眠り
厚生労働省の「保健福祉動向調査」によると、日本人の睡眠時間は6時間台の人と7時間台の人がそれぞれ約3割となっており、8時間台が約2割で続いている。アインシュタインは10時間眠っていたといわれる一方、エジソンは3、4時間しか眠らなかったともいう。どちらがいいというものではなく、生まれつきそなわった素質らしい。
ヒトにとって重要な睡眠時間は眠りはじめから3時間ほどだそうだから、その後のいわばおまけのような睡眠がどれだけあるかは人それぞれでいいのだろう。ただ、眠らなくていい人はない。水さえあれば断食はある程度続けられるけれど、断眠はそれほど長くは続けられない。眠らない世界記録は264時間。かなり辛かったことだろう。
じゃあなんのために睡眠が必要かというと、これは主に脳のため。眠ったといっても人間のからだはあまり省エネにならないし、筋肉の疲れをとるのに意識をなくす必要はない。もっともたいせつなのは、脳をオーバーホールすること。魚類や両生類のように大脳が発達していない生物ではヒトのようなノンレム睡眠はない。ノンレム睡眠による深い眠りの間に、ヒトは脳細胞を修復しているわけだ。
もっとも、脳全体が眠ってしまうと危機対応できないから、一部は起きている部分もある。イルカは極端で、眠り込むと呼吸をしに水面に上がれず窒息するから、脳を半分ずつ眠らせる。だから目を閉じるのも交互。起きている半分の脳で、泳ぎつづけるわけだ。
ヒトもこれだったら、眠りこむことなく24時間が有効に使えそうだが、ヒトの脳はイルカのように左右が同じでなく、言語機能は主に左半球というように差があるから、そううまくはいかない。言葉が理解できない右半球だけ起きていても、できることってそう無いような。
むしろ、窒息に悩むことなく、ゆったりと眠れることのしあわせを満喫しよう。
“眠り”