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ちょっと知的な雑学&トリビア

体温計

2001年9月20日 【コラム
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 子どもが熱を出して、耳式体温計のお世話になっている。わずか1秒で測れるので大助かり。登場したのが4年ほど前で、便利さから市場は拡大、昨年は170万台を販売したとか。体温計の年間販売数が約700万台だから、4つに1つが耳式になった計算だ。
 なぜ1秒で測れるのだろう。そんな疑問がわく。その前に、そもそも「体温」ってなんだ。おでこに手をあてたり、わきで測っていた時代の人間としては体表をイメージするけれど、実際には脳や内臓など身体の深部の温度を意味するとか。
 耳式は、鼓膜から出る赤外線を測っている。鼓膜のすぐ内側には脳の動脈が通っているから、脳の温度がより正確に反映されるわけだ。もっとも、うまく鼓膜に向けないと、耳垢の温度を測りかねない。
 ちなみに、世界初の体温計はイタリアのサントリオが作ったそうだ。ガリレオの温度計に触発され、1609年に考案。この人、計測にこだわる人だったようで、自分の体重、食事後の変化、糞尿の重量などを三十年にわたって記録、排泄物の重さが、摂取した食事の量より少ないことを確認したりもしている。
 もっとも、当時は沸点が発見されていないので、目盛りは温度計によって違っていた。病気と体温が関係付けられたのもずいぶん後で、1858年になってようやくドイツの医学者が病気によって熱型が違うことを報告。以後、病気の診断に体温測定が不可欠になる。
 39度を超えていた子どもの熱も、翌朝にはさがった。寝床で頭に手をあてて、熱さのひいていることにほっと息をつく。耳式の前にまず手をあてる、親心である。

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5 comments to...
“体温計”
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小橋昭彦

体温計については「今日のカンファレンス」にコンパクトにまとめられています。また、「医療の歴史」のサントリオの項もご参考に。


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ながさわ

>耳式の前にまず手をあてる、親心である。

前日の『療法』続きで、『手当て』って言葉はこの動作が元となっている言葉で、それなりの効果もある療法だそうですね。


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nemota

耳式は確かに便利ですが、病院で体温を測る時は相変わらず水銀のもの多い。というか耳式に出会ったことがないのは僕だけですか。


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Ree Fou

耳式は確かに便利ですが、何日か続けて使っていると、耳孔が荒れることがあります。おかげでつい先日、内耳炎を起こし、耳鼻科のお世話になりました。起きぬけの朦朧とした意識の中、自分で耳式をつかみ、耳孔にてきとーにいれていたため、プラスチックカバー部分が内耳に「がしっ」と傷をつけたようです。。。反省し、今はおとなしく水銀式を使っています。


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yuko

遼太朗くん、よくなって良かったですね。
うちの16歳の息子も一昨日39.5度の熱を出しました。
小学生時代以来、久々に受診した医師は頑固な水銀
派、「電子体温計なんかあてにならん」と仰います。
でも、成長した息子の姿に上機嫌で、高熱でふらふら
なのにそれは嬉しそうに診察して下さいました。母親
の私も、抵抗する力のないのをいいことに、チャンス
とばかり触りまくり。熱の功名でした。




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 日本各地に伝わる山野草や動物を利用した民間療法は3万件ほどにのぼるという。 民間研究家の吉田仁志によると、風邪だけでも580事例あったとか。梅干を黒焼きにして熱湯を注ぎ込むというのはよく知られているけれど、果肉を眉間に張ったり、果肉をすりつぶして卵黄と砂糖を加え熱湯を注いで飲んだり。ショウガ湯やネギ湯を試みた方もいらっしゃることだろう。 動物や昆虫を利用する民間療法も少なくない。夏ばてにドジョウなんてのはその典型だろうか。勝海舟が肩が凝ったときヒルに血を吸わせたという話も有名。変わったところでは、カマキリの黒焼きを飯粒で練って足裏にはるというのもある。脚気にいいのだとか。 アフリカのチンパンジーたちは、薬草を見分けその効用に応じて口にするそうだが、人類が薬草利用をはじめたのがいつかはわからない。おそらくは、愛する人を気遣う人の心の数だけ、療法があるようにも思う。 よく下痢をしていたぼくにゲンノショウコを煎じてくれていた祖母のおもかげを思い出しつつ、すりきずを作った子どもに、「いたいのいたいの、とんでいけー」なんて慰めている。西洋医学の大家だって、このくらいの呪術は使うんじゃないのかな。

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 今年の夏はまたひときわ暑かった。なんだか毎年そんなことを言っているような気がする。環境省の委員会が発表した報告書によると、都心の気温は確かにここ20年で高くなっている。 7月から9月までに30度を超えた延べ時間数を比べてみる。1980年、仙台で31時間、東京で168時間、名古屋で227時間。2000年、仙台90時間、東京357時間、名古屋434時間。仙台で3倍、東京、名古屋で2倍になっているのだ。 地球温暖化の影響もあるかもしれないが、都心におけるこの暑さは、ヒートアイランド現象が主因。地表がアスファルトで覆われ、冷房や自動車、OA機器などの排熱が大気を焦がす。暑いからさらに冷房を使い、電力消費が増えて発電所からのCO2排出が増加、それが温暖化を加速し、と悪循環。 このまま建物からの排熱が5割、自動車交通量が3割、容積率が2割増えたと仮定すると、東京の大手町から新橋にかけての地区では気温が約1度上昇することになるのだとか。 毎年、できるだけ自然でいようと冷房をつけずにがんばるのだけれど、そもそもこの暑さが自然でなく、なんだか矛盾していると思わないでもない。縁側で風を感じて涼むなんて都心では望みようもなく、ひたすら汗がにじむ。今年の夏は、二十数年ぶりだかであせもをつくってしまった。

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