり明治の起業家や、戦後の焼け跡から会社を興したエピソードには感じさせるものがあるという。 1日にすれば年表をたどるとき、驚かされるのは黎明期の長さだ。縄文時代の長さ、あるいはカンブリア紀の生命の大爆発に至るまでの長さ。ほんとうの意味でぼくたちに身近な姿が現れるのは、もう日も沈んだ午後9時以降なのだから。会社だって、創業時の志なしには生まれなかった。夜遊びばかりじゃなく、はじまりのころのことを、ときには振り返ってみる。

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 わきがや人糞などの匂いを研究して、もっとも悪臭と思われるものを爆弾として利用しようという「悪臭爆弾」構想。冗談かと思ったら、米モネル化学感覚センターの研究者たちが国防総省の助成金を受けて進めてきた研究の成果というから、まじめな話らしい。 ジェイ・イングラムの著した『天に梯子を架ける方法』には、これと似たような、ウソのようなまじめな話が多く紹介されている。100人分のオーダーを覚えられるウェイトレスの脳の研究、蛾が光に向かって飛ぶ理由、精神病院に正気の人を送り込んだとき医者は見破れるかなどなど。難しい顔をした科学がふと見せる、いたずらな笑み。 もっとも、ときには科学の顔をしたとんでもない話が生まれるのも人間社会で、米国の物理学者のロバート・L・パークはそれを「ブードゥー・サイエンス」と名づけて目を光らせている。昔から多いのは永久機関を発明したといった種類のホラだけれど、近年でいちばんのブードゥー・サイエンスは常温核融合だったと指摘する。 ぼくたちは、Aという出来事のあとにBという出来事が起こると、ふたつに関連性があるように思う。なにかを食べて気分が悪くなったなら、次回からはそれを食べないほうが無難だ。こうして人類は「信じたがる脳」を持つようになった。もっとも、パークにかかれば、宇宙ステーション計画だってブードゥーの範疇で、ロボットで充分な研究のために人間を宇宙に送り込む必要性はないと主張する。このあたりの判断基準は、ぼくたちと少し違うのかもしれない。 正しい道なのか迷い道なのかの判断は難しい。近畿大の先端技術総合研究所で生まれたホウレンソウブタだって、遺伝子組み換えでほうれん草の遺伝子を組み込んだ「ヘルシー」なブタだそうだけど、普通に聞けば冗談に聞こえてしまう。先端と冗談は紙一重なのか。 ちなみに冒頭の悪臭爆弾、実験の結果、一度は効いてみんなその付近から逃げ出すんだけれど、2度目からは慣れてしまって逃げないのだとか。くさい話にも免疫ができればいいが、こちらはそうもいかないらしい。

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